昨年4月から、私、日本テコンドー協会(JTA: Japan Taekwondo Association)の評議員を務めています。日本テコンドー協会の評議員を引き受けるに至った経緯等については、2011年12月3日付の「研究室だより」で書いたとおりです。 テコンドーをめぐっては、最近、ニュースでいろいろと取り上げられています。女性に跳び蹴りを食らわせて盗みを働いた「師範」のニュース。そして、今回は、日本オリンピック委員会(JOC)に所属するテコンドーの競技団体が補助金を不適切に受給していたという問題です。 どちらも、私が評議員を務める日本テコンドー協会とは無関係の「事件」です。日本テコンドー協会のHPにも簡単な声明が載っていますが、日本テコンドー協会の名誉のため、ここ「研究室だより」でも、若干のコメントを残しておきます。 テコンドーは様々な団体に分かれています。JOCに加盟し、選手をオリンピックに派遣しているのは全日本テコンドー協会(AJTA: All Japan Taekwondo Association)です。JOCに加盟できるのは一競技一団体で、今は全日本テコンドー協会が加盟しています。公金のずさんな扱いが問題となり、JOC理事の辞任まで引き起こしたのは、この団体です。もう一つ、日本ITFテコンドー協会(International Taekwon-do Federation Japan)という団体もあります。どちらも社団法人ですが、名前が似通っていることから、強盗致傷事件の時も、今回の補助金不正受給についても、日本テコンドー協会と混同されることが多く、(もちろん私が直接対応しているわけではありませんが)協会は大変な迷惑を被っているはずです。 日本テコンドー協会は、古くからの友人・河明生氏が会長・宗師範を務める武道団体(ことの性質上、実名を挙げておきます)で、全国各地に支部があり、毎年、フルコンタクトテコンドー全国大会を開催しています。衆議院議員・河野太郎氏が協会の顧問を務めています。 オリンピック参加を目標とするのなら、全日本テコンドー協会に吸収されたはずだし、世界を視野に入れて大規模拡大路線をひた走るつもりなら、ITFの傘下に入ればいいだけのことですが、そうしなかったのは、河明生の目指す路線がそれらの団体とは異なるものだったからです。詳細は省きますが、彼の目指すものは、武道の本質に、より近いところにあります。河氏の理念に賛同するからこそ、大した力にはならないにせよ、私も評議員に名を連ねさせてもらっているわけです。JTAの組織運営に問題があれば、一評議員として物申しますし、信義にもとる行為があった場合には、もちろん評議員は辞するつもりでいます。 河明生氏の「人」と「なり」は、彼自身の手による「ブログ河明生我輩硬派感傷主義」でもよく分かりますので、興味のある方は参照してください。個別の諸論点に関し、すべて同意見などということはもちろんありませんが、私も毎回おもしろく読ませてもらっています。