日本では近年よりずっと早く春めいた朝に、私はカール・ラガーフェルドの逝去を知りました。

 

私が持っている彼の作品はただ二点。

CHANELマトラッセ地に極太チェーンを通してフラップはヴィンテージ加工。

これは大変な人気で、未だに売り切れ御免のBoy Chanel。

去年のクリスマス前に、たまたま、

 「海外で買ったものでも正規店へ持ち込めば修理してくれるというのは本当なのだろうか。」と思い、およそ10年使ったバッグを国内のCHANELに持っていきました。

そこで上記のように「未だにボーイは大人気でシーズン毎に少しずつ顔が変わっている。」と説明され、2018年モデルを見ると、なるほど。

マトラッセ地はふくよかに、縫い糸は細く繊細になっており、私のごく初期のちょっと無骨なボーイとは当に「顔」が違うのでありました。

 

 

それから、写真右FENDIのpeek a booコレクション。

こちらは猛烈な種類のカラー展開があるんです。

ミニサイズが登場した2015年頃に、至る場所で探しに探した「ハニーサックル」

それに、ピンクのパイソンベルトを合わせました。

 

この二つのバッグは、あくまで先人達が1950年代頃からオートクチュールオンリーの思考からうまく脱皮し、プレタポルテの概念を押し出したことで、今日の私の手にあるのです。

それが「大衆化の退屈」といえばそうかもしれないし、型を押した様に皆同じブランドバッグを持つのが滑稽だ、という見方もあるんだろうなとも思います。いや、正確には私もそう感じていたこともありました。

でも私なりになんとなく歳を重ね、なんとなくブランドバッグが素敵だと思うようになり、頑張って働いたりすれば手に入るようにしてくれたのが彼らだったのです。

 

ここで自分の話にして悪いのですが、ジャズについて。

よくオーダーされる「皆が知っている曲をお願いします。」「親しみやすくして欲しい。」という鬼門。

 

しかしこの訃報を知って、カールのしてきた事を振り返ると、彼は様々なブランドで2019s/sコレクションまで働き続け、そのブランドに合った「Karl Lagarfeld」を表現し続けました。

 

「自分がずっと好きなもの」と「みんなが好きなもの」がちょっとだけ違うのは当たり前で、自分の好きなことが常に軸にありさえすればいい。

 

あまり頑固になるの、やめようかな。とも思える出来事でありました。

 

カール・ラガーフェルドさん、ありがとう。

 

矢野沙織

 

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