中国語発音クリニック動画撮影のその後|息→ドッグブレス | SC神戸中国語スクール 京都校

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先日、SC神戸中国語スクールの森川寛代表にある方に発音クリニックをしていただき、その様子を動画にし、公開しています。

 

この動画は、専門用語があったり、また、上級編ということでお相手いただいた方も音声学を学んでおられ、森川代表とお相手が共通して持っている知識があり、それらは私を含め一般の方には馴染みがないこともあり、8月24日(土)、10:00~、Zoomを使用したイベント、「中国語発音クリニック動画撮影のその後」を開催しますが、その準備を含め、中国語の発音について改めて学んでいます。

 

まず私が感じたのは「息」についてです。正確には「息を使用する量」が日本語と中国語では違う。日本語に比べ英語・中国語ははるかに多くの「息」を使う。ということです。

 

なぜ多くの「息」を使用するのか?

それは人体を楽器として考えた時、大きく、激しく、はっきりした「音」を出すためにはまず燃料である「息」を大量に使い、それを喉や口腔などの発声器官に激しくぶつけることで一つ一つの「音」をはっきりさせるため。

 

日本語と英語や中国語では使用する「息」の量が違うということを最初に教えてくれたのは中津燎子先生です。

 

呼吸と英語の関係(その1)
呼吸と英語の関係(その2)
呼吸と英語の関係(その3)

 

そして、最近購入した以下の本でも詳しく語られています。

 

 

少し長くなりますが、1章 英語発音を学ぶ前にから引用します。

 

■英語の息-ペラペラ話せるだけでは通じない

英語発音を学ぶにあたって、英語と日本語の呼吸法には大きな違いがあるということを認識してもらいたいと思います。

「英語がペラペラ」という表現がありますが、“ペラペラ”は日本語を形容する言葉で、英語は“キンキンキン”とか“カンカンカン”とか言う表現があたっています。

私たちには流れるように聞こえる英語は、実は子音と母音をはっきり発音するために、一つ一つの音を強い呼気で発声する音のつながりなのです。

強い呼気を続けるには、当然吸気しなければなりません。

英語のネイティブスピーカーは無意識のうちに、一つの単語ですら、途中息つぎして正しい音を出しています。

その間(ま)が英語のリズムとイントネーションを作っています。

本書では、この強い息をドッグブレスと称しています。

犬がハーハーいいながら呼気と吸気を繰り返すのと似ているからです。

日本語の場合はそれほど強い息を必要としない言語なので、ほぼ一定に呼気を続け、息が続かなかったところで、話の間を見て吸気します。

この要領で英語を話すと、子音も母音もネイティヴに比べてずっと弱く、彼らには英語の音として把握できません。
(日本人のための英語発音完全教本 P16)

 

さらにP18には次のように説明されています。

 

私たちは日本人の発声法や発音の特徴を踏まえたうえで、「ネイティヴに通じる発音」を体系的に学ぶ機会に恵まれていませんでした。

大学では音声学を学べますが、音声学自体が、欧米人の呼吸法と発声法を前提として構築されていますので、その知識だけでは、日本人やほとんどのアジアの人が欧米人に「通じる」発音、そして発音を聞き分ける力を身につけることはできないのです。

前項で説明した「息」と「声」、それに英語の発音のための「英語の筋肉の使われ方」についてはほとんど触れていないからです。

もちろん、音声学上の子音の調音器官と調音様式や、母音の舌の一番高いところを示す母音図は参考になりますが、それでも、母音に関しては、舌の高さとと口の形の違いを表しているだけなので、母音図を見てまねをしても、ネイティヴの英語と同じ発音をするのはまず不可能に近いのです。

前に述べた、「呼吸法」や「発声法」を基にした、喉や舌奥の動きがあって初めて正しい発音ができるのであって、口の形だけをまねてもなかなか同じ音になりません。

 

極めつけは2章 第2節の以下の説明です。

 

