いよいよ新年度スタートです。私にとって、高崎経済大学における27年目のシーズンが始まりました。 4月3日は、発令式でした。新たに管理職に就いた人、昇任した人、新規に採用された人などが事務棟大会議室に呼ばれました。2015年4月から2017年3月まで、私は広報室長としての任にありましたが、本日、図書館長を拝命しました。時を経て、いろいろと充実してきた高崎経済大学の図書館の機能を2年の任期中にどこまで高められるか、非常に心もとないですが、今までの役職同様、いろいろな人の協力を得ながら誠心誠意務める所存です。 広報室長として、形の残る最後の仕事は『高崎経済大学60年誌』への寄稿でした。法人化後の広報活動を簡単に振り返ったものです。当たり障りなく(!)、まとめています。『60年誌』など、ほとんどの人の目に触れないと思いますので、「第6章 広報室」を、図表等を除いたうえ、以下に転載しておきます(記念誌の完成時には、表記等が若干異なるかもしれません)。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.法人化後の広報活動 2011(平成23)年4月の本学法人化後、「広報情報課広報担当」が設置され、『大学案内』『たかけい学報』の作成、ホームページの管理・運営・更新など、各部局に分かれていた広報誌作成や情報発信などの業務が集約され、広報活動の充実と効率化が図られた。数次の組織改編を経て、2015年4月からは「広報室」が本学全体の広報活動を担っている。「知の拠点としての高等教育機関である本学への理解と認知度を高めてもらうため」に行われる広報活動の「基本方針」は以下のとおりである。(1)情報発信にあたっては、提供先とメディアミックスを考慮し、最適な情報を適時・的確に発信する。(2)提供すべき情報の情報源・収集方法・蓄積方法を常に精査・確認し、提供先にふさわしい情報デザインを施した上で、情報発信する。(3)法人・学部・研究科と連携し、戦略的な広報活動を行う。 現在、広報室ではこの「基本方針」に基づき、『大学案内』『たかけい学報』のほか、大学紹介DVD、さらにはキャリア支援センターと協力しながら「採用担当者向け資料」を作成している。2015(平成27)年度から、「全国型公立大学」をより明確に伝える手段として、47都道府県出身の学生を一言メッセージとともに紹介する『47 Colors』を新たに制作し、オープンキャンパスや大学説明会等、様々な機会に配付している。 重要な広報媒体であるホームページは、2012(平成24)年4月、リニューアルされた。2016(平成28)年1月からは、スマートフォン向けに最適化が図られ、閲覧の利便性が高められた。2013(平成25)年4月に英語版、翌年、中国語版のホームページが開設され、広報活動の国際化に向け、第一歩を踏み出した。 2017(平成29)年2月にはTwitterでの情報発信を開始するとともに、Google Street Viewで学内の様子を公開するようになった。 法人化後、予算を拡大し、教職員一丸となっての大学運営や「全国型公立大学」の魅力・特長を様々な機会・媒体を通じアピールしてきた結果、2016(平成28)年度入試において本学は、志願者数で「国公立大学TOP10」入りを果たした。   以下では、主な広報活動について近年の状況を紹介するとともに、今後の課題についてまとめる。2.大学訪問 「大学訪問」とは、高校からの要望で生徒や教員、保護者を学内に招き入れるものである(「要望」は各高校の進路担当から直接、または業者を通じて本学に届く)。本学にとって広報活動であると同時に、高校の進路指導などに協力する社会貢献活動でもある。訪問する高校生らは、経済学部・地域政策学部で学ぶ内容、入試制度、学生生活、就職状況について説明を受けたり、授業や施設の見学を行ったりする。希望があれば、学食体験も実施する。対応するのは、学部長や学科長、学生部長、担当職員などであるが、学事日程の都合上、受け入れられない場合もある。 近年の実施状況は以下のとおりである(*…図表略。大学訪問参加人数は2011年度の379人から2016年度には1140人になった)。3.出前授業 「出前授業」とは、高校からの要望で、本学専任教員が高校まで出向き、高校生に対し講義を行うものである。「要望」の届き方、活動の意義等は「大学訪問」と同様である。学事日程や予算が許すかぎり、群馬県内はもとより、全国各地の高校の要望に応えている。2016年度には、北海道でも出前授業を行った。10月から12月初旬にかけては依頼が殺到し、近年では毎日どこかで誰かが出前授業を行っているという計算になるほどである。出前授業は、本学専任教員が実際に高校生と接する貴重な機会にもなっている。 近年の実施状況は以下のとおりである(*…図表略。出前授業受講者数は、同期間、1625人から3313人になった)。4.オープンキャンパス 「オープンキャンパス」は、高校生、保護者、高校教員らを本学に招き、入試やカリキュラム、学生生活、就職状況などを説明する大学説明会、各学部の模擬授業、保護者向け説明会、個別相談、学食体験、入試過去問配付などを行うものである。模擬試験や高校の学事日程等を考慮しながら、毎年2回、7月と8月に開催している。 オープンキャンパスでは、教職員はもちろんのこと、学生諸団体の協力を得て、各種イベントや会場整理などに数多くの学生が参加している。