人間の記憶、というのは

本当に曖昧なものですね。

 

あなたの家には

「名物料理」みたいなものってありますか?

 

今まで聞いた中で、一番おもしろかったのは、

「なまこの日」がある家庭。

お父さんが大量になまこを買ってきて、

その日はなまこばっかり食べるんだとか。

そんなに量食べれるもんじゃないと思うんだけど、

家族で食卓囲んで、みんななまこ食べてる姿とか

想像すると、滑稽なようなおぞましいような。

 

僕の母は、料理上手だったので、

いろいろ美味しい名物がありました。

 

それこそ、コロッケとかだと、

その日は「コロッケの日」ということで、

大量のコロッケを揚げて、

おかずはコロッケだけ、なんてのもありました。

「なまこの日」よりいいでしょ?(笑)

 

母のご飯は、あまり甘みを使わないものが

多かったな、と思います。

中でも僕が好きだったのは「肉じゃが」です。

肉じゃががおかずの日は他のおかずに目もくれず、

肉じゃがばっかり食ってたなあ。

 

お惣菜とか、店の肉じゃがって、

結構甘めの味付けじゃないですか?

僕は実はそれが苦手。

何故なら、うちの肉じゃがは作り方が違うから。

 

肉じゃが、といえば、

大体、じゃがいも、牛肉、玉ねぎ、人参、

あと、糸こんにゃくなんかもいれるのかな?

少し甘めの味付けで、ってのが定番と思います。

 

うちの肉じゃがは、

じゃがいもと玉ねぎ、牛肉しか使いません。

そして、砂糖を入れません。

玉ねぎと、酒で甘みを出します。

少しだけみりんは使うかな。

酒はかなり多め。

だし汁を入れて、醤油で味付け。

とてもシンプル。

玉ねぎと酒の甘みはとても自然で、

素朴ながらも、質実剛健、という風情でしょうか。

 

一人暮らしをしてて、普段雑なものや

買ってきた惣菜ばっかりであっても、

年に1回くらいは、自分で作ります。

 

家庭を持っていたときも、

子どもたちのために作りました。

元嫁も大変気に入ってくれてました。

 

これが「うちの味」

そう思ってました。

実際。

 

しかし、ある日、里帰りをしたときに、

肉じゃがの話になったんですね。

そしたら、母に、

 

「え? 砂糖も使ってたし、人参とかもいれてたよ?」

 

なんだとっ!?

 

いきなり、後頭部から殴られたような衝撃・・・

 

確かに、作り方は教わってないです。

再現したのは、大人になって、家を出てからです。

 

だからといって、根本的に間違えるかね?

数年は食ってなかったとしても、

大人になるまでの約20年、食ってきたのだぞ?

人参なんて入ってなかったはず。

そもそも、母は人参が嫌いなのだから。

 

僕はバカ舌なのか?早くも耄碌しているのか?

懐かしの味と思って、「再現度高い」と思っていた、

あの肉じゃがはなんの記憶なのか??

 

まあ、でも良いのです。

実際、自分で作る肉じゃが、美味しいし。

誰に食べさしても美味しいっていってくれるし。

僕の肉じゃがは、間違いなく「家庭の味」なんです。

 

それにしても、

人間の記憶、というのは

本当に曖昧なものですね。

 


 

イノセント・デイズ 早見和真

(新潮文庫)

 

イノセント・デイズ(新潮文庫)

 

確定死刑囚の女性の半生を、

彼女に関わった回りの人の視点で

つないでいった物語。

 

テクニカルなことは書かないつもりだけど、

この小説に限って。

今の分量の1.5倍くらいページ数増えても、

一人づつの話をより丁寧に書いて欲しかった。

 

重たいテーマ、イヤミスの括りだと思うけど、

スムーズに読めるし、読ませる文章で、

読む先が気になる、という感じで引き込まれただけに・・・

という注文でした。

 

こちらもドラマあるみたいですね。

妻夫木さんがドラマ化を熱望されたとか。

その気持ちもわかります。

 

僕は原作を本で読んだドラマ、映画は基本見ません。

見ないようにしてます。

頭の中で登場人物のイメージができているので。

逆は希にあります。

 

とはいえ、それは僕の話であって、

ドラマ見た方も原作読んでみてはいかがでしょうか。

 

読んどいて損はない本だと思いますね。