先日、大阪市内のある一流ホテルから関西国際空港まで英会話ドライバーとしてお客様をお送りしたときの事。
中国語に比べると英語はもう忘れてしまっていてとても流ちょうとはいえない状況なのに英会話ドライバーの仕事を大胆に請けてしまっているので事前にあれこれ言おうとトレーニングしているのですが、一方、「ドライバーに多くを求めない」という同僚の言葉もあり、それもそうだと思っている今日この頃ですが、この日のお客さんは、完全な欧米人。
お一人でハイヤーにご乗車されました。
そして、あともう一人おられるとのことで待っていたら体格のいい東洋人がご乗車されました。
さて、朝のコトですので先ずは挨拶をとのことで、
“Good morning!”
そして行く先は事前に聞いているのですが念のために目的地を聞くと、その東洋人のお客様が、
“Kansai Internationa Airport, Cathey pacific.”
「関西国際空港、キャセイパシフィック(航空会社)。」
とても低く、そして響きのある、そして少し口ごもったようなイギリス英語でした。
どちらの国までというのは調べませんでしたが、キャセイパシフィックということは香港なのだろうと思います。
それから関西空港まで約一時間。
幸い、お二人は新聞を読みながら会話されていたので私は運転に専念できたのですが、この東洋人のイギリス英語は大したものでした(香港人だと思うので当たり前ですが)。
それはさておき、この方が乗車されて私に向かって発せられた言葉に注目しました。
中国語講座でもよく説明するのですが、中国語を習った日本人が中国に旅行に行ってタクシーに乗って中国語を使っても通じない。発音が悪いのでしょうか?という相談をよく受けますがそういう方には先ず「大きな声」で話すようにアドバイスします。
「発音が悪いから通じない」という人の多くは単に言葉が小さいから運転手は聞き取ることができず「はぁ?」と言われ、ますます口ごもって小さな声になり通じない。という方が多いと思います。
大きな声で、ゆっくりと行き先を告げれば本当は通じたと思います。
そして次に、丁寧すぎる。ということがあります。
多くのテキストにはタクシーに乗って行き先を告げるとき、
“请 去 ~”
“Qǐng qù ~”
「~まで行って下さい」
がありますが、確かに間違ってはいませんが、この表現は多分、日本語の直訳だと思います。
実際に中国でタクシーに乗ったときにある会話は、今回、私が体験したように、最低限の情報のみを伝える。という言い方だと思います。
日本語なら、
「あの~、すみませんが関西国際空港までお願いします。航空会社はキャセイパシフィックですから近くの入り口間でお願いします。
このように文を長くして、自分が相手を重んじている。という意味を込めます。
一方、英語では、
“Kansai Internationa Airport, Cathey pacific.”
これを聞いて思ったのが、
日本語は言葉をたくみに使って表現する言語。
英語や中国語はそんなことより必要最低限の単語で明確にメッセージを伝える言語。
だということです。
いえ、正確には母国語同士の方が会話する時には英語や中国語も言葉をたくみに使って表現するでしょうが、今回のように一方が非英語圏,非中国語圏ではない、あるいはどちらも母語ではないときに第三国の言葉を介してコミュニケーションをとる場合には、このようにストレートに必要なことを正しく伝えることがよいのでしょう。
日本語のこの「丁寧感」は中国語を話すときにもなかなか抜けません。
「こんな風に簡単に言うと失礼ではないか?」
失礼ではありません。それより相手がわかりやすいように伝わりやすいようにする方がよほど相手を重んじているのではないでしょうか?
だから、これが中国語なら、
“请去关系国际机场,航空公司是国泰航空公司。”
より、
“关系国际机场,国泰。”
でいいのです。
そんなことを感じた、ある日の乗務でした。
