鳥取まで我が家から車で3時間ほど。
午後から、津山でお仕事もあるので、頑張って遠出。
大原美術館の所蔵作品を貸し出していることもあるが、COVID-19の影響で、諸々変更されて、ようやく実施となった、こちらの展覧会を見に行く。
もろもろ変更されたがゆえに、「なぜ鳥取で岡本太郎?」とか、「焦点はどこ?」ともなりがちだが、こちらは、もともとやりたかった内容も、狙いもわかっているので、ほんとうによく実現した、という思いの方が強くなる。
靉光の《眼のある風景》も出ているし、参考になる作品も多数。戦後間もない時期のなかで、表現者や縄文の発見者というだけではなく、フランスとパイプを活かした紹介者としての岡本太郎の活動もよくわかる。
何より、朝からお客様が相応にいらしていたのが、なにより嬉しい。行ってよかった。
続いて、鳥取民藝美術館。
こちらで吉田さんの紹介となると見なくては。
小ぶりな空間だが、丁寧に作ってある。
でも、となりの鳥取たくみ工芸店で、せっかくなのだから、牛ノ戸焼をもう少し並べればいいのに、とか、巧のご飯には時間が早すぎた、とか、そんなことの方にも気が行ってしまう私は、まだまだ修行がたりない。
そこから取って返して、勝央町まで1時間ちょっと。
ちょうど、12時前に到着。お目当てはこれ。
築山さんのみならず、小林正秀さんと、吉尾梨加さんの作品も。
それぞれ、このところ、まとまった作品公開が続いているが、こうした世代の作家さんの作品を眼にする機会が増えるのは、なにより良い事。
それに、それが公立文化施設でというのは、さらに良い事。
築山さんの仕事は、為替や株のレートが前景化するが、その画肌の作り方も見もの。今回はそれがよくわかる。
そして、その主題と素材の往還が、これからどうなるのかも見どころ。
ようやく津山市内へ。
一人気楽に、だいたいの時間で動くが、よい塩梅で予定をこなす。
続いては、NISHIIMA25
ここに来ると、ほんとうにハッとする美しい空間に出会える。
写真の部屋なんて、時間があれば、ずっとそこにいたいわ!
という美しくも精神的な空間。
午後2時。
約束の時間に、本命(お仕事)の場へ。
甲田千晴さんの展覧会が始まる、口火の対談に司会役としてお招きいただいた。
でも、かつてI氏賞に出した陶芸作品のイメージがあるくらいで、ほとんど面識もないし、「なんで私? まあ行けばどうにでもなる」という感じでうかがったが、これが、岡山県域では久々に見た、本格的な観点的インスタレーション。
すっかり仕事ぶりが変わっていたのでびっくり。
でも、公開の対談の場ながら、私が聞きたいことを聞いて、とってもその歩みや意図がよく分かった。
対談というのは、厳密には間違いで、大原美術館でレジデンスプログラムですっかりおなじみの花房紗也香さんもご一緒だったので、現代の若手アーティストが海外に渡ること、そこから見えてくる日本にいる/いた自分の姿などと話が広がり、私にとっては得難い経験。
それが、会場の皆様の満足度につながっていたか否かは、ひとえに私の責任。
I氏賞と書いたが、勝央の3人も、こちらの2人も、ともにI氏賞展経験者。
伊藤謙介さんが私財を岡山県に託し、そこから県ゆかりの若手芸術家の顕彰が大きく進んだのだが、そうして若いアーティストが次々に見出だされ、場を与えられ、そして互いにつながりながら、さらに力を発揮する様を実感した一日。