蝉と山椒魚 | 闇の杜倒れ

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私は見た派!



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既に何体も見ている。

今朝庭にはクマゼミの雌の骸が横たわり、既に蟻んこが集ってきている。

我家の庭木に産卵したのか、それともここまで飛んできてここで力尽きたのか。

蟻んこにとってみれば、これから厳しい冬を越す為の大切な食糧になるんだろう。

どんな小さな生き物で何処に居ようとも、みな平等に自然のサイクルに組み込まれているものだ。

そのサイクルから逸脱してしまった存在からしてみれば、甚だ見苦しい物だと思う人も居るだろうな。

逸脱してしまった存在から、ちょいと逸脱した考え方をしてみれば、例え死んでも蟻んこの命を繋ぐ存在になるのなら、これ程幸せな事は無いだろう…と、ふと思う。

そんなこんなで擦れた感覚になると、決して可愛そうとは思わなくなるのだ。


そう言えば昔、街の中では鎮守の杜は昆虫観察の宝庫だった。

そんな鎮守の杜では彼方此方に、土中から這い出した蝉の幼虫の穴がポコポコと空いているもの。

子供の親指位の穴は既に蝉の幼虫が這い出た後で、中を覗き込んでも幼虫は出てこないが、良く見渡すと数ミリの小さな穴を見つける事が出来る。

そんな小さな穴を覗き込むと、地上に出るのを今か今かと待ち構えている蝉の幼虫が、ジッと外の様子をうかがっている様に此方を見ている。

永年地中に居た事を考えると、そんな蝉の様子がとても面白くって、小さな穴ぼこを見つけては此方からも覗き込んで面白がっていた。

そんなある日、参道の延段の狭い目地から外を伺っている幼虫を見つけた。

5ミリも無い狭い目地で、御影石の延石なので当然この蝉は外には出られないんだろうな。

それでもジッと外の様子を伺っていた。

その様子を見て可哀想だとは思ったが、子供の力ではどうする事も出来ない。

出る所を間違えれば一生を棒に振る事もあるもんだ。


でも、もしかしてあの蝉の幼虫は自然のサイクルから逸脱して

30センチ位の大きさになって、今でも外の様子をジッと伺っているのではないだろうか?





悲哀なる山椒魚の様に…。




さて、クマゼミが静かになれば次はミンミンゼミか

その次はツクツクボウシか

夏が過ぎ

秋が訪れる

自然のサイクルだ。