SC神戸中国語スクール 京都校

SC神戸中国語スクール 京都校

全くのゼロから、ビジネス会話、通訳レベルまでしっかりと学べる中国語スクール、SC神戸中国語スクールの京都校のブログです。

何度か取り上げている今井むつみ先生の『英語独習法』ですが、今井先生自身がこの本について次のようにおっしゃっています。


 ただし、本書では、これらの項目(※注)を、それぞれに章を立てて解説していくという構成にはしていない。その意味では、見出しを見れば中身を読まなくても内容がほぼわかるビジネス書などを読み慣れている方々には、本書は「わかりにくい」「読みにくい」と思われるかもしれない。

 しかし、先に一言だけお伝えしておこう。少し前に人の記憶は脆弱だと述べた。特に、すぐ理解できて、斜めに読んで「わかってしまう」と、そのときにはどんなに感銘を受けても記憶が定着せず、すぐ忘れてしまう。理解に努力を要するものほど、情報の処理は深くなり、忘れにくくなるのである。

(『英語独習法』第1章 認知のしくみから学習法を見直そう P18)


※注:項目とは次の4つ。

・小さいころから英語に触れていれば自然とプロフェッショナルレベルの英語力が身につくのか。

・英語に必要な四つの技能、つまりリーディング、ライティング、スピーキング、ライティングは最初からバランスよく学習するのが合理的なのか。

・英語を浴びるように聴き、多読すれば、ビジネスで通用するスピーキング、ライティングができるようになるのか。

・リスニングが苦手な人は、どうすれば英語が「聴こえる(hear)」ように、つまり耳から入ってくる英語が自然に理解できるようになるのか。


今井先生は「一言だけ」とおっしゃっていますが、さすがに研究者。表現が難しいと思うのは私だけでしょうか?

私なりに読み解くと「すぐに理解できるものはすぐ忘れてしまう」ということなのでしょう。


確かにこの本は「わかりにくい」し「読みにくい」。それは、今井先生の説明が専門的で詳細だからです。

色んな秘訣を説明していただいていますが、最後に次のようにおっしゃっています。

これがエッセンスだと思います。


いずれにせよ英語の学習に完成はない。言語能力はどこまでも伸ばすことができる。だから、あせらず、気長に、完璧を求めず、しかし惰性ではなく、楽しみながら、よりよい学習法を考えながら続けること。それこそが英語学習の成功の秘訣である。

(第10章 大人になってからでも遅すぎない P194)


私が特に大切だと思うのは「完璧を求めない」と言うことそして「よりよい学習法を考えながら続ける」と言うことです。


「完璧を求めない」と言うことについて、今井先生は次のようにおっしゃっています。


 しかし、もう一つ、大事な秘訣がある。大体できるようになったら━━ざっくり言えば80%くらいの歩留まりで正しく使えるようになったら━━完璧を目指さず、大事なのは文章の内容だと割り切ることである。貴重な時間を使うなら、 r と l の発音や、可算・不可算や冠詞の使い方で完璧を目指すより、伝えたい内容がきちんと伝わるよう語彙力をつけ、さらに、同じことを言うにしても、相手が読みやすい文を書くことができる表現力を磨くことに注力したほうが、得られる効果はずっと大きい。

(第10章 大人になってからでも遅すぎない P189-190)


「よりよい学習法を考えながら続ける」は、この本が「独習法」だからというわけではないと思います。

私の経験でも、大学で学ぶ以外に、NHKの中国語講座(テレビ・ラジオ)を聞き、手に入る会話本や中国の漫才の本を入手し、カセットテープで音声を聞き、たまにはラジオで「こちらは北京放送局です」で始まる北京放送局の中国語講座も聞き、その中でどの方法が自分にとって効果的なのかを試行錯誤しながら学習法を考えながら学習を続けました。

この「(自分で)考える」ということがとても大切だと思います。


英語学習の成功の秘訣について今井先生はさらに次のようにもおっしゃっています。


 プロフェッショナルなレベルに堪え得る英語の表現力を身につけるためには、一にも二にも語彙である。本書で繰り返し述べてきたように、とりあえず日本語に置き換えられる程度に知っている単語がたくさんあることが大事なのではない。必要なときにすぐに記憶から取り出せて、どのような構文で使えるかが判断でき、その文脈で使うことが自然で、他にそれよりもよい単語がないかどうかを判断できる、そういう「生きた」知識を伴った単語が集まった語彙力を持つことが大事なのである。

