地域政策学部T先生をチーフとする産業研究所のプロジェクト研究会は毎回刺激的です。年に何度か、外部講師を招いての公開研究会もあり、これまでにも、公立大学の法人化をめぐる諸問題など、いろいろと興味深いお話を聞けました。 先日、その研究会で立命館大学キャリアセンター・キャリアオフィス課長Oさんから、立命館大学キャリアセンターの進路就職政策に関するお話を聞けました。一言で言うと、圧倒されました。大学がここまで取り組んでいるのか、と驚かされました。専従職員約20名以外に、契約職員、臨時職員も合わせて約50名のスタッフが様々な側面から学生の就職を支援しています。データも豊富です。マンモス大学でありながら、大学ができるだけ学生1人1人の希望や適性を把握しようとしています。女子の学生数が、日大、早大に次ぎ、全国第3位ということもあり、女子学生に的を絞った企画、制度も充実しています。 これだけの就職支援体制を整えるため、職員の研修制度も充実しており、年間かなりの研修費が職員個々人に対し支給されています。このことひとつとっても、高崎経済大学の就職支援体制は貧弱と言わざるを得ません。あちらは就職「部」。こちらは職員4名(臨時職員1名を含む)の就職「係」。もちろん、職員個々人に研修費が支給されることなど、ありません(このような体制のもと、本学就職「係」は、よくやってくれていると思います)。 2時間ほどお話を聞き、その後、駅前での懇親会となりました(私、この日初めて、東口にできたヤマダ電機本社ビルに足を踏み入れました。ヤマダ電機のダイニング・フロアにある店で懇親会となったためです)。ビールを飲みながら、話の続きをお聞きしたのですが、やはり彼我の差に圧倒されました。しかしながら、図書館会議室でのお話の時から感じていたのですが、事務局体制を立命館並みに整えるのは、現段階では無理でも、同じ機能を高崎経済大学に作り上げるのは、そんなに難しくはない。それどころか、たとえば「ゼミ」単位ではすでに機能している。そう感じました。 たとえば、立命館大学のキャリア形成支援制度のひとつに、スチューデント・ネットワークというものがあります。これは、ジュニア・アドバイザーと呼ばれる、すでに就職の内定した4年生が下級生の相談に乗ってやったり、キャリア・アドバイザーという、立命館の卒業生が「就職合宿」などで在学生の就職活動を支援するという制度です。卒業生もただ現役生の相談に乗ってやるというだけではなく、卒業後のいろいろな悩みや問題を、同じキャリア・アドバイザーとの懇談会や専任教員との交流を通じて話し合い、問題の解決に向けて進んでいくというものです。 これって、細部は異なっても、すでに矢野ゼミでやっていることです。卒業生はしょっちゅうゼミに顔を出す。長期休暇前に、2年から4年まで勢揃いの進路オリエンテーションを開催し、懇親会でいろいろな意見交換をやる。実際に就職活動を始めたら、第一線でバリバリ活躍している卒業生から、エントリーシートをチェックしてもらったり、模擬面接をしてもらったりする。卒業生は、ゼミの雰囲気が懐かしくなったり、自己研鑽の方向性を少し見失ったりしたら、学部ゼミやゼミ合宿に参加したり、あるいは、ポシビリズム研究会に参加できる。 矢野ゼミ以外でも、本学では、多かれ少なかれ、濃淡はあれ、同じようなことをやっているゼミは少なくありません。つまり、立命館をはじめとする大規模大学と同じ制度・スタッフではなくても、同じ機能は、やりようによっては実現できるということなのです。必修のゼミはその重要な媒体となり得ます。マンモス大学は、立命館をはじめ、設備面・スタッフ面で、ゼミの必修は困難です。就職部を作り、そこで対応せざるを得ません。国公立大学では、ゼミが単なるカリキュラム以上の意味合いをもち、カリキュラムを超えた機能を現実的には果たしています。 8月8日金曜日、オープンキャンパスの日。高崎経済大学矢野ゼミナールは、前期打ち上げとなります。午前中は、今や恒例となっている矢野ゼミ就職・進路ガイダンス。2年生から4年生まで全員、午前9時30分、143教室に集まります。3年生には前日までに、就職進路調査用紙を提出してもらいます。当日、私からは、調査用紙に書かれた内容をふまえつつ、ちょっとした講話。就職活動を終えた4年生からは現役生にアドバイス。3年生はそれに応えて1分間スピーチ。2年生は今のうちにそのやりとりをよく聞いておく。午後のスポーツイベントで交流を深め、夕方からのコンパでは、学年を超え、いろいろな人といろいろな話をする。矢野ゼミの前期打ち上げは、ゼミ生が進路を考えるきっかけとなるという意味でも大変重要な機会なのです。 今年の前期打ち上げですが、午前中に行われるガイダンス段階から、ゼミ6期生Y君が青森から緊急参加してくれます。ありがたいことです。熱い話、社会人としてのちょっとした苦労話、悩み、いろいろな話が聞けるでしょう(Y君以外の卒業生の参加も大歓迎です。コンパは午後6時30分開宴です)。現役生諸君は、心の窓と耳を開いて、じっくり話を聞いてください。どんなに素晴らしい制度が整っていようと、どれだけの人が目の前に現れて、どれだけ貴重な話をしてくれようとも、学生の側に主体性がなく、素直な心がなければ、何にもなりません。一期一会。チャンスの後ろはツルッぱげ。いろいろな言い方はありますが、この貴重な「出会い」を大事にしてください。 私、来週も多忙です。めちゃくちゃ忙しい。でも、週末の8月8日、前途有為な若人といろいろな話ができることを楽しみに、「お仕事」に取り組みます。