宛先:アメーバ
件名:頬刀が呼ぶ、大地の目覚め
日時:22/08/06 00:00
※この作品は、ピグミャンというオフィシャルブロガーの、マネージャーを務める人物を通して個人的に頼まれたプロパガンダ作品で、キャラクター等は彼女の世界観をベースにしている為、リンク先の彼女のブログを読んでもらえると、理解しやすいと思われる。
https://ameblo.jp/pigmyan-land/entry-12313676546.html?frm=theme
ブラジルのインディオ保護区にあたるシングー川の下流域に、焼け焦げた樹木が点在する広大な平原が広がっている。ここはかつては深い森であったが、都市部から不法入植した人間達が此処に火を放って木を燃やして自らの土地にしてしまい、しかも牧場や畑を作るも、牧草や作物が上手く育たないことから放棄され、今や草一本生えぬ不毛の大地と化してしまっていたのである。さらに、雨や太陽を遮るものがないことから、大地は直射日光や風雨に晒され、大地はひび割れを起こしてもいた。
弓矢を手にしたカヤポ属の酋長ダナエイ.アデュレが、暗い顔で歩いてくる。彼は村の仲間の為の食糧を求めて狩りに出て一週間経つも、未だ満足な獲物を見付けられずに苦しんでいた。
彼は辺りを見回すと深い溜め息を吐き、大地に跪いた。
ーー此処はつい一年前はアマゾンでも有数の狩り場だったのに、今や虫一匹姿を見せない……これも全ては、後から我々の暮らす土地に入ってきた連中が自分勝手に木や大地に宿る精霊を殺しまくったせいだ!
と、地面を拳で叩いて空を見上げ、
ーーインディオの神よ……もし叶うならば、今すぐにでも精霊を甦らせて森を元に戻してくれ……連中が巨大な道路を通して森を寸断したり、巨大なダムを作って水底に沈めたりしまくるせいで、我が部族の生活は成り立たなくなりそうなんだ!我々は森や川に棲む生き物を頼りに繰らしているのに……。
ダナエイは大粒の涙を流し始め、それは頬を伝って乾ききった大地に瞬く間に染み込んでいく。
小さな蜂鳥が、焼け焦げた樹上に停まって、彼の姿をじっと見詰めている。
やがて蜂鳥は、何処へともなく飛んでいく。
ピグミャンはその日、自らの宇宙船で保護区を訪れ、カヌーに乗ってシングー川の川下りを楽しんでいた。その脇を、カピバラの群れが彼女と競うように泳いでいく。
「川下りは、涼しくて楽しいなあ。しかもカピバラ君達とも競争できるだなんて、アマゾンに来てみてよかった!!」
と、土手に上がっていくカピバラ達を笑顔で眺めながら、とろ場(川縁の、流れの緩い場所)にカヌーを寄せてバナナを頬張る。
そこへ一羽の蜂鳥がやってきて、 何事か伝えるようにピグミャンの目の前でホバリングして
羽音を響かせる。
「あれ、この蜂鳥君、ピグミャンに何か伝えたいみたい…よし、鳥君の気持ちが分かる翻訳ほっぺを使って調べてみよう」
と、懐から翻訳ほっぺを取り出して、操作していく。
やがてほっぺの側面に,蜂鳥の羽根の振動に合わせて文字が浮かんでくる。
「ええっ!去年まであった森が消えてしまって、ダナエイ酋長が生きる気力を無くし掛けてる!?あの酋長は、八百七十七日前に初めて此処の森を訪れて出会ったときに村に誘ってくれて、私の歌や踊りを皆の前で披露する機会を与えてくれた恩人なのに!!」
と、翻訳ほっぺを両手で押さえてじっと見詰めた。
ーーなんとか、あの酋長に恩返しをしたいけど、私の力では森を甦らせるとかはできないし、一体どうしたらいいんだろう……。
ピグミャンが暗い顔で俯くと、足元に置いてあったリュックサックから、ふいに緑色のほっぺが転がり出てくる。そして、そのほっぺから、頬刀が出てきた。
「!……これは、頬王の頬刀!!何故、こんなところにっ!?」
ピグミャンが頬刀を手に取り、不思議そうに眺めると、緑のほっぺから頬王の声が響いてくる。
ーーピグミャン、おらだ!つい今しがたピグミャンがアマゾンで苦しんでる様を夢で見で、もしやと思っで頬力を使って伝家の宝刀を瞬間移動させただ!
