高崎経済大学では、新年度2週目から対面講義が始まり、本日から本格的に「開講」しました。今は履修者が確定してから、適切な教室を充てるため、初回講義はオンライン/オンデマンドとなっています。昨年度までは、新型コロナ禍により教室定員の半分で対面講義を行うことになっていたので、このような形式だったのですが、新年度の適切な教室配置を迅速に行うべく、そのまま「制度化」されたようです。履修登録前に教室を決めてしまうと、開講後、教室変更の必要性が生じ、混乱を招く場合があるからです。
 定員があり履修者が決まっているゼミ(演習)については、初回から対面開講なので、矢野ゼミも演習Ⅰは4月7日、演習Ⅱは4月13日に始まっています。もっとも、今年は春合宿を実施しましたから、実質的には3月31日に、ゼミとして「始業」しています。
 4年ぶりの春合宿は、倉渕町川浦の「はまゆう山荘」で行い、ゼミとしての「始業式」(近況報告、行事日程の確認、年度初めのガイダンス等)と輪読(テキスト:西垣通『超デジタル世界―DX、メタバースのゆくえ』岩波新書、2023年)を3年・4年合同で行いました。「濃厚接触系・体温伝達型」プログラムの復活です。「同じ釜の飯を食い」「ひとつ屋根の下で」長時間過ごしました。2階大広間において全員で夕食。1階多目的室では、始業式と輪読、そして初日夕食後の2次会です。 昔は当たり前だったことが当たり前ではなくなり、ようやく復活したワイガヤのひととき。その光景は感慨深いものがありました。あちこちでできあがる談笑の輪。パンデミック下では、徹底的に忌避された営み。日本酒、ウィスキー、ビール、焼酎の瓶や缶が次々カラになりましたが、結局のところ、一番はしゃいでいたのは私かもしれません。
 2日目の朝食時間の7時30分ごろ、自分の部屋から32期合宿委員のN君に「そろそろ朝飯やから、みんな起こして食堂までおいで」なんて電話をしたら、「みんな揃ってます」との返事。昔は必ず何人かは朝食パスだったのですが、ちゃんと食べてましたわ。食堂への到着が一番遅かったのは、前日飲み過ぎて頭の重かった教員でした。 3年、4年とも初回ゼミから、輪読開始。3年(32期)生は、Manfred B. Steger, Globalization: A Very Short Introduction, 5th edition, Oxford University Press, 2020. を読み始めました。初回の訳業をみていると、今年もゼミ史に残る「珍訳」が生まれそうな予感です。 14年目を迎える高経附との「高大コラボゼミ」は4月25日に始まります。今年こそは、リアル企業訪問の復活を願っています(春合宿に輪読した『超デジタル世界』を高大コラボゼミの共通テキストとしています。DX化は企業研究でも大きなテーマとなりえますから)。
 4年(31期)生は、恒川恵市『新興国は世界を変えるか―29カ国の経済・民主化・軍事行動』(中公新書、2023年)を読み始めました。DXとか、グローバルサウスとかは、これからしばらくの間、グローバル・ポリティカル・エコノミーの主要テーマになるでしょう。春合宿の輪読テキストとともに、就活にも、卒論テーマ探しにも活かしてほしいと思います。
 私の講義も今週から対面式です。木曜4限は「アジア経済論」、金曜2限は「世界経済論Ⅰ」です。合わせて、のべ200名ほどの履修生。2年生は前期中にゼミを選択するわけですが、履修者には、その2年生も結構います。講義を通して「なまの矢野」をストレートに伝えていきます。ゼミ選択にミスマッチがないように。 先週4月14日は、履修者確定を受けた教室配置作業のため、全学休講。午後からゼミ選択ガイダンスと経済学部ゼミナール協議会主催のゼミ説明会がありました。30期・31期は3次募集、32期も2次募集までいきました(「不人気ゼミ」の評価定着?)から、今年は何とか1次募集で定員の13名を満たせるよう、募集活動に力を入れるつもりです(毎年、入れてるけどな)。ゼミ選択専用のTeamsに、早めに参考資料をアップしました。 32期生にはシフトを組んで個別説明会会場にいてくれるよう、お願いしておきましたが、当日は最初から全員集まってくれました。そして、例年よりも出足好調だった2年生相手に、一生懸命、個別にいろいろと「説明」してくれました(私も会場に出向き、冒頭で概要を伝えました)ので、33期生については、4年ぶりに1次募集で決まるかもしれません。
 そんなこんなで、33年目のシーズン開幕です。定年まで、あと3年。枯れることなく、そして大人げなく、アクセルふかしまくります。
【最近いただいた本】
☆石田周『EU金融制度の形成史・序説―構造的パワー分析』文眞堂、2023年、3400円;
 立教大学Sさんの弟子の単著。スーザン・ストレンジの「構造的権力」論を発展的に継承しながら、EUの金融制度の展開過程をまとめている。W.シュトレークが論じたように、EUにおける「民主主義の赤字」は、グローバル・ポリティカル・エコノミーの帰趨を左右する。再国民国家化も議論されるなか、「民主主義の赤字」という状況に非国家的アクターはどのように関わるのか。考えるヒントを得たい。