英語を話すのに一番大切なのは、「息」と「声」です。

舌や唇のポジションが正しくても、口先だけで話していては英語として伝わりません。

英語の息は日本語の約4倍も強いという測定報告があります。

ネイティヴのような強い息をだすためには、丹田(へそのこぶし1つ下あたり)に力を入れ、胃の上あたりにある横隔膜と、その周辺の腹筋(腹部のインナーマッスル)を使います。

息を吐くときには急速に腹筋を緊張させ、横隔膜を上げ、強い息を出します。

出し切ると、インナーマッスルが自然に緩み、横隔膜が下がり、肺の容積が増し、肺の圧力が低くなるため、外気圧と平衡を保つために外気を自然に吸います。

これが横隔膜呼吸です。

また、急速に息を吐いて吸う呼吸の仕方は犬の荒い息のようなので、本書ではドッグブレスと呼びます。

 

英語の声は、開いた喉(あくびの喉)で大きく共鳴する響く声です。

子音は、強い呼気で鋭くとがらせます。

母音は開いた喉で十分に息を吐ききるようにして発音します。

声門閉鎖音といって、閉まった声帯まで強い呼気をため、いきなり開く咳のような無声の音が伴うことが多く、また共鳴スポットに声のエネルギーを収束させるため強い音になります。

あくびの喉によって喉頭が下がることで、声帯に張りが出て、強い呼気が声帯に安定した振動をもたらすため、一般に英語の声は太く、低音になります(寝起きのときのような声です)。

強い息がエネルギー源の大きく太く、低い音が英語の声なのです。

 

なお、「英語の息は日本語の約4倍も強いという測定報告」は以下の注があります。

 

※)井上栄、杉原義文『発話時噴出風圧の測定:日本語と英語・中国語との比較』(日本音声学会2012年度(第26回)全国大会で発表)にて、英語の噴出力は、会話時で日本語の3.8倍、ナレーションのような叙述時で6.3倍という測定報告がなされた。

 

ネットで検索すると以下がありました。

 

第26回日本音声学会全国大会発表要旨

P2. 発話時噴出風圧の測定 : 日本語と英語・中国語との比較(研究発表,日本音声学会2012年度(第26回)全国大会発表要旨)

 

要旨しかありませんし、個人差があるとのことですが、それでも英語・中国語は日本語より数倍の噴出力があるという測定結果です。

そして英語と中国語のと間には有意差がないとも。

 

さて、以上は「英語」についてなのですが、上述の測定では「英語-中国語との間には有意差が無かった」とのことで、中国語の発音でも日本語より数倍「息」を使うことを意識する必要があるようです。

 

「あくびの喉」については回を改めて書きますが、「息」については今回、大きな気づきがありました。

考えてみると、今回のお相手は周りの中国語ネイティブ・スピーカーから肺活量が足りないと言われていたのです。

 

私はこれまで「息の量」はあまり意識はしませんでした。

それより「大きな声」であり、子音については「大げさ」なぐらいに強調することを説明する程度でした。

 

中国語らしい発音は日本語よりも大量の「息」を使用する。

 

そして、その逆に、

 

「息」の使用量が日本語と同じならそれは「日本語的な発音」の中国語になる。

 

わからなかったことがわかる。

問題を解決しようとして考え続けていたことの答えが見つかる。

これは本当にうれしいことです。

学ぶことの楽しさはこれなんだと思いました。

 

そんな中国語の発音クリニックの動画を録った後を振り返る形の「「中国語発音クリニック動画撮影のその後」。

8月24日(土)10:00~11:00です。

参加費は無料です。

どうぞご参加ください。

ご参加はお手数ですが、以下からお願いします。

中国語発音クリニック動画撮影のその後

 

こくちーず(告知's)というサービスと使わせていただいています、

 

出演予定は:

・SC神戸中国語スクール 代表 森川 寛

・クリニックのお相手

・山岡義則

後藤ゆかりさん

 

また、中国語発音クリニックを動画をご覧になってのご質問も大歓迎です。

以下からご連絡ください。

 

SC神戸中国語スクール 京都校 問い合わせフォーム

 

(直接、山岡宛にご連絡いただいてももちろん構いません。)