12人産んだ助産師HISAKOさん、PRESIDENT Onlineさんから 宮城県立こども病院産科科長 室月 淳先生のまねブログです。
PRESIDENT Onlineさんからの発掘は、
に続き、4回目。愛読してらっしゃるようで。
元記事は室月 淳先生の著書『出生前診断の現場から 専門医が考える「命の選択」』(集英社新書)を再構成されたもの。
数字に弱いといつも言っているHISAKOさんが、確率をいろんな切り口でわかりやすく説明しているので、きっと元があるなと思ったらありました。
2020.05.18
|
|
PRESIDENT Online
室月 淳宮城県立こども病院産科科長
2020/03/13
青 元記事
産科医の室月淳氏は「晩婚化が進み、出産の高齢化が進んでいる中で『赤ちゃんの不安』を抱く人が目立つようになった。
赤 12人産んだ助産師HISAKOさん
晩婚化が進み、
妊娠出産の高齢化が進んでいる中で
〝健康な赤ちゃんかどうか〟を
心配する妊婦さんはここ10年で本当に多くなりました。
※本稿は、室月淳『出生前診断の現場から 専門医が考える「命の選択」』(集英社新書)の一部を再編集したものです。
また、出生前診断は
命の選択につながるという批判もありますね。
病院を受診して、医師から「妊娠ですね。おめでとうございます」といわれた瞬間から、これまでずっと望んでいた幸せな妊娠生活が始まります。
始まるはずなのですが、しかし実際はうれしさよりも、さまざまな不安がおしよせてくることのほうが多いかもしれません。
ですが、やっぱり
40歳以上の妊娠では喜びもつかの間、
さまざまな不安が
さざ波のように押し寄せてきますよね。
しかし最近は、こういった不安のなかで「赤ちゃんの心配」とでもいうべきものが目立つようになって、産科医療機関では「出生前診断」の相談が増えてきています。
そんな背景から
「出生前診断を受けるか受けないか?
という相談は、
年々増えているように感じます。
妊婦さんはいったいなにを「不安」と感じているのでしょうか?
なぜ検査を受けようと思うのか。
出生前診断を希望されるかたの動機としてもっとも多いのは、高齢妊娠といわれるものです。
動機としてもっとも多いのは、
「高齢妊娠だから」です。
女性の社会進出が進み、結婚年齢も上がっているためか、高齢での妊娠や分娩自体はいまや特別のことでもめずらしいことでもなくなっています。
令和時代、
高齢妊娠はとくに珍しいことではなくなりました。
たとえば、生まれてくる子どもの染色体疾患の頻度は、妊婦の年齢とともにゆるやかに上昇していくことはよく知られています。
生まれてくる子の染色体疾患の頻度は
妊婦の年齢とともにゆるやかに上昇していきます。
日ごろから高齢妊娠のリスクについてまわりから聞かされたり、あるいはネット上に書かれていることを読んだりしていると、生まれてくる子どもになにかしら病気があるのではとみなが不安になります。
高齢妊娠のリスクについては、
テレビなどでもよく
その是非が話題にあがるし、
ネットでも
たくさんの情報を得ることができます。
ところが興味深いことに、実際にどの程度の頻度で染色体疾患の子が生まれてくるのか、自分の年齢では具体的に何パーセントのリスクなのかを知っているかたはあまり多くありません。
ですが、高齢を理由に
検査を受けるか悩んでいる妊婦さんたちの多くは
必ずしも、染色体異常の発生頻度などを具体的に意識して
さまざまな角度から高齢妊娠の持つリスクを
理解した上で、不安を抱いているわけではないようです。
ご存じのとおり35歳以上を高齢妊娠とすることが一般的です。
現在では35歳以上が高齢妊娠に分類されていて、
35歳における21トリソミー(ダウン症候群)の頻度というのは、おおざっぱにいって300人に1人くらいといわれています。
35歳の妊娠では、ダウン症の赤ちゃんは
300人に1人ぐらいの割合で生まれてくると言われています。
300分の1という数字にどういった印象を受けるでしょうか?
