呼ばれてもいないのに突然、「ハクション大魔王」(みんな、知ってる?)が登場した感じです。何がって?いや、岸田首相がどういう脈絡か、「花粉症は日本の社会問題だ」「国民的課題に対処する」なんて急に言い出したから。
 大丈夫ですかね、この国。くしゃみ、鼻水でビジネスパーソンの生産性が落ちると、今さらながら思ったのかもしれませんが、政策の優先順位を間違ってませんかね。わろてな、しゃあないで、ホンマに。論点のすり替えを狙っているのでしょうか。それとも、単に〇〇なだけ?
 ハクション大総理は、国会議員の補欠選挙、統一地方選を前に、あれもやります、これもやります、花粉症とめます、と財源を示さないまま吠えていますが、大丈夫ですかね、この国。 政府の累積財政赤字は1000兆円を超え、GDPの3倍弱。日銀の国債保有が5割を超えている異様な状況です。世界的な金融不安がくすぶるなか、この状況をいつまで続けられるのでしょうか。中央銀行の独立性などまったく無視して、日銀を政府の子会社と位置付けた先々代以来、10年にわたり続けられた異次元の金融緩和に出口はあるのでしょうか。親分を変えたからといって「安全な出口」が見つかるわけではありません。
 財政運営の持続可能性が疑問視されるなか、1発5億円のトマホークを400発、合計2000億円を敵基地攻撃用に振り向けることを含め、異次元の軍拡は既定路線ですから、このままだと、国民生活が危機に瀕する(「安全」が「保障」されない)のは目に見えています。それでも、やっぱり自民党なんですかね、この国は。
 「停波大臣」から免許剝奪をちらつかされてビビっているのか、選挙を前に、マスコミは、あれほど騒がれた統一教会問題を、自民党との関連では報道しません。タカイチやガーシーの「首」をめぐるネタを引っ張りまくり、WBCネタで尺を使いまくり、話題にすべきネタを取り上げない。本来なら(子育て支援の総本山らしい「子ども家庭庁」のネーミング問題を含め)、今こそ、自民党と統一教会のズブズブの関係をあらためて問いただすべきなのに、選挙を前に、政権政党からの政治的中立性云々という批判を恐れてか、触れようともしない。ズブズブの関係は、国会議員同様(もしくはそれ以上に)、地方議員もひどかったはずなのに、です。
 マスコミがこんな調子だから仕方ないのかもしれませんが、日本国民はこの状況でも、目先の「パンとサーカス」しか求めないのでしょうか。大魔王がとんでもない世界に導こうとしているのに。「この国民にして、この政府あり」ということなのでしょうか。
 フィンランドのNATO加盟で抑止力が高まるどころか、「ナチズムと戦う」というロシアの大義名分はさらに勢いづくでしょう。核配備、核兵器使用のリスクも高まります。そうしたなか、ハクション大魔王が降臨し、花粉症対策を謳うのが今の日本です。
【最近いただいた本】
☆小林尚朗・篠原敏彦・所康弘編『貿易入門(第2版)―世界と日本が見えてくる』大月書店、2023年、2300円;
 歴史や理論はもちろんのこと、実務を含め貿易を分かりやすく解説している。大学生に世界とのつながりを意識させ、学びに導くため、いろいろな工夫がある。章の冒頭に「あらすじ」があり、章の終わりで「課題」を示して、学習の手助けとしている。
 アジア・コンセンサス研究会の若手メンバーが数多く寄稿するテキスト。初版に続き、好評を博すことを期待している。