最近、ある方が中国語の発音についてお悩みだと聞きました。
そして発音だけではなく声質も気に入らないといいます。
この方は女性なのですが、俗に言うハスキーボイス。
この方がイメージしているのは中国でも北方地方の女性アナウンサーの声質。
透き通った、コロコロと、ころがるような声なのでしょう。
この方とZOOMでお話したのですが、この方の声をお聞きしてはっきりした(と思った?)のは、
「中国語を発声する時に、日本語の発声方法で中国語を発音している」
ということです。
以前から、「発声方法」には注目していました。
英語の世界で、中津燎子先生は早くから呼吸に注目され、トレーニングされていました。
ただ、問題は;
私は成人に腹式呼吸による発声を訓練してみてつくづく考えた事は、人間が生まれてから二十有余年、さしさわりもなく毎日息を吸って吐いて生きて来た、その息のやり方を突然変える事が、如何に困難か、と言う事であった。
人間の呼吸法や発声が、一瞬にして変えられるものではないのだ。(呼吸と英語の関係(その3)より)
呼吸法や発声を変えるのは難しいのです。
私自身、中国語を話す時に使用しているのは小さい頃から親しんでいる日本語の発声方法だし、ハスキーボイスの姫もそうでしょう。
(ハスキーボイスの場合、声帯に原因がある場合もありますが、無意識に首に力が入っていることが原因のようです。)
いつの時代もそうですが、中国語の世界より、英語の世界の方が研究が進んでいます。
『日本人のための英語発音完全教本』に次のように説明されています。
英語を話すのに一番大切なのは、「息」と「声」です。
舌や唇のポジションが正しくても、口先だけで話していては
英語として伝わりません。
(『日本人のための英語発音完全教本』竹内真生子 アスク出版、P26)
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外国語を話す時にこれだけ大切な呼吸法は発声方法。
私はハスキーボイスの姫のお悩みを解決するだけではなく、私自身の発声方法、そしてさらには喘息で苦しむ学友をも救うかも知れない「呼吸法」や「発声方法」にどっぷり浸かりました。
ネットで本を探し、見つけたのは次の本です。
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(今回、3冊の本を購入したのですが、読んだのはこの本が最後でした。)
この本には「納得の声に出会うレッスンCD」が付いています。
そのポイントだけをご紹介します。
(第1章 好かれる声になる「新しい呼吸法」、教えます!)
Track1 「印象のいい声」とは?
第一印象のいい声とはどんな声でしょうか?
例えば歌でも高音の透き通った声もいい声ですが、だみ声のしぶ~い声もいい声といいますよね。
歌の場合は音程や音域も必要ですが、そこに魂を揺さぶる何かがあると、私たちはいい声と感じます。
しゃべる時の声も一緒です。
話しかける相手の心を打つことができれば、それは印象のいい声なのです。
ではどうすれば心を打つことができるのでしょうか?
それは話しかける相手への誠意や熱意といったエネルギーです。
そのエネルギーを表現できる方法の一つが正しい呼吸法で、しっかりとした発声をすることです。
呼吸法が間違っていると、熱意の伝わるはずの発声も、聞きやすい滑舌も手に入りません。
ですからまず、正しい呼吸法を手に入れましょう。
なぜ、腹式呼吸なのか?
これについて、CDでも説明されていますが、本に次の説明があります。
腹式呼吸の特徴のひとつは、息をしっかり吐ききることができるということです。
息をしっかり吐ききれるということは、「吐く息をコントロールできる」ということで、発声をする上で絶対に必要なものとなります。
(P31)
ですから、「笑うツボ」を意識すれば、「しっかりとした力強い息」が吐けるというわけです。
強い息が吐けるようになれば、聞き取りやすい発声を手に入れることにつながりますし、さらにはサ行・ラ行などの滑舌も良くなります。
逆に言うと、この「笑うツボ」からの強い呼気を手に入れられないと、いつまでたっても聞きとりやすい大きな声がでませんし、シャープなサ行や、動きのいいラ行も手に入れられないということです。
(P34)
しっかりとした、力強い息を吐くこと。
「笑うツボ」を使う腹式呼吸をすることでコントロールする。
これで日本語でのいい印象の声を手に入れることができ、中国語でも正しい発音をすることができる(正しくはコントロールすることができる)ようになるようです。
中国語や英語の場合、日本語の呼吸方法と発声とは少し違う、そして、そのために、日本語が母語である中国語学習者の発音の問題としてでてくるのですがそれはまた別の機会にご説明します。
また「相手の心を打つ」や「誠意や熱意というエネルギーを伝える」には、脳科学の知識を活用することで説明することができ、これは通訳の技術にも関係しているのですが、今回は、外国語を発声、発音する時には呼吸法が大事で、普段、無意識でしている呼吸法・発声とは違うということを理解していただけたと思います。
中国語を学び始めて40年。
これほど根本的に考えるのは始めて中国語を学んだ頃だけだったと思います。
これはいろんな方との出会いがあったから。
出会った全ての人たちに心より感謝します。
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