慌ただしい年度末を過ごし、新年度を迎えました。

 

 恒例の春合宿は昨日終了。謝恩会がゼミの卒業式なら、春合宿はゼミの始業式。近況を報告し合い、年間行事予定などを確認したあと、カトリーン・キラス=マルサル『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話―イノベーションとジェンダー』を輪読。夜は遅くまで酒を酌み交わしました。一つ屋根の下で、同じ釜の飯を食い、深夜まで語り合う。春合宿が終われば、新年度の始まりです。

 

 私もいよいよ定年まで、あと2年となりました。今年はゼミ34期生を迎えます。最近、ゼミ募集の日程が早まり、明日には教務チームによる説明会、その後、ブースに分かれて各ゼミの説明会が行われます。

 

 わがゼミは、近年、第一次募集で定員が埋まらず、三次募集までいくことが珍しくありません。二次募集、三次募集で入ってくる子たちの意欲・能力が著しく欠けるということはないのですが、入ゼミ生が決定しないと、なかなか行事が始められません。そんなわけで、今年もゼミ募集には力を入れます。

 

 新2年生に周知・配布する「矢野ゼミナールQ&A2024」を本ブログにもあげておきます。教務チームが開設するゼミ募集のTeamsにもありますが、様々な媒体でゼミの情報を拡散したいと思います。「ミスマッチ」が生じないように。

 

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【矢野ゼミナールQ&A 2024】

 矢野ゼミナールについて、2年生からよくある質問とそれに対する私からの答えを簡単にまとめてみました。詳しくは、『経済学部ゼミナール案内』や「ゼミ説明資料」、高崎経済大学経済学会『イントロ』、ブログ「研究室だより」などを参照してください。

 

☆Q1 矢野ゼミは、「ガチゼミ」と聞きますが、そんなに「きつい」でしょうか?

★A1

 矢野ゼミの課題や行事などは、『経済学部ゼミナール案内』や様々な配布資料ですべて「事前に」「公開」しています。「やるべきこと」は決まっていて事前に公開しているわけですから、その内容が「ガチすぎる」「自分に合わない」というなら、このゼミを選ばなければいいだけのことです。ゼミなんて、他にもいっぱいありますから。

 『経済学部ゼミナール案内』に公開した「やるべきこと」は、入ゼミ時の約束ですから、ゼミに入れば、決まったとおり、決まった期限までにやらなければなりません。

 矢野ゼミの課題は「ノルマ」ではなく、皆さんにとっての「チャンス」です。でも、チャンスの後ろはツルッパゲです。チャンスには前髪しかありません。自分の可能性を広げる様々なチャンスを生かしてほしいと思っています。

 

☆Q2 矢野ゼミ生の男女比、県外出身者比率などを聞かせてください。

★A2

 3年(33期)生は14人中4人、4年(32期)生は13人中6人が女子です。2024年3月までに31期計400人が卒業しましたが、そのうち女子は118人(全体の29.5%)です。

 本ゼミは群馬県内出身者が比較的少なく、卒業生と現役生合わせて433人中90人(20.8%)となっています。県外出身者が8割ですね。

 女子の比率は経済学部全体と同じぐらいですが、県内出身者は学部平均を若干下回っています。

 

☆Q3 矢野ゼミではコンパが多いと聞きましたが、本当ですか?

★A3

 2020年度~22年度は、とにかく新型コロナにたたられました。コンパも、合宿も、ゼミ行事はことごとく、中止に追いやられました(23年度からコンパ復活!)。

 コンパで酒が強要されることはありませんが、本ゼミは「濃厚接触系・体温伝達型」なので、いろいろ語り合い、交流を深める場として「酒席」を大切にしています。

 だからゼミ生には、酒を飲めようが飲めなかろうが、コンパ、合宿への積極的参加を求めています。飲めなきゃ、ウーロン茶でいいわけです。「語り」を大事にするからこそ、一気飲みを含め、酒の強要を禁じているわけです。酔いつぶし、酔いつぶされたところで、何らコミュニケーションできませんから。

 ほろ酔い加減で語り、歌う。笑うこともあれば、泣くこともある。議論もする。

 こんな付き合いだからこそ、こうして時間を共有できるからこそ、「一生もんの人間関係」が育まれるわけです。

 行事盛りだくさんの「濃厚接触系・体温伝達型」ゼミというのは、こういうことです。パンチの効いた味わいです。癖になるかもしれません。

 対極にあるのが「非接触系・断熱型」ゼミですね。お好みでどうぞ。

 

☆Q4 コンパや合宿には参加しなければならないのでしょうか?

