いよいよ本日、2018年度開講です。私にとって28年目のシーズンが始まります。1991年4月に着任した私は、経済学部最古参の専任教員として新年度を迎えます。 恒例の春合宿は、先週、牛伏ドリームセンターで行いました。高崎市の直営施設で昨年度から高崎経済大学後援会が利用補助券を出してくれるようになったところです。はまゆう山荘、ゆうすげ元湯、レークサイドゆうすげ、倉渕町クラインガルテンとともに、学生諸君に対し、1回の宿泊につき4000円の補助が出ます。非常にありがたい制度です。 先週月曜日、体育館前に行くと、以前、市から大学に派遣されていたSさんがバスで迎えに来てくれていました(相変わらず、幸せ感を漂わせる好人物でした)。牛伏ドリームセンターは吉井町ですから、30分ほどで現地到着。その後、春合宿開始となりました。 私からの少々長めの新年度オリエンテーションのあと、ブランコ・ミラノヴィッチ『大不平等―エレファントカーブが予測する未来』(みすず書房、2017年)を輪読。ゼミ生の議論を聴いていると、どこまで理解できたのか不安がよぎりますが、何とか合宿中に読み終わりました。一応読み終わりましたが、いつも言うとおり、ゼミ生諸君は、今後いろいろな場面で「生かして」くださいね。一度「目を通して」終わりではなく、これからの様々な議論の場で、参照したり、言及したりしながら、議論の質を上げてください。ゼミの課題テキストは、読み捨てたり、読み散らかしたりするものではありません。何度も反芻してください。それでこその輪読です。 新3年生(27期生)は、正規のゼミで、Manfred B. Steger, Globalization: A Very Short Introduction, Oxford U.P., 2017.を読んでいきます。最初は全文訳をしながら、ゆっくり読み進めます。上述のとおり、既読テキスト、さらには新聞・雑誌の記事・論文などを引用、あるいはそれらに言及しながら、議論のレベルを上げてください。原著は2003年の初版発行以来、4版を重ねる名著です。矢野ゼミのメンバーで精読すれば得るものも大きいでしょう。日本語(書き言葉・話し言葉)の語彙力・表現力も磨いてください。 高大コラボゼミも4月17日に始まります。こちらは9年目となり、これで、のべ54社の企業研究に取り組んだことになります。助走期間が終わり、矢野ゼミ3年生は、原書講読、高大コラボゼミ、合同ゼミなど、ゼミが本格始動となります。ゼミでの議論を円滑に進めるにも、ゼミ生には、世界経済論(金曜1限)、開発経済論(木曜4限)の履修(ないし聴講)は必須にしたいと思います。「ボトム」を合わせておかないと、コラボゼミをするにも、合同ゼミに向かうにも大変ですからね。 新4年生(26期生)は就活真っ盛り。自らの進路に向け、悔いのないように活動してください。合宿のオリエンテーションで繰り返したように、どれだけ忙しくても、卒業論文のことは忘れないように。そして、演習Ⅱの日を「わざわざ選んで」「あえてそこに」就活を入れないように。大局的・客観的に活動を進めるためにも、ゼミでの議論をおろそかにしないようにしてください。どうしても近視眼的に動いてしまいますから。 4年生最初の輪読テキストは、三谷太一郎『日本の近代とは何であったか―問題視的考察』(岩波新書、2017年)です。その後、橋本健二『新・日本の階級社会』(講談社現代新書、2018年)を読む予定です。例年どおり、4年生は日本経済・社会の現状をテーマとするテキストを輪読します。 高崎経済大学図書館長としての仕事は2年目となります。1年間、大したことはできませんでしたが、それでも、図書館の様々な機能を向上させるべく、職員の方々と協力しながら改善に努めました。 開店休業状態だった「学習に役立つリンク集」を充実させたこと、1階ラウンジで留学生と国内学生との英語での交流プログラムを開始したこと、教員推薦図書をウェブ上でも公開するようにしたことなどが目新しいことでしょうか。シュンペーター的イノベーションなど望むべくもありませんが、このほかにも日々、小さな改善に取り組みました。図書館職員の皆さんの「気づき」や「アイデア」に助けられました。今年度もよろしくお願いします。 赴任後27年が経過し、30歳の青年は、いつの間にやら60歳に手が届く年になりました。いろいろありましたが、アラ還教授、今年も頑張ります。