御獅子さまは、大神楽を生業(なりわい)とする家の、第一義とする御神体です。

 

わたしがご尊敬し、ご高導いただいた学究の先生から、その伝承が文献・古文書で証明されるか否か、は重要です、と教えられました。

 

そして種々の困難、歴史的事情を超えて、こんにちに伝存する史料があるのか、も重要である、とも。

 

幸いにも水戸大神楽家元には、工芸的にも価値があり江戸時代初期あるいはそれ以前が確実と鑑定された「御獅子頭」(水戸様より御拝領との伝)が、奉祀されています。

 

舞台、祭事におでましいただくお獅子さまは、初祖・菊蔵由来の獅子、朝蔵由来の獅子、はじめ由緒ある「御頭」なのです。

 

大神楽の世界での名門、水戸下市・海老三そして房州鴨川の舘三太夫(たて・さんだゆう)家伝来の御獅子頭も、委ね託されて伝統護持、お祀りしているのです。

 

ですから令和の御代、雪之介、正佐ら一門が担う水戸上市・柳貴家宗家は、江戸の昔より「天下の曲芸指南どころ」と称賛された技芸伝承を第一として、まごうかたなき斯界屈指の名門であるとの、誇りが伝わるのです。