わたしは今、直弟子に恵まれたことを、嬉しく思います。

 

正佐も雪乃も、そして雪之介のふたりの少年弟子も、みな真摯に伝統芸と向き合っているのですから。

 

天真爛漫な少年弟子は、鳴り物(笛・太鼓)「水戸御祭禮囃子伝承会」(正楽一門による祭り囃子部門)のメンバーとして雪之介家元、筆頭一門・正佐のもと永く受け継いでいくことでしょう。

 

いよいよ正佐そして雪乃は自ら以て、わたしの「本手」そして趣を増す「応用手」など、師父、叔父から直伝の宗家・柳貴家オリジンの「手」の全修得に入りました。

 

わたしが身に修めた横笛の「手」は、味わい深く趣(おもむき)に満ちた、柳貴家本家先人の「手」であります。水戸・谷中の盆踊り「水戸祭囃子保存会」や、那珂湊・「八朔祭り」の山車、金砂神社の「小祭礼」などなど試(ため)された、今は亡き義理の伯父(柳貴家好造こと大高義雄)とともに「伝説の横笛師」として伝えられているとのことで、過分な評価に若き日の精進が報われる気がいたします。

 

社会的活動や世間的付き合いを極力辞退し、「市中の山居」「街中の草庵」暮らしの如きシンプルな日々、晩節に至ろうとする日々。自らの意志で教えを乞い願う、(利害損得や思惑を超越した)真実の弟子たちのみが周りに残りました。

 

この「師匠冥利に尽きる」充実した時間を、お獅子さまに感謝あるのみです。