クリスマスイヴの冒頭から申し訳ないのだが、
私は商業施設やアミューズメントパークがとても苦手である。

なんというのがしっくりくるか未だにわからないのだが、自分と他人との境界線が曖昧で、人混みでは自分を俯瞰するような感覚に陥ってしまいがちなのである。

子供が産まれたばかりの頃は、普通の母親が普通に子供にしてあげられることがきっと自分にはできないだろうと悩んだこともあった。


ところが…!
2歳になる娘がアンパンマンが大好きで、
誕生日にはアンパンマンミュージアムに行こうと無意識に決定していた。
冒頭通り、こんな私が、である。

人気のアトラクションやショーを見たり、
バースデーパックのサービスをスムーズに受けるために下調べもたくさんした。

パーク内にはおもちゃ屋さんがたくさんあり、
 「たくさん買ってあげよう」と思いながらホームページを見ていた。前日、私は眠れなかった。

当日の朝早く開園前に並ぶと、大きな大きなアンパンマンが出迎えてくれ、娘はアンパンマンに走っていって
なんだかとても立派に仰いでいるように見えた。

月並みだが、「去年は赤ちゃんだったのにねえ」と思った。

予定通り子供を遊ばせていると、娘はキャアキャア楽しみながらも、アンパンマンの人形の落とし物を拾うと、とても困った顔でウロウロした後で、
まだ言葉にならない言葉を色々話ながら、更に非常に困った顔をして私に人形を渡した。
備品だと勘違いして遊んでしまわないものなんだなあ、と少し感心しながら、落とし物を見えやすい場所に置いて、買ってあげるべきタイミングや量など覚悟しながらおもちゃコーナーへ移動した。

ところが、手に取ったものを一緒に見ながら
 「これ欲しい?」と聞くと娘は首を横に振のである。
いい加減おもちゃ屋さんを何周しても彼女は首を横に振った。

それはもう何度か聞いたものではあったが、私が個人的に買ってあげたいポシェットをまた手に取ったので、改めて
 「これ買おっか!」と促すと、
 「いやないよ、いやない。(いらないよ、いらない。)」と娘は笑顔を向けた。

結局私が選んだやなせさんの絵の絵本と、靴下、タオルを内緒で買った。
大好きなアンパンマンを目の前に、勝手に何でも欲しがると思い、
更に勝手に「買い与えるべき量とは」なんて偉そうなことを考えていたのはまず間違いであった。


普段と違う環境での、娘の知らない一面が見られた日であった。

「なんのために うまれて」は依然としてわからないが、
「なにをして よろこぶ」かは、喜びに行かなければわからないこともあるのだと感じました。

喜ぶ為に産まれたのだとしたら、
私は少しだけ昔より喜ぶのが上手くなってきたのかも知れない。



「アンパンマンは君さ」と館内に流れ続けるあの歌は、耳残りが良く、いつまでも心に響いた。


【HOUSE OF JAXX】
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