『1/300』という数字に
あなたはどんな印象を受けるでしょうか。
20代での1000人に1人にくらべるとずっと高いようにも思えるし、また300回妊娠したなかで1人しか生まれてこないと考えるとまず大丈夫のような気もする、といった微妙な数字かもしれません。
20歳代の1/1000と比べたら、
1/30っていうのは明らかに高頻度で
思わず足がすくむかもしれません。
300回妊娠して、1人だけ生まれる
と考えると
まず大丈夫なんじゃ?
という気もするし、
個人個人でそのとらえかたはだいぶ変わってきそうです。
この統計上の数字をどうとらえるか、には
個人差があると思います。
胎児の染色体の病気というのは実はめずらしいものではありません。
実は、染色体の病気というのは、
それほど珍しいものではありません。
受精したときには受精卵の10~20パーセントの割合で存在していて、その多くはその後の妊娠の進行とともに流産したり死産となったりします。
本来は、全受精卵の15%という
かなりの頻度で染色体異常は存在していて、
生存に関わる合併症を併発する種類の染色体に
問題があった場合には
その多くは妊娠の進行とともに流死産してしまいます。
ダウン症候群の子どもは一般に800~1000人に1人の割合で生まれ、この数字は人種や子どもの性別にかかわらずほぼ一定ですが、やはり受精した当初はこれよりもくらべものにならないほど高い割合で存在するといわれていて、その後の妊娠の経過でそのなかの80パーセント以上が流死産で失われるといわれています。
染色体異常のなかでも頻度が高いのが
21トリソミー(ダウン症候群)です。
ダウン症も致命的な合併症があれば
胎内で育つことができずに流産してしまうことが多く、
受精時には存在したダウン症候群の胎児のなかで、妊娠の10カ月間をとおして順調に発育し、臨月(妊娠満期)で生まれてくることのできた20パーセント近くの子どもは、ダウン症候群のなかでもとくに選ばれた強い生命力をもっているといえるのかもしれません。
妊娠末期まで順調に発育し
無事に生まれてくることのできる赤ちゃんたちは
選ばれた強い生命力を持った子たちです。
35歳の妊婦さんが、190分の1(妊娠10週での頻度)と説明されるのと340分の1(出産時での頻度)と説明されるのでは、感じとられる印象がだいぶ変わるかもしれません。
「あなたの年齢では1/30の確率でダウン症の赤ちゃんです」
と説明されるのと、
「97%は大丈夫なんですよ。
だけどリスクはあるのでよく考えましょうね」
と説明されるのとでは
受ける印象がずいぶん変わるのでは
ないでしょうか。
※元記事は「頻度は妊娠週数で異なる」話だけどそこはスルー。
出生前診断ではいろいろな説明のしかたがありますが、ふつうは羊水検査をおこなう妊娠16週でのリスクで説明されることが多いようです。
周産期医療従事者から
出生前診断の説明を受けるときに、
たとえば250分の1の頻度であるとき、人によっては0.4パーセントといわれたほうがわかりやすかったり、1000人に4人としたほうがわかりやすかったりします。
46歳だと、なんと1/30です!