「頬王!頬林寺での修行以来だけど、凄い頬力を上げたじゃない!!」
と、緑のほっぺを見詰めた。
ーーそこで、よく聞いてほすいだ!この頬刀は直ぐに折れるけど、じつは折れた刃先を地面に深く埋めでやると、この刀が持づ宝力でたちどころに土の中に暮らす菌や微生物が甦っでぐれるだ!
「この刀にそんな秘密があったなんて、まるで知らなかったミャン!!」
ピグミャンは、驚愕してそう叫ぶ。
ーーおらは、こう見えでも山の神!土や草木の精霊の命を預かるのは、おらのでぇずな役割だから、人間を含めで草木を頼って暮らす生き物達のごどさ放っておぐなんてできないだ!!
「たしかに!心無い人間も多くいるけど、見て見ないふりをしてたら、この地球そのものが潰れてしまうものね!!」
ーー分がっだら、早ぐ行ぐだ!おらの耳に、助げでほすいど土の中で泣いでる精霊達の叫ぶ声が聞こえでぎで辛いんだ!!
「了解、直ぐに駆けつけるね!!」
と、翻訳ほっぺを振動させて、尚も必死にホバリングを続ける蜂鳥にその旨を伝えた。
蜂鳥はそれを受けて、ピグミャンの頭上を大きく旋回した後、彼女を先導するかのように、幾度も振り返りながら飛んでいく。
「大丈夫だよ、蜂鳥君!このカヌーに私のほっぺを取り付ければ、たちまちホバークラフトに早変わりするから、これに炎で暖めた空気を送り込めば、草や木を傷め付けず、尚且つ大気も汚さずに移動できるもの」
と、赤いほっぺを船底に取り付けると、ほっぺが大きく膨らんで船体を包む。
ピグミャンは炎を起こしてほっぺに暖めた空気を送り込み、ホバークラフトを走らせていく。
「神よ……儂はもう充分に生きたから、もう思い残すことはない……だから、この命と引き換えに少しでも多くの村の仲間を救ってやってくれ!!」
ダナエイは、思い詰めた表情で矢を握り、その先端を喉に突き付ける。
そこに蜂鳥が飛んできて、彼の手を嘴で突つく。
「!……」
ダナエイが思わず手から矢を落とすと、そこに頬刀を手にしたピグミャンが駆けてくる。
「ダナエイ、早まらないで!貴方が死んでも、誰も喜んでなんてくれないよ!!」
「!……ピグミャン!!いつ、此処にっ!?」
「暑気払いにアマゾンに来て川下りを楽しんでたら、蜂鳥君がダナエイのことを知らせに来てくれたの!!」
「神が、蜂鳥を使ってピグミャンを招いてくれたのか……しかし、もはや狩り場が殆んど無くなってしまった今、食い扶持を減らす為に老人が犠牲にならないと……」
と、悲痛な表情を浮かべた。
「まだ、希望を捨てては駄目よ!これは文明社会に暮らす私達の責任でもあるから、頬神の誇りに掛けても貴方達を救って見せるわ!!」
と、頬刀を地面に突き刺して折りまくると、炎を浴びせて地中深くに埋め込んでいく。
ダナエイが不思議そうにその光景を眺めると、地面が激しく揺れて草が伸びてきて、乾いた土壌を覆っていく。
そして、甲虫や蜂が何処からともなく飛んできて、草に咲いた小さな花に群がる。
「まさに奇跡だ……死んだ大地が甦った!!」
ーーこれが、頬刀の真の力だす!後は此処にピグミャンの持つほっぺの木の苗を植えでやれば、その木の持づ力で元からあっだ木も甦るから、それを餌にする多くの動物達も戻ってぐるだ!
