2012年9月5日 | yanu風呂

yanu風呂

ゆっくりしてってください

辻村深月『凍りのクジラ』読了。



「頭がいいと孤独になる」という記述にうんうん、となる。

自分も、昔から、頭がいいとか強いとかいわれがちだから、
「ものわかりがいい」とか「繊細じゃない」の違う言い回しなだけのそういう言葉を
自分に当てはめてしまった主人公が、人知れずじわじわと追い詰められているかんじは、
わかる気がした。

ちょっと引いて見て、感情的にならず気持ちをしずめることを、
「頭がいい」というならそうかもしれない。

人が何を求めているかをじっと考えて、自分がそれに合わせていく。
問題が起こらないように。

それを「人を見下している」と言うなら、そうかもしれない。

でも、読者から見てこの物語の主人公はとてもやさしい。
賢くて、理性的ではあるけれど、冷たくない。

母の病院に通ったり、ドラえもんの巾着袋に涙する
主人公自身だけが主人公のやさしさに気付いていない。

自分はやさしくされる資格がない 
自分はどこにいても「すこし 不在」だと思い込んでいる。

「なにを、そんなに、思い込んでいるんや!」と思った。
あんなにやさしいのに。
気を遣って、我慢しているだけやのになあ、と思った。

わたしもそうだったらいいなと思ったし、そう思ったらなんか救われた。

何も感じていないわけじゃない。
傷つかないわけじゃない。
感情を出さないのは、強いからじゃない。

そういうことが、意外に、外から見ればわかってるよって
自分に対して思えた。
それを自覚できず、大変な問題がおきてしまった主人公とわたしは紙一重だけど、
わたしの場合は、それを言葉にしてくれる人もいるし。
いいやん、大丈夫やん、と思った。

久々に、登場人物に感情移入したなあ。
いい本だった!