アンケート調査から、学生による個別相談、キャンパス案内、ゼミ展示は、高校生・保護者から好評を得ていることが確認できる。オープンキャンパスは現役学生の協力で盛り上がり、訪問者数が増加して、2016年度は3,500名を突破した。個別相談やゼミ展示などで、自らの学生生活、研究内容を高校生に直接語りかける機会は、本学の学生にとっても貴重な経験となっている。 近年の実施状況は以下のとおりである(*…図表略。オープンキャンパス訪問者数は、同期間、1714人から3560人になった)。5.1日大学体験DAY 特別なプログラムを用意して行われる「オープンキャンパス」と異なり、「1日大学体験DAY」は、高崎経済大学の日常をそのまま高校生・保護者などに体験してもらうイベントである。事前予約の上、一般学生とともに同じ教室で講義を受け、学食で食事をとり、図書館等も見学する。個別相談窓口を用意してあるので、オープンキャンパス同様、教職員に様々な質問・相談ができる。 1日大学体験DAYは、2014年度から始まり、公立高校が休業となる群馬県民の日(10月28日)、また近隣2県、埼玉県民の日(11月13日)と茨城県民の日(11月14日)に開催されている。大学の学事日程の関係で祝日に通常授業が行われる場合、1日大学体験DAYを開催することもある。参加者へのアンケート結果から、本学の実情を知ってもらう良い機会になっていることが分かる。 近年の実施状況は以下のとおりである(*…図表略。群馬県民の日の参加者は200名を超える)。6.各種大学説明会 本学の大学説明会は、上記イベントの一プログラムとしてだけではなく、学内外において様々な機会に行われている。毎年6月には、「ぐんま公立4大学合同説明会」が行われる。高崎経済大学、群馬県立女子大学、群馬県立県民健康科学大学、前橋工科大学の学長によるシンポジウム、学生によるステージイベントのほか、教職員、学生による個別相談会が開催される。公立4大学の共催ということで、群馬県内のみならず、近年では、少数ながら東北など遠方からも高校生・保護者・教員が訪れる。 7月ないし8月には、学内で入試制度やカリキュラム、学生生活、就職状況について「高校進路担当教員向け説明会」が行われている。質疑応答では、例年、推薦入試に関する質問が多くなるが、これも北陸、東北など遠方の高校からの参加がある。近年では、「県外進学説明会」を一般財団法人「高崎経済大学後援会」支部総会に合わせて、あるいは本学入試チーム単独で行っている。後援会との共催では志願状況等を考慮し仙台・金沢・名古屋で開催している(仙台は毎年、金沢・名古屋は隔年)。2015(平成27)年度は札幌、今年度は富山でも行われた。入試チーム単独では、志願者、また大学訪問・出前授業の要望も多い長野県と栃木県で実施している(近年では、このほか新潟県、茨城県での開催実績がある)。志願者が多く、本学にとって重点地域と言ってよい群馬県内・近隣県の高校には、学長、副学長、両学部長らが直接赴き、大学の説明、広報活動を行っている。 民間業者主催の進学説明会等に参加する機会も多い。大きなイベントしては、(株)フロムページが主催する「夢ナビライブ」がある。これは高校生に大学の学問分野を紹介するためにブース説明や教員によるライブ講義(のちWebで動画配信)を行うもので、2015(平成27)年度の「夢ナビライブ東京」に初参加し、今年度は東京、大阪、名古屋に教職員が出向いた(名古屋はブース説明のみ参加)。 このほか、県内を中心として業者主催の説明会・進学相談会に入試チーム職員が参加している。留学生向けには、毎年、東京で開催される大規模説明会に教職員が赴き、ブース説明を行っている。7.これからの広報活動 法人化後の広報活動は、組織改編、予算拡充が功を奏し、志願者獲得に結びついているが、「全国型公立大学」として発展し続けるためには、さらなる予算増を含め、なおいっそうの努力が必要である。 近年、後援会支部総会との共催で大学説明会を行ってきたが、本学の広報活動において、後援会、そして同窓会との協力がますます重要になるであろう。日本各地に広がる保護者・卒業生は、全国型公立大学としての本学にとって貴重な広報媒体である。こうした認識に基づき、2015(平成27)年度から、両組織の支部長などに、広報誌や研究所のプロジェクト報告書、経済学会・地域政策学会の紀要など大学の刊行物を送付し、知の拠点としての本学の現状を伝えている。今後も継続すべきである。 2016(平成28)年度においても、本学学生の7割以上が群馬県外の出身であり、47都道府県から受け入れているが、西日本の比率は低くなっている。これからは名古屋以西の広報に注力し、そのためにも、後援会・同窓会組織との連携、名古屋・大阪・福岡方面での夢ナビライブなどへの参加、出前授業を推進すべきである。 広報媒体としては、ホームページをリニューアル、スマホ最適化するとともに、Twitter等、ソーシャルメディアの活用を進めてきたが、適時・的確に情報を発信するための方策を今後とも模索し続けなければならない。 広報活動は、広報すべき「中身」があってこそ成り立つ。「上げ底」はすぐに露呈する。そうした意味で、本学の教育力・研究力を高め、優秀な卒業生を世に送り出すことこそが、時間を要するようで最も確実な広報活動となる。創立60周年を機に、教職員がこの点をあらためて認識する必要がある。