芙蓉の花、なんとなくロマンを感じる花である。でも私にとってはなつかしい子供の頃の夏にいつも見た花である。父親の実家で槙の木の生垣と椿の高い生垣の真ん中をわくわくして通って行くと広い庭に出る。井戸にはいつもすいかやうりが冷えていて小川で水浴びしたあとよく食べたものだ。辺りは田んぼが広がる田舎。木や花好きな祖父は庭を囲むようにしてたくさんの木や花を植えていた。北側には竹林、東側は抱えきれないほどの大木が並び、南側の日当たりの良い庭にはゆり、カンナ、ホウセンカ、ダリヤ、、ジニアなどの中に芙蓉があり、花の間を大きなあげはちょうがゆったり飛んでいた。モミジアオイの真っ赤な色は今も鮮明に残っている。かぶとむし、オニヤンマ、カミキリムシ、などと飽きることがなかった。夏休みの昆虫採集や押し花の宿題は全てこの庭でまかなえた。夏も終わりになると赤とんぼが群れ、ひぐらしがカナカナカナと鳴きホームシックになったりもした。決して豊かな時代ではなかったけれど私の五感にしっかりと蓄積されたのだろうと思う。その田舎屋は移転されて今はない。
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