前回から続きます。
12人産んだ助産師HISAKOさん、2020年のブログで書かれていたことへのツッコミです。
子育ても、医学も、
時代とともにめまぐるしく変化していきます。新型コロナウイルスの流行にも通じますが、
時代の流れに乗り遅れることなく
最新知識や価値観を柔軟にアップデートさせつつ
ママたちに向き合っていかなくちゃなぁと思います。
これ、できてるのかな?
自社で販売されているスキンケア販売ページには、国立成育医療研究センター2014年の研究が利用されています。
画像はこのほど開店された楽天市場店から。
新生児からの保湿によって
”すべての赤ちゃんの”アトピー発症率が3割低下するととれる書き方ですが、実際は違います。
研究でアトピー発症が「3割低下」したのは、親兄弟に既往がある、"ハイリスク群の"赤ちゃんたち。
では、数字に含まれていない、大多数の、発症リスクの低い赤ちゃんはどうなのか?
「一般人口においてはアトピー性皮膚炎の発症率が10~20%程度である」ことから、
のこり80〜90%の子にも保湿は有効なのか、「保湿剤が必要な群を鑑別する指標が必要」ではないかと、同じ先生による後続の解析が行われています。
結果、生後1週から保湿剤を塗布して32週、
肌バリア機能が低い子では予防の効果が見られたものの、
肌バリア機能が高い子では、発症率の差はなくなったとのこと。
後続研究は2016年。
マシュマロ発売の翌年には既に発表されていますが、HISAKOさんがこの研究に触れたことは、私が知る限りありません。
最新知識や価値観を柔軟にアップデートさせつつ
・アップデートできてない
・意図的に無視している
どちらかでしょう。
保湿でアトピー発症が抑えられる子たちがいる。
発症の要因を持っていない子にも、保湿は悪影響を与えない。
だとしても、
メーカー推奨の使い方だと、保湿だけで月4,000円を超える商品です。
どんな子にどこまでのスキンケアが必要なのか。
いつまで必要なのか。
「〇〇しないと〇〇になる」
「〇〇したから〇〇になった」
それはエビデンスでしょうか。
商法でしょうか。
ご自身のお子さんたちは宣伝に使われるほどお肌がきれいですが、そもそも強い体質のよう。
彼女の話に出てくるアトピーの子は過去に出会った患者さんのお子さんたち。
それを「うわーっと思うくらい血まみれだった子が自然に治っていく」と発言したり、
保湿剤はケチっちゃダメなんて動画を出したり、
アトピーアレルギーへの解像度はかなり低いと感じます。
そんな方が、医療従事者の肩書を利用し、ひとの研究を切り取って利用し、自社商品を販売する。
アトピーやアレルギーへの不安につけ込んだエビデンスのご都合利用。
販売サイトには「安心」「お肌を守る」「誰にでも」「すべて解決」など薬機法あやしい表現が多用され、自ら信頼感を損ないにいくスタイルで逆に安心できますが、世のママさんたち、情報の見極めはどうか慎重に。
商品自体きちんと作られているとしても、天然成分は慎重に捉えた方がよさそうです。
食品成分はアレルギーを引き起こす可能性が指摘されています。
天然成分も無添加も、低刺激や安全を保証するものではありません。
夏の保湿の大切さをうたった最近の動画。
夏の保湿に関する論文は概要欄に呈示され、おおむね納得できる内容ではあるのですが、バリア機能の弱った肌にと強力におすすめされている自社製品は、
食品成分を含む保湿料、弱アルカリ性かつこちらも柑橘成分使用の洗浄料。
ベビーの肌ケアに真剣に悩む人、肌バリア機能が弱いタイプの赤ちゃんに、おすすめするべき製品なのかは疑問です。
新生児の保湿とアトピー性皮膚炎発症の研究を行ったほむほむ先生は、一般向けに丁寧な情報発信をされています。
赤ちゃんのお肌にお悩みの方には、専門家の情報をおすすめします。