草の間から、頬王の声が響いてくる。
「有り難う、頬王!流石は七頬人の一人だけのことはあるわ!」
ーーなんの。おらの役割は、地球の緑を守るごどにあっから、これは当然のごどだ!!
その声と共に、柄だけになった頬刀が、緑のほっぺに吸い込まれて消えていき、緩やかな風が草を軽く撫でて吹き抜けていった。同時に蜂鳥もまた、空の彼方に飛び去っていく。
「さて、最後の仕上げにほっぺの木の苗を植えていかないと。これは僅か八百七十七時間で大きく育って沢山の頬の実を付けるから、直ぐに色んな動物がやってくるようになってくれるよ!それに、人が食べると心が綺麗になる特別な力も持ち合わせてるから、この場所に勝手に入ってくる人間にこれを渡せば、徒に森を荒らしたりしなくなるはず」
と、草を掻き分けて、隙間にほっぺの木の苗を埋めて回った。
「ピグミャン、本当になんと礼をいってよいか分からないが、この恩は生涯忘れないぞ!」
と、苗から伸びてくる小さな芽を見て笑顔になる。
「地球は宇宙のほっぺバンで生まれた私にとって、第二の故郷だもの。いつまでも美しいままで残していきたいからね」
ピグミャンはそう口にして、微笑んだ。
するとそこへ、巨大な獏が姿を見せた。
ダナエイはとっさに弓に矢をつがえて放ち、獏を仕留めた。
「これはなかなかの大物で、村の仲間全員の腹を満たすには充分過ぎるぐらいだ」
と、獏を背負うとピグミャンの顔を見て、
「なあピグミャン、せっかくだから我々の村へと寄っていかないか?前みたいに皆で一緒に歌って踊って、森が甦っていくことを祝いたいんだ」
「わあ、嬉しい!じゃあ、此の一帯の景色を見ながら、のんびり向かおうよ」
と、仕留めた獏とダナエイをホバークラフトに乗せると、小さな炎でほっぺに空気を送り込んで、ゆっくりとした速度で走らせていく。
色とりどりの蝶達が、その周りを囲むかのように飛び交っていく。
件名:頬刀が呼ぶ、大地の目覚め
日時:22/08/06 00:00
※この作品は、ピグミャンというオフィシャルブロガーの、マネージャーを務める人物を通して個人的に頼まれたプロパガンダ作品で、キャラクター等は彼女の世界観をベースにしている為、リンク先の彼女のブログを読んでもらえると、理解しやすいと思われる。
https://ameblo.jp/pigmyan-land/entry-12313676546.html?frm=theme
ブラジルのインディオ保護区にあたるシングー川の下流域に、焼け焦げた樹木が点在する広大な平原が広がっている。ここはかつては深い森であったが、都市部から不法入植した人間達が此処に火を放って木を燃やして自らの土地にしてしまい、しかも牧場や畑を作るも、牧草や作物が上手く育たないことから放棄され、今や草一本生えぬ不毛の大地と化してしまっていたのである。さらに、雨や太陽を遮るものがないことから、大地は直射日光や風雨に晒され、大地はひび割れを起こしてもいた。
弓矢を手にしたカヤポ属の酋長ダナエイ.アデュレが、暗い顔で歩いてくる。彼は村の仲間の為の食糧を求めて狩りに出て一週間経つも、未だ満足な獲物を見付けられずに苦しんでいた。
彼は辺りを見回すと深い溜め息を吐き、大地に跪いた。
ーー此処はつい一年前はアマゾンでも有数の狩り場だったのに、今や虫一匹姿を見せない……これも全ては、後から我々の暮らす土地に入ってきた連中が自分勝手に木や大地に宿る精霊を殺しまくったせいだ!
