女性を楽しむ師匠、ではありません、芸名です。

 

曲独楽(こま)師の「やなぎ女楽(めらく)」お師匠さん、です。

 

女楽師匠は1910年(明治43年)生まれ、父・先代正楽より年長で、86歳まで現役の寄席芸人さんでした。

 

飄々とした不思議な魅力の高座で、大神楽曲芸協会の会長や会計まで律儀に兼務してくださいました。

 

わたしの「芸術祭公演」ではゲスト出演をしていただき、「お兄さん、わたしにできることは何でもやるから、遠慮なく言ってね」と。松本源之助お師匠さんとともに、お力添えをいただいた忘れ得ぬお師匠さんでした。

 

水戸在住ゆえに歴代会長に昭和45年から16期(32年間)理事長の任で協会を支え続けた、稀少な江戸期からの宗家・家元を継ぐ先代正楽に、深い敬意を表し、財務(収支)状況もほぼ毎月文書にて報告してくれました。

 

師匠の野辺送りのとき、棺に向かい先代正楽は、粋にも友情の投げキッスで見送り、おかみさん(未亡人)が「正楽師匠ありがとう」と感謝していたことを、記憶しています。

 

形見としていただいた夏用の袴や高座用の帯も、現役で活躍してくれています。