辻村深月『凍りのクジラ』読了。
「頭がいいと孤独になる」という記述にうんうん、となる。
自分も、昔から、頭がいいとか強いとかいわれがちだから、
「ものわかりがいい」とか「繊細じゃない」の違う言い回しなだけのそういう言葉を
自分に当てはめてしまった主人公が、人知れずじわじわと追い詰められているかんじは、
わかる気がした。
ちょっと引いて見て、感情的にならず気持ちをしずめることを、
「頭がいい」というならそうかもしれない。
人が何を求めているかをじっと考えて、自分がそれに合わせていく。
問題が起こらないように。
それを「人を見下している」と言うなら、そうかもしれない。
でも、読者から見てこの物語の主人公はとてもやさしい。
賢くて、理性的ではあるけれど、冷たくない。
母の病院に通ったり、ドラえもんの巾着袋に涙する
主人公自身だけが主人公のやさしさに気付いていない。
自分はやさしくされる資格がない
自分はどこにいても「すこし 不在」だと思い込んでいる。
「なにを、そんなに、思い込んでいるんや!」と思った。
あんなにやさしいのに。
気を遣って、我慢しているだけやのになあ、と思った。
わたしもそうだったらいいなと思ったし、そう思ったらなんか救われた。
何も感じていないわけじゃない。
傷つかないわけじゃない。
感情を出さないのは、強いからじゃない。
そういうことが、意外に、外から見ればわかってるよって
自分に対して思えた。
それを自覚できず、大変な問題がおきてしまった主人公とわたしは紙一重だけど、
わたしの場合は、それを言葉にしてくれる人もいるし。
いいやん、大丈夫やん、と思った。
久々に、登場人物に感情移入したなあ。
いい本だった!