と、地面を拳で叩いて空を見上げ、
ーーインディオの神よ……もし叶うならば、今すぐにでも精霊を甦らせて森を元に戻してくれ……連中が巨大な道路を通して森を寸断したり、巨大なダムを作って水底に沈めたりしまくるせいで、我が部族の生活は成り立たなくなりそうなんだ!我々は森や川に棲む生き物を頼りに繰らしているのに……。
ダナエイは大粒の涙を流し始め、それは頬を伝って乾ききった大地に瞬く間に染み込んでいく。
小さな蜂鳥が、焼け焦げた樹上に停まって、彼の姿をじっと見詰めている。
やがて蜂鳥は、何処へともなく飛んでいく。
ピグミャンはその日、自らの宇宙船で保護区を訪れ、カヌーに乗ってシングー川の川下りを楽しんでいた。その脇を、カピバラの群れが彼女と競うように泳いでいく。
「川下りは、涼しくて楽しいなあ。しかもカピバラ君達とも競争できるだなんて、アマゾンに来てみてよかった!!」
と、土手に上がっていくカピバラ達を笑顔で眺めながら、とろ場(川縁の、流れの緩い場所)にカヌーを寄せてバナナを頬張る。
そこへ一羽の蜂鳥がやってきて、 何事か伝えるようにピグミャンの目の前でホバリングして
羽音を響かせる。
「あれ、この蜂鳥君、ピグミャンに何か伝えたいみたい…よし、鳥君の気持ちが分かる翻訳ほっぺを使って調べてみよう」
と、懐から翻訳ほっぺを取り出して、操作していく。
やがてほっぺの側面に,蜂鳥の羽根の振動に合わせて文字が浮かんでくる。
「ええっ!去年まであった森が消えてしまって、ダナエイ酋長が生きる気力を無くし掛けてる!?あの酋長は、八百七十七日前に初めて此処の森を訪れて出会ったときに村に誘ってくれて、私の歌や踊りを皆の前で披露する機会を与えてくれた恩人なのに!!」
と、翻訳ほっぺを両手で押さえてじっと見詰めた。
ーーなんとか、あの酋長に恩返しをしたいけど、私の力では森を甦らせるとかはできないし、一体どうしたらいいんだろう……。
ピグミャンが暗い顔で俯くと、足元に置いてあったリュックサックから、ふいに緑色のほっぺが転がり出てくる。そして、そのほっぺから、頬刀が出てきた。
「!……これは、頬王の頬刀!!何故、こんなところにっ!?」
ピグミャンが頬刀を手に取り、不思議そうに眺めると、緑のほっぺから頬王の声が響いてくる。
ーーピグミャン、おらだ!つい今しがたピグミャンがアマゾンで苦しんでる様を夢で見で、もしやと思っで頬力を使って伝家の宝刀を瞬間移動させただ!
「頬王!頬林寺での修行以来だけど、凄い頬力を上げたじゃない!!」
と、緑のほっぺを見詰めた。
ーーそこで、よく聞いてほすいだ!この頬刀は直ぐに折れるけど、じつは折れた刃先を地面に深く埋めでやると、この刀が持づ宝力でたちどころに土の中に暮らす菌や微生物が甦っでぐれるだ!
「この刀にそんな秘密があったなんて、まるで知らなかったミャン!!」
ピグミャンは、驚愕してそう叫ぶ。
ーーおらは、こう見えでも山の神!土や草木の精霊の命を預かるのは、おらのでぇずな役割だから、人間を含めで草木を頼って暮らす生き物達のごどさ放っておぐなんてできないだ!!
「たしかに!心無い人間も多くいるけど、見て見ないふりをしてたら、この地球そのものが潰れてしまうものね!!」
ーー分がっだら、早ぐ行ぐだ!おらの耳に、助げでほすいど土の中で泣いでる精霊達の叫ぶ声が聞こえでぎで辛いんだ!!