★A4

 2020年度~22年度は新型コロナ禍でコンパも合宿も封じ込まれましたが、23年度は完全復活しました。先にも書いたように、そして『経済学部ゼミナール案内』にもあるとおり、当ゼミでは、コンパや合宿を含め、ゼミ行事への積極的参加を促しています。こういう課外活動が面倒な人には、矢野ゼミは不向きです。

 「ゼミに時間を拘束されたくはない。」という学生さんの声をたまに聴きます。自分の進路は決まっている、公務員の試験勉強がある、資格に向けた勉強がしたい、ということでしょうか。それはそれで結構ですが……

  自分の立てた現時点での「目標」に、確たる自信はありますか?

  自分の「勉強方法」に、そんなに自信がありますか?

  自分一人で「モチベーション」が維持できますか?

 よく考えた方がいいかもしれませんね。仲間とともに考え、議論し、行動することによって、いろいろな人に出会うことによって、そして、いろいろな考え方に触れることによって、新たな目標や可能性、効率的な勉強方法が見つかったり、モチベーションが維持されたりするかもしれませんから。

 

☆Q5 矢野ゼミは「金がかかる」と言われていますが、本当でしょうか?

★A5

 『経済学部ゼミナール案内』にあるとおり、矢野ゼミの活動はカリキュラム上・時間割上で完結しません。いろいろな課外活動があり、したがって、そのそれぞれにお金がかかります。

 でもそれは、矢野ゼミに限らず、本気で活動をしているゼミに共通することでしょう。本も買えば、合宿もある。他大学との交流もある。コンパもある。各種試験も受ける。それ相応の金がかかります。

 たとえ必須科目であれ、ゼミも時間割通りの、カリキュラムだけの活動にしたいとお考えの人、「非接触系・断熱型」をお好みの方は、そういうゼミを選択すればいいだけのことです。金もかからないかもしれませんが、それなりのリターンしかありません。どっち選びます?

 金がかかるとはいえ、不合理な、あるいは無駄な金のかかり方ではありません。矢野ゼミの活動で使う金は、それぞれに意味・意義のある金です。無意味な金は使わせません。

 ゼミ活動に伴う金のことにこだわる学生諸君に言いたいのは、金の使い方の優先順位を変えろということです。

 遊びやスマホに金は使うけど本は買わない。車は持っているけどパソコンは持っていない。こんな学生が多すぎます。

 「なんのために車が要るのか。」「バイトに行くためです。」

 「なんのためにバイトするのか。」「車に金がかかるからです。」

 ………合掌。

 なお矢野ゼミには、ゼミ卒業生からの寄付金等をベースにした「ゼミ基金」があり、ゼミ生の様々な活動・チャレンジを支援するために使っています。

 たとえば、ゼミでは3年次にTOEICの受験が求められますが、受験料は一部補助していますし、スコアが一定点を超えれば、受験料をキャッシュバックしています(矢野修一個人からのご褒美もある!)。合同ゼミの旅費も補助しています。

 ちょっと不安な若者の背中を、少しだけ押してあげる。チャレンジの場、頑張る土俵に導く。そして、たとえ小さなものでも、成功体験を積み重ねてもらう。就職活動を含め、矢野ゼミの卒業生が皆さんを応援してくれるのです。

 「濃厚接触系・体温伝達型」の矢野ゼミは、そういうゼミです。こういうゼミのあり方をどう考えるか。それは皆さんが判断することです。

 面倒だと思えば、「非接触系・断熱型」の他のゼミをお考えください。

 

☆Q6 なぜ日本の大学なのに、ゼミ(特に演習Ⅰ)で英書講読をするのですか?

