外国語上達の早道は自分で書いてみること | SC神戸中国語スクール 京都校

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『中国語はおもしろい』の著者、新井一二三氏は外国語上達の早道は自分で書いてみる。つまりライティングにあると言います。



学生時代より中国語で文章を発表し始め、現在にいたるまで香港、台湾の各紙誌にコラムを連載している。という著者。中国語の著書も多数あります。
まえがきで新井氏は中国語との出会いについて次のように語っています。

 私は十九歳でこの美しい言葉と出会って心を奪われました。以来、中国や世界各地の華人社会で暮らすうち、中国語で文章を書くコラムニストになって十冊あまりの本を上梓(じょうしん)し、今日に至っています。大人になってから、恋をするように外国語に入れ込んで生涯の伴侶とした例は古今東西、数えきれません。
(まえがきより)

新井氏はこの本の中で中国語の様々な面について紹介しているのですが、その中で、外国語上達の早道として「自分で書いてみること」だと言います。

中国語で書いてみる
 外国語上達の早道は自分で書いてみることである。中国語も例外ではない。
(P148)

(中略)

 それぞれの言葉には固有のもののの考え方、筋道の立て方があり、これを中国語では「思路(sī lù )と呼ぶ。
中国語で書くとは、書き手が日本人の場合でも、中国語の「思路」に沿って文章を組み立てていくことを指す。そうでなければ、できあがった文章は中国語にならない。

(中略)

 逆にいうと、その言語に特有の「思路」を身につけるためには、文章を書く訓練が非常に役に立つ。

つまり、外国語の文章を書くためには外国語固有のものの考え方、筋道の考え方という、中国語で「思路(sī lù)」と呼ばれるものに沿って文章を組み立ていく必要があるけれど、その「思路」を身につけるためには、文章を書く訓練が役に立つとのことです。
そして、新井氏は次の具体例を挙げています。

ある時、新聞でこんな記事を見た。アフリカのどこかに赴任した日本人技術者が現地の言葉をマスターする目的で、使用する機械の解説書を現地語で書き上げた。辞書を引き引き、たいへん苦労して書いたのだったが、小冊子が完成するころには言葉が格段に上達し、現地の人々とのコミュニケーションもうまくいくようになったという。つまり、書くことで「思路」が身についたのだろう。
(P149)

このアフリカのどこかに赴任した日本人
今井むつみ先生も、

英語スキーマ(※注)はライティングの練習で作っていくことができる。
※注:認知科学・認知心理学におけるスキーマ(Schema)とは、過去の経験や知識に基づき、脳が情報を整理・理解・記憶するために持つ「定型的な枠組み(知識の型)。
この枠組みにより、新しい情報を素早く分類し、少ない情報量で状況を解釈・予測して脳の負担(認知負荷)を軽減する。

と言っています。
ただし、どのようにライティング(文章を書く)をすればいいかというと、書きっぱなしでは向上しないので、教師のフィードバックしてもらうことが大事だし有効だとのことですが、学習者が、書いたあと読み返し、自分で吟味する習慣をつけることはもっと大事だ。との事。

本書で述べてきた人間の認知のクセを考えると、自分で問題点を意識して見直しをし、辞書、コーパスなどで調べない限り、教師のフィードバックはスルーしてしまう可能性が高い。日本語スキーマに基づいて書いた英語に対して、教師が誤りを指摘し、正答を書く。学習者は、そのときは「そうだね」と納得しても、結局、日本語スキーマに負けて教師の指摘は定着しない。それが人間というものである。
(英語独習法、P170。ライティングは自己フィードバックこそ有効)

そしてこの次に書かれていることがとても重要です。

 結局、どんなに英語能力を向上させたい、という意欲をもっていても、英語は先生に教えてもらうもの、教えられたことを暗記するもの、という意識で学習している限り、伝えたいことを自在にアウトプットすることができるほんとうの英語力は身につかないのである。
(英語独習法、P170-171)

教師に教えてもらう。そしてそれを暗記してテストで良い点を取る。
そういった学習方法、受け身の態度では、ほんとうの外国語力はつかない。ということです。

参考に、今井先生が英語で論文を書いたときに行う読み直しについて紹介していただいているのでここに紹介します。

 私は、英語で論文を書いたら、最低3回は読み直すようにしている。1回目は言いたいことを伝えるのに、もっとよい表現がないかと吟味する。同じことを表現するにも、よりよい別の表現ができないか検討するのである。そのあと、2回目は自分が苦手な冠詞と複数形だけに注目してもう一度チェック、さらに、主語と動詞の数の一致(主語が三人称単数現在のときに動詞に -s がついているか)と時制だけに注目して3回目の見直しをする。冠詞や数の一致の問題は、日本語話者にはなかなか理解が難しいうえに、注意していないと、それらをつけない裸の名詞の出てくる文を作ってしまいがちだからである。
(英語独習法、P171)

外国語について、自ら深く考察し、今日よりも明日、明日よりも明後日と少しでも向上していくために努力する。
結局そういうことなのでしょうね。