バーチャルマジックの世界的トップとして活躍している、ニューヨーク在住のスイス人マジシャン、マルコ・テンペスト師。

 

いまから30年以上も前、スイス・チューリッヒにおいて「ジャパン・イン・チューリッヒ」(チューリッヒ市主催)の主要イベント、「マジックジャパン」のメイン・アーチストがマルコ・テンペスト師でした。

 

当時、まだ28歳の若き天才マジシャンのショーに出演できたことは、生涯の誇りとするところです。

 

かれが来日して、ご自身で出演アーチストと交渉したのです。わたしが国立演芸場出演中に訪ねてきて、初対面しました。

 

そのとき高座で披露した「一萬燈」を観てスイス公演でも、と所望されたのですが、それは辞退し、和傘、日本刀、出刃皿、火の升の披露で合意しました。

 

足掛け3か月に及ぶ長期公演で、国立「金賞・年間特別賞」受賞直後でしたから、自信にみちた演技をつらぬくことが叶いました(スイス公演が実現したので、芸術祭参加公演は延期を余儀なくされました)。

 

わが雪之介はちょうど同じ年齢になりますから、さらに大きな飛躍が期待されるのです。

 

初代菊蔵の「一萬燈」は、唯一「本萬燈」造りであり、平成の芸術祭から重要な舞台で、活躍してくれました。

 

雪之介の力量であれば十分に演じられますので、ぜひ披露に及んでほしいものと、念願します。

 

令和の御代、「大神楽ルネサンス」(正楽ポリシー)のためにも、正佐の鍾馗舞、少年弟子ふたりの獅子舞と鳴り物、その伝授ともども第一義であるのです。