予告しておいたように、今年の3年生(20期生)から就活関連の本の輪読を始めます。2011年度版「矢野ゼミ就活文庫」は以下の通りです(順不同)。①デール・カーネギー『人を動かす』(特装版)創元社、2007年。②アレックス・ロビラ他『グッドラック』ポプラ社、2004年。③岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社、2009年。④小倉昌男『経営学』日経BP社、1999年。⑤斎藤孝『「できる人」はどこがちがうのか』ちくま新書、2001年。⑥古市幸雄『「1日30分」を続けなさい!』だいわ文庫、2010年。⑦喜多川泰『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』サンマーク出版、2010年。⑧石渡嶺司他『就活のバカヤロー』光文社新書、2008年。⑨タル・ベン・シャハー『ハーバードの人生を変える授業』大和書房、2010年。⑩佐々木常夫『働く君に贈る25の言葉』WAVE出版、2010年。⑪ロナルド・ドーア『働くということ』中公新書、2005年。⑫竹信三恵子『ルポ雇用劣化不況』岩波新書、2009年。⑬渡邊美樹『きみはなぜ働くか』日経ビジネス文庫、2010年。⑭斎藤兆史『英語達人列伝』中公新書、2000年。 以上14冊を、20期生で毎週順番に回し読みします。今週①を読んだ人は、次週は②、今週②を読んだ人は、次週は③、……という感じです。20期生全員が、前期で14冊すべて読み終わることになります。本は私の方で準備します。 「就活文庫」と銘打った以上、技術的な話をまったく抜きにするわけにはいきませんが、就職に関するノウ・ハウ本よりは、「働く」とか「伸びる」とか「学ぶ」ということ、「人生」、「使命」などといったことを考えるきっかけになるようなものを、とりあえず選んでみました。就職活動を控えた学生にとっては、興味深く読める内容だと思いますよ。座右に置いておきたくなった本は、各自で購入してください。 こんなお手軽な本ばかり選んで、と批判される「立派な」大学教員がおられるかもしれません。また、本によって、相矛盾することが述べられているかもしれません。でも、いいんです。あくまでも、学生諸君が考える「きっかけ」です。この14冊の輪読がゼミの主要テーマではありません。矢野ゼミの活動全般からすれば「余技」の類です。 だから、これに基づいて毎回何かレポートを書けとか、1冊ごとに熱く語り合えとか、という具体的「課題」があるわけではありません。毎週の課題図書を1人ひとりがちゃんと読んでるかどうかチェックして、読んでなきゃ減点、なんていう企画ではないのです。その意味では、読もうが読むまいが、どっちでもいいんです。学生さんに任されています。 でもね、これもいつも言うとおりなんですが、矢野ゼミの課題は「ノルマではなく、チャンス」です。そして、「チャンスの後ろはツルッぱげ」です。面倒くさいとやり過ごすか。好奇心を持って、とりあえず本を開いてみるか。大きく人生が変わるかもしれません。 ついでに言っておくと、たとえば後期になって、エントリーシートのチェックとか、就職に関する相談とか、私が受ける場合、上記図書は読了済みとして対処します。すでに読んだはずのことを尋ねる奴は相手にしたくないですね。私も暇じゃないですから。 読むか、読まないか。やるか、やらないか。それを、成績評価になるか、ならないかで決める奴。合掌。【最近いただいた本】☆西部忠『資本主義はどこに向かうのか―内部化する市場と自由投資主義』(NHKブックス、2011年、1000円): 現在は、資本主義に内在する「市場の内部化」が極限にまで推し進められ、すべての個人が投資家/資本家と同じ立場に立つように、つまり、所有する貨幣を投資によってできるだけ増殖することを目的として行為するように、駆り立てられている。市場が私たちの身体や精神の内部にまで浸透してくる、こうした「内包的深化」を直視し、そのあり方を考えるためには、貨幣というメディアに注目せざるを得ない。西部氏が早くから「地域通貨」に注目し、社会的実験を試みているのも、本書で述べられているような市場観、資本主義理解があるからである。 学部学生が斜め読みできるような本ではないが、資本主義社会のあり方を根源的に問い直すための題材となりうる。演習Ⅱで輪読してみようか。☆藤田佳久編著『山村政策の展開と山村の変容』(原書房、2011年、3600円): 地域政策学部N先生の恩師の退職記念論文集。地理学の立場からする多角的山村研究。TPP推進論者に決定的に欠けている視点・論点がそこかしこに見いだせる。 同時に拝受した藤田教授の研究業績目録に圧倒された。☆藤森友明『経営学的情報概念の研究―経営情報概念の再構築と情報システム』(創成社、2010年、2700円): 本書は、経営情報の領域で書きためられていたいくつかの論文に、書き下ろし論文を付加したもの。まったくの門外漢なのでコメントはできないが、意思決定に関わる情報のあり方、あるいは暗黙知の役割などに関心がある人には興味深いのではないか。 藤森氏は高崎経済大学経済学部出身。現在は千葉商科大学教授で経営管理論、経営情報システム論などを担当されている。この4月から本学経済学部の非常勤講師として来ていただく。後輩の指導をよろしくお願いします。

メッセージ
なるほど【10期Y】
(2011-04-07 08:31:00)

そういうラインナップですか。参考になります。ワタミか…。



RE:なるほど【矢野】
(2011-04-07 09:00:00)

ワタミですが、なにか?