これだけ見ると言葉を失いますね・・・。
また、
1/30をパーセントに直すと3%です。
46歳でのダウン症出生率は3%
つまり、97%は大丈夫、ということになります。
場合によっては、250人のうち249人はあたらないといわれるほうが実感しやすいかもしれません。
ですが、30回妊娠して29回は健常児。
そう言われると、ちょっととらえ方が
変わる気がしますが、どうでしょうか。
確率のもつ意味を理解するためには、いろいろな理解しやすい表現に直して考えてみるのがいいでしょう。
妊婦さん自身が〝確率〟のもつ意味を
正しく理解するためには
いろいろな理解しやすい表現に直して
考えてみたり、説明を受ける必要があると思います。
年齢のリスクを考えるときにもうひとつ注意しなければならないことがあります。
それから、ママの年齢を考えるときに
もうひとつ注意しなければならないことがあります。
生まれた赤ちゃんがもつ先天的な病気というのは、当然のことですが、染色体の病気だけではないことです。
赤ちゃんの先天的な病気というのは、
染色体の疾患だけではないということです。
たとえば生まれつきの心臓の病気というのは、生まれてくる子どもの100人に1人くらいにあります。
例えば
心臓になんらかの問題を抱えて生まれてくる子は
100人に1人です。
こういった内臓の疾患だけでなく、手足や指の問題や代謝や免疫といった機能障害、発達の遅れなどといった先天的な病気をすべてあわせると、赤ちゃんの3~4パーセントくらいになんらかの病気があるといわれています。
そのほか、骨格や関節の問題だったり、
代謝や免疫などの機能障害、
内臓の疾患など、
出生前診断でも、精密な超音波診断でも
胎児期には見つけることのできない問題は
数え切れないほどあります。
発達障害は先天的な機能障害でありながら
胎児期には発見されません。
ダウン症候群のリスクはそのなかのごく一部ということになるでしょう。
出生前診断でわかるのは、一部の染色体異常。
超音波診断でわかるのは、一部の形状異常。
出生前に胎児染色体の検査を受けて正常という結果だとしても、「安心」できるのは数字的にはその一部にすぎないというわけです。
つまり、出生前診断で
ダウン症をはじめとする
数種類の染色体異常が
「陰性」という結果だったとしても
安心できるのは数字的には
その一部に過ぎないのです。
もちろん何歳以上であれば出生前診断を考慮すべきかということに正しい答えはありません。
わたし個人的には、
何歳以上なら出生前診断を考慮すべき、ということに
正しい答えはないと思っています。
※まねなのに「個人的には」
どんなに年齢が高くても必要ないと考えればまさにそのとおりですし、実際にそのように考えている妊婦さんも少なくありません。
どんなに年齢が高くても
必要ないと考えればまさにそのとおりだろうし
若い妊婦でも、必要だと考える人も当然いるでしょう。
35歳以上は高齢妊娠と呼ばれ染色体検査を受けることが勧められているということを、ふだんからメディアの報道などによってなんとなく刷り込まれていたり、家族や友人から直接いわれていたりすることが多いようです。
『35歳以上の高齢妊娠では
染色体検査を受けることが勧めらている』
という、とても端的な情報だけを
マタニティー雑誌やネットなどから
「怖いんだよ」「検査しといた方がいいよ」と
なんとなく刷り込まれていたり、
家族や友人から指摘されたりして、
高齢やから受けなあかん!
影響されて、その気になってしまっているだけの
妊婦さんはけっこういらっしゃいます。
そもそも「何歳以上ならば出生前診断を受けるべき」などといわれたときはかなり注意する必要があります。
産院で、
「○歳以上だから出生前診断を受けるべき」
と言われたときにも、一旦落ち着いて考えましょうね。
もしそれがマタニティ雑誌の特集記事であったり、インターネットのブログであったりするときは、出生前診断の広告の一種であることもよくあります。
出生前診断の広告の一種であることもあるので
注意が必要です。
出生前診断が商業主義に結びつくとき、妊婦さんが感じている不安や心配につけこんで高額な出生前診断を勧めるクリニックが現れて、医療がいわゆる「不安産業」と化します。
出生前診断は商業主義に結びつきやすいということも
忘れてはなりません。
妊婦が感じている不安や心配につけこんで
高額な出生前診断を勧めるクリニックも
実際増えているのを感じます。
ばぶばぶのスキンケアも、残念ながら不安や心配につけこむ商業主義に結びついてると思います。