★A6

 理由1:日本における経済学研究の歴史。

 理由2:「世界経済論」というゼミの専門的研究領域の関係。

 理由3:英語の重要性。

 こんなところでしょうか。英語を含め、様々なゼミ活動を通じていろいろな研究をしているからこそ、たとえば、いざ大学院進学というときも慌てずに済むわけです。とりあえずの「基礎」はできあがっていますから(本ゼミでは、卒業してから国内外の大学院で学ぶ人もいます)。

 就職するにせよ、進学するにせよ、英語との関係を断って、この先、生きていこうとするのはかなり難しいのではないでしょうか。学生時代から英語に親しんでおく必要はあると思います。2年半のゼミ在籍中、1回はTOEICを受けてもらいます。

 

☆Q7 英語ができないとゼミの勉強についていくのは大変でしょうか?

★A7

 英語を見るのもいや、聞くのもいや、という人には無理でしょう。

 でも英語が無茶苦茶できる必要はありません。高校までちゃんと英語をやってきた人なら大丈夫。本ゼミには、たとえばTOEICレベルなら、900点以上もいれば400点ぐらいのまでいます。文法や単語について最低限の知識は必要でしょうが、大切なのは、やる気と継続的な努力です。

 英語を不安がるのもいいですけど、私としては日本語の方が心配です。言うまでもなく、日本語能力が一番大事です。

 

☆Q8 「高大コラボゼミ」とは何でしょうか?

★A8

 矢野ゼミ3年生と高崎経済大学附属高校3年1組の生徒が2010年度から共同で行っているグループ学習です。「日本企業の海外戦略」を共通テーマに、毎年、高校生・大学生6グループが6社のケーススタディを行っています。本社HP、新聞・雑誌記事、論文などで中期経営計画、業界・同業他社の動向、世界経済の動き、各種統計などを分析し、7月に企業本社でインタビューを行います。

 高校生と勉強して何になるのか、と思った、そこの君! その時点で「アウト」です。夏の訪問に向け、企業研究を本気で行うことは、実体経済の動きを知り、就活につなげるうえでも非常に重要です。下手なインターンよりも、よほど勉強になるでしょう。

 また意識・能力ともに高い高校生とのグループ学習によって、「教えることを通じて学ぶ」を実践できます(ほとんどの高校生は英検2級以上を取得済みです)。

 「教えることは2度学ぶことである」という言葉がありますが、人に教えるには、当該事象について本当に理解していなければなりません。

 

☆Q9 部活やバイトと両立できますか?

★A9

 できると思いますよ。はっきり言って本学の体育会、サークルのどこをとっても、1年350日も練習しているところなんてないわけです。部によっては、中学校の部活の方が時間的にきついといったところもあるでしょう。休みだらけですよね。

 これまでのゼミ生は、いろいろな部・サークルに所属していました。試合や遠征・合宿などでゼミを休む場合も、その旨、事前に連絡をもらえれば許可しています。大丈夫です。あなたが何部であってもやっていけます。

 そしてバイトですけどね、矢野ゼミの活動に支障が出るほど、時間的・肉体的にきついバイトというのは、もはや矢野ゼミがどうのという問題ではなく、そりゃバイトやりすぎです。普通のバイトなら、たとえ留学生(これまで10名在籍した実績があります)でもゼミ活動と両立できます。ゼミ活動の中心となる木曜日と金曜日だけはバイトを外した方がいいですけどね。

