大学院生時代、5年間、日本育英会(現在は独立行政法人日本学生支援機構)から奨学金を借りていました。総額で約450万円。このたび、全額特別免除の要件を満たし、奨学金の返済を免除されました。特別免除職に就き、15年間勤務したからです(高崎経済大学の教員になって15年が過ぎたということですね)。 5年間、この奨学金+アルバイト(予備校・塾講師、家庭教師等)で、年間授業料25万円、書籍代、その他備品や消耗品類、出張旅費等々をまかなうことができました。贅沢はできなかったものの、貧乏院生にとって、この奨学金は大変ありがたいものでした。先人の築いてくれた制度のおかげで、恵まれた条件の下、勉強を続けることができました。育英会の奨学金がなければ、自宅生の私でも、大学院での研究環境は、より厳しいものとなっていたはずです。 私たち院生の間では、「育英会奨学金には各研究科の割当枠があって、大学院各研究科はこの枠内で合格者を出す」というのがもっぱらの噂となっていました。そのころ、定員はたしか40名だったと思いますが、合格者は毎年12~15名でした。それで、院生が全員奨学金をもらっていたかというと、そういうことはなく、親の所得が制限を超えていて奨学金をもらえないという人が結構いました。私の場合、文句なしにもらえましたので、京大生の親の平均的な所得水準からすると、わが家はかなり下であるということが実感できました。 今や大学院重点化で院生の数が半端じゃないくらい増大し、新たな研究科も数多くつくられました。院生の研究条件は悪化し、就職も厳しくなりました。奨学金の採用人数は増えたものの、全額特別免除というのは今ではなくなったようです。「優秀」と認められるような研究には、日本学術振興会の特別研究員という制度が充実してきましたが、多くの院生にとって、研究と生活の両立は容易ではなく、また将来の不安も尽きないようです。私の場合、大学院満期の時に就職が決まり、オーバードクターを経験しませんでしたが、ただただ運が良かったと言うしかありません。今のような状況なら、当時の私の業績では、とても就職などできなかったでしょう。 今年も大学院入試の合格発表が相次ぐ季節となりました。わがゼミ生の進路やいかに。

メッセージ
合格【矢野】
(2006-10-05 10:45:00)

 14期生の留学生2人、H君とCさんがこのたび一橋大学大学院に合格しました。「頑張る土俵」への入場券を得ただけですが、とにもかくにも、おめでとうございます。経済的にもしんどかったと思いますが、2人で協力しながらよく頑張りました。