イタリア・ワイン探訪(その29)シチリア州「エトナ・ロッソ・リゼルヴァ・セッラ・デッラ・コンテッサ2015・ベナンティ」(エトナDOC)

 

 このところ、イタリアの「ビッグ・ネーム」が次々と進出するエリアが、シチリア島のエトナ。独特のテロワールを持っているとのことで、トスカーナの「スーパータスカン」に近い状況かもしれませんが、そんなエトナの元祖とでも言うべきワイナリー「ベナンティ」の超限定キュヴェ「エトナ・ロッソ・リゼルヴァ・セッラ・デッラ・コンテッサ」を紹介してみましょう。

 本ワインは、エトナ南東部、敷地内の最も標高の高い区画(標高500m)のミネラルたっぷりな火山性土壌の畑「コントラーダ・モンテセッラ」、1910年に植樹され、樹齢100年を超えるプロ・フィロキセラ(フィロキセラ(=あぶらむしの1種)害以前の樹という意味、詳細は縦走編第9回参照)の「ネレッロ・マスカレーゼ(85%)」と「ネレッロ・カップッチョ(15%)」のブレンド。9月下旬から10月初旬にかけて手摘み収穫。ステンレスタンクで長期間マセラシオンをしながら発酵。その後、15hlのフレンチオーク樽で24ヶ月熟成。12ヶ月の瓶内熟成でリリースされています。

 本2015Vtgはジェームズ・サックリングでは最高点の99点を獲得しています。2021年9月時点での評では「今飲んでも良し、寝かせても良し」とのことで、あれから3年寝かせました(笑)

 そろそろ飲んじゃう?ということで開けてみました。

 今回も「ハラミとワインの会」を金剛山で催すこととし、純粋にお肉と赤ワインのシンプルなセットのみ(多少の野菜)で味わいました。

 香りは強烈ではありませんが、上品なイチゴ風のテイスト。

 なんといってもワインの色彩が美しいです、久しぶりにブラッドというか綺麗な赤色を見ました。

 味わいはどこまでもエレガント、ピノ・ノワールに似ていますのでお肉には合いますね。

 ちなみに翌2016Vtgもジェームズ・サックリング96点の高得点、価格は12000円程度。これ(2015Vtg)買った2021年時点では8200円だったのですが、ワインの高騰は凄まじいですね。2015Vtgはもう手に入りにくいと思いますが、いったい、いくらになってんだろ・・

 ワイナリーの「ベナンティ」は「エトナの土着品種を使ったハイクオリティなワイン造り」を理念に掲げています。1968年にシチリアで一番古いDOCに認定されたエトナ地区ですが、シチリア全体のワインの生産量からすると、僅か3~4%ほど。

 ワイン造りをしている生産者は僅か3件しかなかったのですが、90年代にシチリアでシャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンと言った国際品種が流行。土着品種のみのワイン造りに大きなリスクを伴うことになりますが、それに拘りぬき、2007年には『ヴィーニ・ディ・タリア』において、最も功績が認められたワイナリーに贈られる「年間最優秀ワイナリー」に選出されています。

 以降は『ガンベロロッソ』最高位トレビッキエリの常連となり、今では100近い生産者がエトナでワインを生産し、シチリアを代表する銘醸地となっています。 

 今日のエトナの歴史はベナンティの歴史と言っても良いほどです。

 

 所有する畑は3350mのエトナ火山の北側斜面、東側斜面、南側斜面に分かれており、畑によって海からの距離、日当たり、標高が違うため、独特のテロワールが生まれます。

 標高は一番低い畑でも400mで、最も高い標高の畑は葡萄栽培の限界を超えているとも言われる1200m。

 樹齢も100年を越す「ネレッロ・マスカレーゼ」が存在し、その中には19世紀後半の害虫フィロキセラにも侵されていない、「プレ・フィロキセラ」と呼ばれる奇跡的な自根の葡萄樹も多く存在。

 栽培においては、全ての畑で周辺環境にも配慮したビオロジックで管理されていて、樹齢の高い木々のほとんどが伝統的なアルベレッロ仕立となっています。

 土壌は火山性でミネラルに富み、ブドウの根は養分を求めて地下深く4~5mにも延び、高い標高の冷涼な気候により、一日の大きな気温差がありブドウ栽培に理想的な場所となっています。

 収穫も畑によって適切な時期に実施。例年では南側斜面では9月下旬、エトナ北側斜面では10月下旬に行なわれます

 醸造においてはベナンティ社に代々受け継がれてきた5種類の天然酵母があり、他社が真似できない個性を確立しています。

 さて、今日で夏休みも終わり。遠征には行けなかったですが、充実した飲みライフでした(笑)

今日もKITTEに行って、abriya arataさんの焼肉で締めましょう。