《参考:矢野ゼミ現役生・卒業生体育会所属クラブ一覧》

 矢野ゼミは、本学でこうしたデータが揃う、おそらく唯一のゼミです。ちなみに、体育会で矢野ゼミの所属実績がないのは、ソフトボール部、剣道部だけです。

硬式野球:9名、準硬式野球:1名、ラグビー:3名、アメリカンフットボール:9名、サッカー:4名、バスケットボール:8名、バレーボール:4名、極真空手道:2名、空手道:2名、弓道:11名、柔道:4名、少林寺拳法:3名、合気道:1名、ソフトテニス:7名、硬式テニス:3名、バドミントン:8名、水泳:6名、陸上:12名、ワンダーフォーゲル:5名、ローバースカウト:4名、サイクリング:4名、自動車:2名、ボート:4名、卓球:5名、ハンドボール:1名、ラクロス:5名

 

☆Q10 ゼミ卒業生の進路について教えてください。

★A10

 下記《参考A・B》ほか、別掲資料「矢野ゼミ卒業生の進路2024年版」にあるとおりですから、それを参照してください。

 ゼミ生の就職先・進路が「良い」のか「悪い」のか、皆さんの判断しだいですが、これらはあくまでもゼミ生個々人の様々な努力の結果であり、ゼミに所属するだけで進路が保証されているわけではありません。担当教員が必要以上に手助けをするなどということもありません。

 ただし、各地・各方面で活躍している面倒見のよい卒業生は大勢いますし、彼らによる就活サポートは「最強」です! 卒業生がゼミにふらっと立ち寄るというのも、矢野ゼミの特長ですね。

 「濃厚接触系・体温伝達型」のゼミに入れば、第一線でバリバリ活躍する数多くの卒業生に会えるでしょう。「出会い」のチャンスがいっぱいあります。

《参考A:卒業生400人「卒業時」の進路・業種等上位5》

① 大学院進学(46人)②公務員(38人:国家5人、地方33人)②地方銀行(37人)④メーカー(36人)⑤信用金庫・信用組合(15人)

《参考B:卒業生400人「現所属組織」上位5》

① 日本銀行(9人)②群馬銀行(6人)②東日本旅客鉄道(6人)④日本年金機構(5人)⑤ 前橋市役所(4人) 

 

☆Q11 卒業生には大学院進学者が多いそうですが、それは先生が勧めているからですか?

★A11

 国内外の大学院で学んだ(学んでいる)卒業生は、全部で56人います。高崎経済大学史上、大学院進学率は最高だと思います(本学大学院への進学者はいません)。

 私が勧めた結果でしょうか。まったく逆ですね。大学院進学は基本的には勧めません。

 大学院を出ても、それに見合う専門的な就職先は、なかなかないからです。まともな大学院への進学はそれなりに難しい。大変な勉強時間が必要です(学生には、1日最低10時間は勉強しろと言います)。そして進学したところで、ちゃんとした論文を書かないと専門的能力を認めてもらえません。

 さらに、苦しみながら論文を書いたところで、それを生かした就職先はなかなか見あたらない。安易な大学院進学など、人生を誤るのでやめておきなさい、というのが私の指導原則です。

 でも、大学院進学の目的・意識のしっかりした人には、私にできる限りのバックアップをしてきました。修士号が最低必要という職種もありますからね。

 しかしながら、進学をキャリア・アップないしキャリア・ロンダリングあるいはモラトリアムと勘違いしているやつは、ご遠慮いただいています。

 研究というものをなめちゃ、いかん。これが、未熟ながら、この道で先に禄を食んでいる者としての、せめてものツッパリなのです。

 

☆Q12 「こんな私」でもやっていけますか?

★A12

 「どんな私」か、分かりませんが、特別な予備知識はいりません。

 学ぼうという真摯な姿勢、普通の人付き合いができるコミュニケーション能力があれば事足ります。

 何よりも重要なのは、「やる気」と「素直な心」です。

 公開されている様々な資料などを熟読し、実物の矢野を見て、それでもこのゼミに入りたいと思った人は、エントリーしてみてください。

 たったひとつのゼミしか応募できません。悔いのないように。大学生活はゼミで決まります。ゼミがすべてと言っても過言ではありません。

 「楽勝」を基準にゼミを選んでいる時点で、あなたの大学生活は、ある意味で終わっています。楽をしていると全力の出し方を忘れてしまいますよ。頑張った先の達成感をわがゼミで味わってみてください。