本音は大声で言うものではありません | 山本昭彦のブログ

本音は大声で言うものではありません

 

 

タイトルは拓郎の歌の歌詞の一節だがな。

マクロンがワヤになっている。

やたらと外交的パフォーマンスが目立つだけの彼に、

フランス国民が愛想を尽かしたってことだろうか。

 

 

マクロンが率いるリベラル政党は今回の選挙で惨敗した。

代わって票を伸ばしたのが極右政党・国民連合だ。

ハンパない躍進。

それまでの70議席が250に達するのではという予測もある。

 

 

私はフランスのソレとかアレとかについては

ほとんど学習していないから、

ここからは外野からの放言にすぎないが、まあ聞け。

 

 

日本のメディアは国民連合を極右政党と呼ぶ。

言うまでもないが、極右は日本語だ、フランス語ではない。

SWのEP5の、公開時の原題「リベンジ オブ ジェダイ」。

その邦題が「ジェダイの復讐」

 

おかしいやろ?

正義派ライトサイドのジェダイに

「復讐」という怨念ニュアンスの単語は絶対似合わんやろ?

リベンジ=復讐という翻訳はしょせん辞書判定。

訳者はもっと、その真の意味を捉えて意訳せえ!

ここは「ジェダイは死なず」とか「不滅のジェダイ」とか、

そういう風にでっちあげるべきやろ?

と、そういう意味のことを「詩人の条件」で述べた。

 

 

私たちは「極右」という単語に何を感じるか?

簡単だ。ヒトラーにムソリーニ、そして大日本帝国だ。

右翼=ファシズム=軍国主義という、

思いっきり誤解を含んだ公式がここに成立する。

 

 

ところがだ。

マクロンこそは、ウクライナに対する軍事支援を、

欧州で最も声高に主張してきた国家元首だ。

彼の主張を聞いていると、

第三次世界大戦上等じゃないですか!

とさえ受け取れるほどだ。

もっともこれはマー君のパフォーマンスにすぎず、

この紛争の4人目の主役になろうとしているだけやろ?

というのが、これまで一貫した私の見方だけどな。

 

 

しかしフランス国民にとっては、

そんなの、冗談はよしこさん!だわ。

世界有数の武器輸出国であるフランスにとって、

よそでの戦争こそが儲ける道具であり、

自らを賭け金にして打つ博打であってはならない。

国内が農民一揆とかアレやコレでワヤになっているのに、

なんで欧州辺境の一小国のために大金を投じ、

しかもフランスの若者を戦場に駆り出す必要があるのか?

そんなふうに受け取っても当然と言える。

 

 

そこで国民連合だ。

彼らはもともと移民排斥をはじめとする国粋主義だ。

ちょい古いフレーズならフランス・ファーストってことだ。

ウクライナを守れと騒ぐより、

まずフランス人の生活の豊かさをこそ守れってことだ。

こいつは効くぜ。

 

 

国民連合の党首はルペン女史だが、

おもろいのでマダム・ルパンと呼ぶことにしよう。

彼女は今回の選挙で、

それこそ移民排斥とかの過激な主張を引っ込めて、

徹底したフランス大好き路線を貫いた。

右翼=愛国=不戦主義者という公式を成立させたわけだ。

日本語イメージの極右とは正反対。

やるなー、まさに大泥棒www

むろんこの場合、彼女が盗んだのは票だがな。

フランスの人びとが、

その心までを盗まれないことを陰ながら願うばかりだ。

 

 

ファシズムは常に善人の仮面をつけて私たちの前に立つ。

彼らが政権を掌握したら

フランスは外国人が住むにはちょいと厳しい国になるかもしれん。

いつか仮面の下から牙がのぞくのを見逃すな。