「現代(いま)を潤す伝統芸能」は、若き日からの正楽のコンセプトでした。

 

「不易と流行」の現代的かつ大神楽的、実践命題として、伝統技芸(不易)の再構成(流行)にも取り組みました。

 

その大きな成果のひとつが「出刃皿の曲」でした。

 

師父・先代正楽、叔父・柳家五郎、海老三、鏡辰雄師匠、ラッキー幸治師、翁家小和兄さん、海老一の「出刃皿の曲」をこの目で見ました。

 

ある日ある時、テレビ関係のお話で、先代が「出刃皿の曲」を演じた際、演芸評論家の方が言った「あれはネタモノでしょう」との一言が耳から離れませんでした。

 

某有名タレントが「かくし芸」大会で、海老一からのにわか仕込みの「出刃皿の曲」をかけたのです。とくに「トリネタ」の「切っ先どめ」が見せ所でした(タレントさんその方は真面目で才能豊かに取り組んでいました)。この時の出刃こそが「ネタモノでしょう」の「ネタ元」でした(当然、先代の芸とは別物でしたが)。

 

この時から「出刃皿の曲」の再構成に取り組みました。