都構想についての大問題及び推進派の印象論の危険性 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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はいコテヤンです。先日関西圏を中心とした学者さん達が126人結集し(出席者19名)、都構想におけるインフォームドコンセント(手術前に患者にデメリット等を説明すること)を開催致しました。

わずか1周間の間にこれだけの学者さん達が集まった事実もすごいのですが、その中身も大変よろしかったと思いますのでご紹介を。

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/05/05/fujii-141/
【藤井聡】「都構想」の危険性を明らかにする学者100人の所見

少々長いのですが読んでいただいて損はないと思います。
理知的に様々な観点から都構想についての危険性が指摘されており、少なくとも学術的には都構想など論外なのであると納得する内容です。

さて対照的なのがこちらの方。橋下市長ですね。

http://blogos.com/article/111552/
実務を知らない学者は大阪都構想批判を繰り返す - 5月6日(水)のツイート

執拗なまでのレッテル貼りと攻撃に終始しております。
おそらく学者さん達の会見の内容も見ていないのでしょう。少なくとも冒頭くらいしか。

んで上記記事における私のコメントで恐縮ですが、矛盾しているのは明らかに橋下市長及び維新の会であり、またその議論の方法は誠実とは言いがたいとするコメントを載せます。

「2重行政試算の変遷を見ても4000億円→1300億円→1000億円弱→155億円(民営化なども含む)→1億円(市議会にて、市長否定せず)と。
しかも1300億円の時に市長は「これが都構想のすべてと言っても過言ではない!」と言ってたじゃないかと。
それが崩れるととたんに「住民自治の拡充だ!きめ細やかなサービスだ!」と言い出す始末。
大体市長知事のW選の時のポスターには「大阪市は解体しません」と書いてあったじゃないかと。
それを討論で指摘されると「市役所を解体するだけです」とかいう詭弁。
さらには藤井教授の7つの事実が公開されると、Twitterで個人攻撃&京大のトップに圧力&紙面による反論なしという体たらく。

さらには地方団体が都構想反対を決めた途端に「補助金の打ち切り(市職員に止められる)」を指示。
テレビ局には「藤井聡を出すな、反対派だけを出すな」といいながらたかじんには賛成派である市長一人出演で独演会。

実務を知らない学者!とか批判しながら、自身のブレーンには高橋洋一先生等学者もいる。

橋下市長ご自身が記した本でこんな言葉がありましたっけ。議論、交渉する場合に。
「どんな不当なことでも、矛盾していることでも、自分に不利益になることは知らないふりを決め込むことだ。相手方に指摘されるまではほうっておく。」
「ありえない比喩による論理のすり替え法。まったく無関係な比喩によって、相手の主張が間違っているかのような錯覚に陥らせる。」
「劣勢になったら、わざと感情的になって場を混乱させ、流れを変えてしまえ」
「『交渉の流れが不利になってきたら(答えたくないことを聞かれたら)、不毛な議論をふっかけて煙に巻く。』 」

まさに今市長自身がしてることだなぁとw


引用終了。
これをご覧頂いただけでも市長が如何に矛盾しているか、また誠実な議論を行っていないのかということがご理解いただけるかと思います。


さて維新が印象操作に終始している事実は以上の経緯でございますが、ではどこが印象操作であり何が実態なのでしょうか?以下からそれを明らかにしていきます。

0)大阪市分割を住民投票で可決してしまうと、最低でも数十年は元に戻ることは無理
こういうのを不可逆性といいますが、住民投票=世論ですので筋論からしても「ダメだったら戻せばいい」という論理は成り立たない。少なくとも10年以上は。
さらに元に戻そうと思っても、十数年後の政治状況は不確定、情勢も不確定であり少なくとも数十年は元に戻せないことは論理的に明らかです。
迷っている(よくわからない)のならば反対を投じてしかるべきかと思います。

1)府市再編(大阪市5分割)における2重行政解消の純粋な効果額はたった1億円
これは大阪市議会において市の試算を元に市議が推計値(市側が出さないので)を報告したものです。
橋下市長も「様々な評価方法がある」ということでこの試算を否定しておりません。
また維新側が出しております試算は17年累計2600億円以上(単年度155億円)というものであり、民営化など市のままでも出来るものが大量(というかほとんどそう)に含まれております。

2)福祉はよくなる?
大阪市を解体して特別区(基礎自治体で最低の権限)に分割、維新側はこれを「福祉などの住民サービスへの特化」と主張しておりますが、単にそれだけしか権限がなくなるのだという話です。
さらに徴税したお金は一度府にプールされ再配分という形になります。

こんなんで本当に福祉がよくなるはずがありません。だって権限、予算ともに激減するのですから。

3)広域行政を府に一本化することで効率化?
大阪府には大阪市のような大都市を開発した経験、ノウハウがありません。これがないところに権限だけ集中してもグダグダになるだけです。
協定書によりますと大阪市都市計画局は解体、分割されることになっております。
これでは大阪市が今まで築いてきた都市計画のノウハウの消滅すら危惧される状態です。

4)地下鉄、水道事業の民営化
橋下市長がモデルケースにしている東京都ですら地下鉄の民営化なんていう話は出ておりません。
また冒頭の学者さん達の一人が指摘されておられましたが、水道事業を民営化すれば会社は費用のかかることは極力したくありませんので、防災上の観点からも大変なことになると。
南海トラフ地震の際に現在のままだと確実に断水する、断水している地域で出火したらどうするんだ!と。


5)橋下市長が決して言わない東京都の出来た理由
東京市が東京都になったのは戦時中1943年です。これは戦時体制下で自治の権限を取り上げ、中央集権的にするために行われたわけです。
現在東京では特別区間で協議したりして市になる動きもあるようです。
つまり都構想なるものは時代に逆行した、非常に問題のある政策であると言わざるをえないのだと思います。

6)総務省が太鼓判を押している?
いえ…これよく推進派の方が主張されますが、都構想の骨組みたる協定書に「法的に問題はないよ」と言っているだけです。
この仕組を採用することによってデメリットが生じないとかそういったこととは全く別の話です。騙されないようにしましょう。


以上ざっと見てきましたが、まとめますと
・一端分割すると戻せない不可逆性
・当初橋下市長が声高に叫んでいた省かれるべき2重行政は現在の大阪にはほぼ存在しなかった
・特別区は権限、予算共に下がるので福祉が良くなるとは言いがたい
・広域行政の一本化はノウハウの消滅につながりかねない
・各種事業の民営化は防災上の観点からも大変な結果を招く恐れが非常に高い
・モデルケースの東京都が出来たのは戦時体制下
・総務省は協定書に法的不備がないと審査しただけ



「え~?メリットないやん?なんでこんなん勧めようとしてるの?」
その疑問への答えは私の推測になりますが以下の様なものでしょう。

・維新と橋下市長=都構想であり政治的に引っ込みがつかない
・大阪市の財源を起債許可団体たる大阪府に収奪する(実際こういう仕組みです)
・都構想が住民投票で否定されると、維新の融解しかねないという利己的な理由


冒頭の学者さん達もおっしゃっておりますが
「都構想によるメリットが見いだせない、そもそも論外な代物である」

私はこれに付け加えて以下のように思います。
「メリットがあまりなく、デメリットのみ大きな都構想という欠陥商品を詐欺師が売りつけようとしている。さながら民主党政権誕生前夜を見ているようだ」



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