ゼミでは30年以上にわたり、学生時代の時間的余裕があるときに、体を動かす習慣と読書の習慣を身につけろと言ってきました。社会に出て仕事に追われると、なかなか習慣化するのは難しいから、と。

 

 高大コラボゼミを始めた15年ほど前から、読書習慣を身につけてもらうために、ゼミ同期生の間で「就活文庫」なるものを回し読みする企画を開始しました。私の選んだ本を同期生が毎週1冊ずつ読み、読後ノートにコメントを書き、次の人に回していくという試みです。今に至るまで続けています。

 

 ゼミ生には、「読書の習慣を身につけるための、人生で『ほぼ最後のチャンス』やで。チャンスのうしろは、つるっぱげや。つかみ損ねんように。」とか、「スマホゲームに無駄あり!就活文庫に無駄なし!」とか、「読書でデジタル・デトックス!」とか言いながら、就活文庫の回し読みを勧めました。

 

 ESの書き方とか、面接のポイントとか、就活の技術的なことを知ってもらおうなどという意図はありません。そんなものは、あとでどうにでもなります。読んだかどうか、私が特にチェックを入れることもありません。とっつきやすいであろう本を選び、「就活文庫」と名づければ、読書習慣のない学生も少しは手に取り、目を通してくれるだろうと期待して、この企画を続けています。

 

 2年の後期に「就活文庫シリーズ1」、3年の前期に「就活文庫シリーズ2」を回しています。年度によって、中身を入れ替えることもあります。今年度の3年(33期)生の「就活文庫シリーズ2」は、以下のようなラインナップです。

 

 興味深い本があれば、卒業生の皆さんもぜひどうぞ。

 

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①佐野眞一『あんぽん―孫正義伝』小学館、2012年。

②北方雅人他『稲盛流コンパ―最強組織をつくる究極の飲み会』日経BP社、2015年。

③瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』講談社、2011年。

④日本経済新聞データエコノミー取材班『データの世紀』日本経済新聞出版社、2019年。

⑤大野耐一『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして』ダイヤモンド社、1978年。

⑥伊賀泰代『採用基準―地頭より論理的思考力より大切なもの』ダイヤモンド社、2012年。

⑦石渡領司・大沢仁『就活のバカヤロー―企業・大学・学生が演じる茶番劇』光文社新書、2008年。

⑧楠木建『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』東洋経済新報社、2010年。

⑨池井戸潤『下町ロケット』小学館、2010年。

⑩小倉昌男『経営学』日経BP社、1999年。

⑪岩瀬大輔『入社1年目の教科書』ダイヤモンド社、2011年。

⑫三宅秀道『新しい市場のつくりかた―明日のための「余談の多い」経営学』東洋経済新報社、2012年。

⑬萩原和樹『データ思考入門』講談社現代新書、2023年。

⑭入山章栄『世界の経営学者はいま何を考えているのか―知られざるビジネスの知のフロンティア』英治出版、2012年。