ヴィタール | 死因:恥のかきすぎ

死因:恥のかきすぎ

鍵盤講釈屋・闇色鍵盤が、数週間前のことを思い出しながら記す思い出し日記。時折り映画の感想も。

2005/02/15

いろいろびっくりした。 「死」は終焉ではない、とまざまざと見せつけられた気がする。 なんて言えばいいか、死後にすら愛が育まれていくケース。

 

医者の息子・浅野忠信は交通事故で記憶を失う。 医学書の記憶だけはあり、やがて優秀な成績で医学部に入学。
やがて遺体の解剖実習。浅野忠信の班は若い女性の遺体を担当する。 その晩、遺体と同じ入れ墨の女性と過ごす甘い日々の幻覚をみる。 いや、幻覚とは思えないリアルな別の世界。

 

愛しさを込めて遺体を解剖すればするほどイキイキと輝き出す別の世界の彼女。 記憶がないだけに、むしろ彼女のいる別の世界こそが真実・・・

 

最初の煙突(火葬場とは!)の描写からしてすでにドキドキ。 なんだろう、死体になっても臓器や細胞に「愛情」が宿っていて、 周囲の予定調和まで操作して、やがて愛しい人に辿り着いて共鳴して。 魂とは?魂の在り処とは?

 

ヒロイン二人ともとてつもなくキュートで。 KIKIの「おお来たか」、柄本奈美の「やだやだやだ・・・」とダンスが個人的ツボ。ダンスが本当に凄い。なんだろう、細胞かなんかの脈動のまま踊る感じ。

 

塚本晋也監督のこの作品は男性脳の人はつまらなく、 女性脳の人は大変共感できる気がする。 いつもの塚本作品のSFやメカもでないし。

 

見ごたえあり。でも食事前はやめときな。

解剖、めちゃリアル。