(第10章 大人になってからでも遅すぎない P190)


単語を知らなければ話にならない。それは誰もがわかること。そして、その単語も「日本語に置き換えられる程度に知っている」のでは足りない。もっと深く広い「生きた」知識を伴った単語が集まった語彙力を持つことが大事なのですね。


ということで、今井先生が英語学習の第一歩だと紹介された;


 英語学習を始める第一歩は、自分が必要な英語はどのようなレベルなのか━━つまり英語学習で達成したい目標を考え、自分はその目標達成のためにどこまで時間と労力を使う覚悟があるかを考えることだろう。

(第1章 認知のしくみから学習法を見直そう P15)


から始まる英語学習ですが、中国語学習でも同じだと思います。

まずは自分が目指す目標を考え、決める。そして語彙力をつける。そして「あせらず、気長に、完璧を求めず、しかし惰性ではなく、楽しみながら、よりよい学習法を考えながら続け」ていけばいいということです


最後に今井先生がこの『英語独習法』を世に出された理由について以下のようにおっしゃっていることをご紹介します。


 冒頭で述べたように、英語学習に関して世の中で広く信じられ、おこなわれていることの中には、認知プロセスの観点から考えると不合理なことが数多くあり、私の目には多くの英語学習者が大事な時間をかなり無駄にしているように見える。

 合理的な学習法というのは、「簡単に」とか「片手間に」とか言いたいわけでもない。ただし、つらい苦行を覚悟せよと言いたいわけでもない。「楽に習得」と「楽しんで習得」は別だ。どの分野でも一流になった人は楽にそうなったわけではなく、苦闘しつつも楽しみながら努力を重ねた結果そうなったはずである。

 英語の学習法についての数多(あまた)の本はほとんどの場合、英語(あるいは外国語)に特化した視点で書かれているが、じつは英語の熟達は他のあらゆる分野の熟達と重なるところが多い。たとえば将棋で熟達し、超一流のプロ棋士になるために棋士がたどる過程(※注)と、英語をプロフェッショナルレベルで習得することは、あることに熟達していくときの過程としては心理学的にはほぼ同じである。

(第1章 認知のしくみから学習法を見直そう P16)

※注:

『学びとは何か━━<探求人>になるために』の中で野球のイチロー選手やプロ棋士の羽入善治さんの例を紹介されています。


皆さんの中国語学習が大事な時間を無駄にすることなく、楽しみながら続けて行かれることを心よりお祈り申し上げます。


英語独習法 (岩波新書)

学びとは何か-〈探究人〉になるために (岩波新書)


AIを学んでいます。

あべむつきさんのYoutube動画を見て、




を購入しました。

この本の序章「1ページで分かる! 生成AIとは?」で次の説明があります。


 生成AIは、「こういう風にきたなら、多分次はこう続くだろうな……」という高精度な予測をひたすら続けるモノだと思ってください。


(高精度な)予測。


これはNHKの新番組、「タモリ・中山晋弥の!?(びっくりはてな)AIは人間を超えるか」でAI研究者で東京大学大学院の松尾豊教授が次のように言っているそうです。


AIが進化してきたのは、ただ次の言葉を予測する能力が向上してきたためであり、知能=予測能力である。


https://note.com/woodtaro60/n/n5ac92195e58f


「予測」。


これって、人が話を聴く(リスニング)ときに人が使っていることです。


  人は入ってくる情報を、まったく何も考えず受動的に受け取っているわけではない。常にスキーマを使って意味の内容を予測しながら聴いている。次にどのような意味の内容を話し手が言うかを予測し、そこから単語も予測する。

(中略)

「聴く」ときも同じである。どのような内容のことばが耳に入ってくるかが予測できないと、知っていることばでも聴こえない。子どもと違って大人は豊かな概念と理解力を持っている。細かい音の聴き分けができなくても、相手が話している内容について、だいたい何を言っているのかがわかり、次に現れる単語も予測することができる。

(『英語独学法』第7章 多聴では伸びないリスニングの力 P135)


