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矢野弾に訊く!!

最近、日本がどこかおかしい?

素朴な疑問に矢野弾がズバッと&チャーミングに答える”問答ブログ”

 そうすると、一番早い道は何だろうというと、それは今までこの日本の二千年の中で生きてきた素晴らしい人間の歴史を我々は読み返す必要があると思う。例えば、内村鑑三が英語で書いた「代表的日本人」。この中には、西郷隆盛、上杉鷹山、中江藤樹、二宮尊徳、日蓮という五人が書かれています。この本を読んでない人が多いわけです。ですから、我々はこれをまず読む。何故かというと、国際化の中、海外の人が読んでいる。第35代ケネディ大統領がこの本を読んでいる。ケネディ大統領と日本人の記者団の会見の時、「尊敬する日本人はどなたですか?」「Uesugi Youzan!」。聞いた日本人の誰一人、上杉鷹山を知らなかった。これをけしからん、恥ずかしいと私は思わなかった。何故なら、彼らは学んでいなかった、気づきようがない。そいいう教育を日本がやってきたということを、まず考えなければならない。


 とすると、我々は歴史に戻る、歴史に学ぶということをしないと、又、自らの民族に対する誇り、喜び、自信というものを持たないと駄目だということなんです。それが生まれた時、初めて、自分は他を愛することができるようになります。自分を愛し、他を愛し、家族を愛し、地域を愛し、日本を愛するといった、一貫した考え方が生まれてきます。その一貫した考え方がなければ、そこには勿論、外交も防衛も国自身の自立もないと思います。

 今、いろんなことが出てきます。長崎の事件でも、友人を呼び出しておいて、そして猟銃で撃つというような凄ましいことが起きている。この人は、その時に目的だけに燃えていたけれど、亡くなる瞬間において、それで良かったんですかと、その人に問いたい。多分そう思っていないはずです。人を殺した以上、友人を殺した以上、自分の死は当然のこととして受け止めなければならないということであれば、この人の心は地獄に近い心だったと思う。だから、人間の心の中にある、渾然たる真善美を求める人間の心を、どうお互いに蘇らせるかということだと思います。

 その時、カントはこう言ってるんですね。「それを考えることのしばしばにして、且つ長ければ長いほど、讃嘆と崇敬の念に満たされるものが二つある。それは、天に輝く星さらに我が内なる道徳律である」。それは、天の摂理、満点の星がぶつからないで運行している。この天の摂理の見事さよ。もう一つは、我が内なる人間としての道徳律。その道徳律を持っていて人間である。だから、天の摂理と人間ということが、讃嘆と崇敬の念に満たされるものであると言っている訳です。


 ということは、この62年かけて我々が失ったものは、倫理観と正義感と誇りと恥ですよ。全く人間というものを除外した、物的欲望の人間だけになった。豊かさが、逆に言えば心貧しき人間に変えてしまった。であるから、心豊かな人間を我々は自らの中に創りつつ、他に又それを求め或いは伝道してそれを創っていかなければならない、という状況下にあるわけです。