元記事
「先祖より譲られた財産によって神経筋肉ともに劣った者がおごり栄え、神経筋肉ともにまさった者がそのため苦しめしいたげられるというような不条理きわまることは、他の動物では決して見ることはできぬ。五尺の身体が完全に発達し終わってからも、なお親の脛をかじって安逸に世を渡る息子、祖父の造った身代を受け継ぎながら道楽をつくして、ついに売家と唐様で書く孫などは、実に人間社会の特産物である。」
丘浅次郎の文であるけど、
人間社会という意味で言えば、
三代目ほどしがらみやで雁字搦めで、
身動きのできない立場も、
動物にはない特徴だと思う。
相続する財産が有形無形で多いということは、
西洋風に言えば、
それだけ沢山の呪いを受けているということだ。
また、
個人的には若い頃に教えられた、
世襲できる仕事は、
要は簡単な仕事なんだ、というのが忘れられない。
難しそうにしているだけ、
成果が出ているのは仕組みができあがっているから、
というのが本当のところで、
二代目、三代目の力というのはとても小さい。
本来であれば、
現場からは退いて株主やオーナーになって、
会社の運営自体は公正に選ばれた後継者にゆずるのが正しい姿だ。
日本の議員の世襲率は四割といわれるが、
アメリカでは5%くらいではないかな?
これはアメリカが世襲という意識がないわけではなく、
親が議員だから子供も議員という同じ職を続けるということに、
意義を感じないからだろう。
親が議員なら自分はもっとすごい(?)仕事をなすべく次を目指すというのがアメリカや、
それこそ中国の考え方だ。
日本のように永遠に我が家の議席や家業を守り続けるという発想はなく、
そうした日本人的に発想は怠惰で堕落したものと思われてしまう。
なので創業数百年も同じ仕事をしているという老舗を無条件にすごいと思う考え方もない。
この方も大変だなと思うのは、
年商600兆円の大組織の役員に就任したはいいが、
それだけの組織を運営するだけの経験も学習もしてきていないのだと思う。
彼女の周りに専門的に助言者や秘書は何人いるんだろうか?
日常的に親密にしている官僚の数は?
実行部隊として動いてくれる企業家の人たちはいるんだろうか?
政治家とは個人ではなく、
政治集団である。
それが集まって派閥となり、
ある人物を総理総裁にすることに奔走するわけだが、
果たして、
今の議員に目標はあるのだろうか?