「了解、直ぐに駆けつけるね!!」
と、翻訳ほっぺを振動させて、尚も必死にホバリングを続ける蜂鳥にその旨を伝えた。
蜂鳥はそれを受けて、ピグミャンの頭上を大きく旋回した後、彼女を先導するかのように、幾度も振り返りながら飛んでいく。
「大丈夫だよ、蜂鳥君!このカヌーに私のほっぺを取り付ければ、たちまちホバークラフトに早変わりするから、これに炎で暖めた空気を送り込めば、草や木を傷め付けず、尚且つ大気も汚さずに移動できるもの」
と、赤いほっぺを船底に取り付けると、ほっぺが大きく膨らんで船体を包む。
ピグミャンは炎を起こしてほっぺに暖めた空気を送り込み、ホバークラフトを走らせていく。
「神よ……儂はもう充分に生きたから、もう思い残すことはない……だから、この命と引き換えに少しでも多くの村の仲間を救ってやってくれ!!」
ダナエイは、思い詰めた表情で矢を握り、その先端を喉に突き付ける。
そこに蜂鳥が飛んできて、彼の手を嘴で突つく。
「!……」
ダナエイが思わず手から矢を落とすと、そこに頬刀を手にしたピグミャンが駆けてくる。
「ダナエイ、早まらないで!貴方が死んでも、誰も喜んでなんてくれないよ!!」
「!……ピグミャン!!いつ、此処にっ!?」
「暑気払いにアマゾンに来て川下りを楽しんでたら、蜂鳥君がダナエイのことを知らせに来てくれたの!!」
「神が、蜂鳥を使ってピグミャンを招いてくれたのか……しかし、もはや狩り場が殆んど無くなってしまった今、食い扶持を減らす為に老人が犠牲にならないと……」
と、悲痛な表情を浮かべた。
「まだ、希望を捨てては駄目よ!これは文明社会に暮らす私達の責任でもあるから、頬神の誇りに掛けても貴方達を救って見せるわ!!」
と、頬刀を地面に突き刺して折りまくると、炎を浴びせて地中深くに埋め込んでいく。
ダナエイが不思議そうにその光景を眺めると、地面が激しく揺れて草が伸びてきて、乾いた土壌を覆っていく。
そして、甲虫や蜂が何処からともなく飛んできて、草に咲いた小さな花に群がる。
「まさに奇跡だ……死んだ大地が甦った!!」
ーーこれが、頬刀の真の力だす!後は此処にピグミャンの持つほっぺの木の苗を植えでやれば、その木の持づ力で元からあっだ木も甦るから、それを餌にする多くの動物達も戻ってぐるだ!
草の間から、頬王の声が響いてくる。
「有り難う、頬王!流石は七頬人の一人だけのことはあるわ!」
ーーなんの。おらの役割は、地球の緑を守るごどにあっから、これは当然のごどだ!!
その声と共に、柄だけになった頬刀が、緑のほっぺに吸い込まれて消えていき、緩やかな風が草を軽く撫でて吹き抜けていった。同時に蜂鳥もまた、空の彼方に飛び去っていく。
「さて、最後の仕上げにほっぺの木の苗を植えていかないと。これは僅か八百七十七時間で大きく育って沢山の頬の実を付けるから、直ぐに色んな動物がやってくるようになってくれるよ!それに、人が食べると心が綺麗になる特別な力も持ち合わせてるから、この場所に勝手に入ってくる人間にこれを渡せば、徒に森を荒らしたりしなくなるはず」
と、草を掻き分けて、隙間にほっぺの木の苗を埋めて回った。
「ピグミャン、本当になんと礼をいってよいか分からないが、この恩は生涯忘れないぞ!」
と、苗から伸びてくる小さな芽を見て笑顔になる。
「地球は宇宙のほっぺバンで生まれた私にとって、第二の故郷だもの。いつまでも美しいままで残していきたいからね」
ピグミャンはそう口にして、微笑んだ。
するとそこへ、巨大な獏が姿を見せた。
ダナエイはとっさに弓に矢をつがえて放ち、獏を仕留めた。
「これはなかなかの大物で、村の仲間全員の腹を満たすには充分過ぎるぐらいだ」
と、獏を背負うとピグミャンの顔を見て、
「なあピグミャン、せっかくだから我々の村へと寄っていかないか?前みたいに皆で一緒に歌って踊って、森が甦っていくことを祝いたいんだ」
「わあ、嬉しい!じゃあ、此の一帯の景色を見ながら、のんびり向かおうよ」
と、仕留めた獏とダナエイをホバークラフトに乗せると、小さな炎でほっぺに空気を送り込んで、ゆっくりとした速度で走らせていく。
色とりどりの蝶達が、その周りを囲むかのように飛び交っていく。