先々週の伊豆ツーリング。非常に楽しめた素晴らしいひと時だったのですが、実はその裏で非常に悲しい事態が起こっていました。

タイトルからモロバレではありますが、自らの不注意に起因する中々にヘビーな事態…暫くテンション低く過ごしていたのですが、取り敢えず決着の目処が立ったので記事にしてみます。



悲劇の舞台は東京都の某所。

ツーリングに同行していたSさんと別れた、上のクリップの直前です。



Sさんと立ち寄った洗車場で、腕時計を外した私。ここまではルーティン通りです。

しかし自宅の駐輪場では無かったので、失くさないようにと普段とは逆の右腕に腕時計を装着して洗車しました。


コレが不運の始まり。左腕に付け直す事なく洗車場を後にし、バックルの固定が甘かったらしく、おそらく信号待ちで腕時計が落下しました。

しかも腕時計が外れた事に気付かず、そのまま帰宅してしまっています…



紛失に気付いたのはバイクを駐輪場に停め、自宅を目指して歩いていたタイミング…

「もしかしたらシートバッグに入っているかも…」という淡い期待も虚しく、紛失が確定したのは暗くなってからでした。



「やっちまったかぁ〜。まぁ仕方ないし、次からは気を付けよう」なんて簡単に済む話ではありません。

紛失したのはG-SHOCKのGMW-B5000TVB-1JR。コイツの購入には、予算の確保やモデルの選定に足掛け4年を費やしました。自業自得とは言え、簡単に諦められるものではありません。



この時点で「どこで落としたか?」は分かっていませんでした。

藁にも縋る思いでGoProの映像を見返し、落としたと思われる範囲を特定。



GoProの仰角が悪く、手元が写るのは途切れ途切れ。

いつもなら手元が常時写るように調整していたのだけどなぁ…



車体固定カメラも左側に装着していたので、腕時計を装着していた右側は画角外…落下の瞬間は収まっていませんでした。


GoProを検証したところ、落としたと想定されたのは約6kmの区間。停車した信号機の数は18箇所というところまで特定しました。

既に日が落ちていましたが再びMT-01に跨り、片道40分ほどかけて現場に到着。そこから2時間ほどかけて路上を探しました。




暗い中の捜索…交通量が多めな道路で難航し諦めかけましたが、16箇所目の信号機付近で奇跡的に発見しました。

信号機の停止線から、目算で15mほど。4車線道路の中央にあるゼブラ帯の中ほどに転がっていました。



発見されたのがこちら。

使い古して外装に傷が入っていく過程を楽しもうとは考えていましたが、不謹慎な例えながら塗装も相まって「戦死された軍人の方の遺品として、唯一返ってきた腕時計の残骸」みたいになっています…



バンドは千切れて発見出来ず、バンド付け根は歪んでいました。

チタンのパーツをここまで歪ませるとは、一体どれほどの衝撃が加わったのだろうか。停車した場所から15mほど移動していた事から、間違い無く車に轢かれています。破損状況を鑑みるに、おそらく複数回…



外見はボロボロですが、驚く事にコイツは時刻を刻み続けていました。風防ガラスも見た限りでは無傷。

バックライトや他の機能も問題無く動いており、時計としての機能は失われていません。


不本意ながら、G-SHOCKの頑強さを証明する事になりました。車に轢かれてもコイツは「時計としては」壊れません。

一般的な腕時計に求められるレベルに対して、過剰なまでの耐久性を備えています。



さて、とは言えバンドの欠損や削れたチタンのささくれで、使用不可能な状態なのが現実です。どうしようか…


色々考えた末に


①予算内(新品価格の1/3)で修理可能なら修理

②予算超過もしくは修理不可なら、小改造の上で自宅で置き時計として使用。修理予算で新たにグレードダウンしたG-SHOCKを購入


の二択となりました。



そもそも修理して貰えるのかすら疑わしい破損具合です。限定モデルなので、修理用のパーツがあるのかも分かりません。

不安要素ばかりですが、幸い自宅から徒歩圏内にカシオの修理受付センターがあったので、仕事帰りに訪れてみる事にしました。



おそるおそる受付へ。

対応してくれた方、変わり果てた私のG-SHOCKを見た時に「んん!?」みたいな顔をしていた気がします。


一先ずお預けし、内部メカの気密検査を行ってもらう事に。

5分ほどで完了し「メカは生きていますね。機能、防水とも問題ありません。外装パーツの交換で対応可能です」と心強いお返事でした。



こんな状態からでも直せるんだ…と驚きつつ費用を伺うと、7万円を少し切るくらいとの事でした。



…若干の予算オーバーですが、その差は僅か。

今年更新する予定だったウィンタージャケットを諦めて、その予算を修理費用に充てる事に決定。修理を依頼しました。



2018年に購入したウィンタージャケット。あともう一年頑張って貰います。



自身の不注意が原因とは言え、紛失からの再発見は針の穴に糸を通すような、か細い希望を自力で手繰り寄せたものです。


本当にこの辺りで落としたのか?誰かに持ち去られていないか?回収出来たとして破損の程度は?修理出来るのか?予算は?

紛失に気付いてから回収するまでのおよそ4時間。様々な考えが頭に浮かび、その全てが私の心を折りに来ましたが、諦めなかったおかげで幸運にも再度私の手元にコイツは戻って来ています。


この小さな奇跡を大事にしたいと考えました。



予定では修理完了まで1週間ほど。

外装はほぼ全交換となります。ピカピカになって戻って来てくれると良いのだが…