また、このことは同時通訳者が、通訳する人物を知るためにこれまでの発言や演説を聞いたり、著作物を読んだりして、通訳する人がどのような考え方を持っているかをすることで、次の言葉を予測して同時通訳することと同じです。


中国語を学び始め、少し話すことができるようになった学習者が、たまたま中国語のネイティブスピーカーを見つけ、中国語で話しかけても、ネイティブスピーカーは「はぁ?」と聴き取れない。

学習者はショックを受けて「私は発音が悪いから通じなかった・・・」とがっかりするけれど、これも「予測」が関係しています。


考えて見てください。皆さんが、外国人から突然話しかけられた時のことを。

その外国人が何を言うのか「予測」できない時には、その外国人が言うことを聞き取ることができないでしょう。

その外国人がどうして自分に声をかけたのか。その背景や状況がわかったら、「こういう状況だから、多分、こう言うことを言っているのだろう」と「予測」することができ、少々発音がなまっていても、(今井むつみ先生が言うように)「豊かな概念と理解力」で聴き取ることができる。

話しかけた外国人はただ状況がわからないだけ。だから、「通じない」とがっかりすることはないのです。

どのような状況なのかわかってもらえれば、少々発音が悪くても通じるのです。

(相手が子どもの場合、「豊かな概念の理解力」が少ないため、状況を説明しても聴き取ってくれない可能性大です。)

一言ふたことではなく、もっと長い文を言えば、相手は背景を理解し、こちらの気持ちを察してくれて意味が通じるでしょう。


私が同時通訳する時も同じです。

日本人の言葉を同時通訳するのは、同じ日本人として考え方や話し方の特徴を理解しているので、先を「予測」しながら通訳しています。

でも、考え方や背景をまったく知らない人を通訳するとなると何を考え、どのような考え方を持っているかわからないので、とてもスムーズに通訳することはできません。

ですから、外国人に話しかけたとき、相手が聴き取れなくてもそれをすぐに自分の発音のせいにする必要はないのです。

なんとしても伝えたい。

そんな熱意があれば伝わるのです。


このことから学習者がどのように学習をしたら目標のレベルに到達するかは「予測能力」にかかっていると言えるでしょう。

そして正しく「予測」するためには情報が必要。それも例えばある単語を知識にする時、その単語の使い方やどのような構文で使われるのかとか一緒に使われる単語にはどのようなものがあるのかなど、幅広い情報を知識として記憶する必要があると言えるでしょう。


外国人と通訳を介すことなく直接自分の言葉で会話するというのは楽しいものです。

せっかく貴重な時間を使って外国語を学んでいるのです。

ぜひ、外国人との会話を楽しんでください。

きっと、皆さんの知らない世界が待っているはずです。


中国語とは関係ないのですが、「学び」という視点から今井むつみ氏の「スキーマ」につながると思い、ご紹介します。


ふるやまん先生はずいぶん前に、滋賀県稲枝の総合学習教室「ブリッジ」の代表、講師:田中力磨先生にご紹介いただきました。

ブログはずっと「読み逃げ」していましたが、今回の記事は、私のブログを読んでいただいている方に是非読んでいただきたいと思いご紹介します。


わからなかった英単語から深い気づきを得ておられることにも学びましたが、以下の「今日の学び」を拝読し、最近、よくご紹介している今井むつみ氏の「スキーマ」につながると感じました。

ーーーー

 ■ 今日の学び

単語を覚えるだけでは足りない。

👉 どういう場面で使うか  
👉 どんなニュアンスか  

ここまで理解して初めて「使える単語」になる。

ーーーー


中国語の単語もそうだと思います。いえ、語学全般に言えることだと思います。

単語を記憶する。

これを試験の解答するためだけに記憶するのならいいかもしれませんが、それを会話や文章で「使う」のなら足りない。

単語がどのように使われているか、そして、どのような意味に使われているか、また、一緒に使われている単語にはどのようなものがあるかなど、「知識の枠組み」を作らなければ「使える単語」にはならない。


ふるやまん先生も『英語独学法』を読まれたのかも知れませんが、日々、真摯に「教えること」に向き合い、また、ご自分でも学び続けている態度に私自身、学ばせていただいたブログです。


ふるやまん先生、ありがとうございます。そして、ご紹介いただいた田中力磨先生、ありがとうございます。