イタリア・ワイン探策(その23)ヴァッレ・ダオスタ州「シャンバーヴ・ミュスカ・2021ラ・クロッタ・ディ・ヴィニュロン」(ヴァッレ・ダオスタDOC)

 

 なかなかヴァッレ・ダオスタ州のワインにお目にかかる機会も少ないですね。それもそのはず、イタリア最小の州でほぼ山岳地帯でワインの栽培には不向き。

 それでも個性的な土着品種が結構あり、少数精鋭的なイメージのワインを造っているように思います。

これまで6回しか紹介していないのも頷ける(笑)、しかも結構お高いです。

白ワイン「プリエ・ブラン」種(縦走編第9回縦走編第27回)、「プティ・アルヴィン」種(縦走編第27回)、赤ワイン「フミン」種(縦走編第28回)、「ピコテンドロ(ネッビオーロ)」種(縦走編第38回)、国際品種白ワイン「ピノ・グリ」(散策編第97回

 

 今回も国際品種「ミュスカ」、アルザスの辛口用高貴品種(南仏は甘口が多い)で日本では「マスカット」で有名ですよね。(ロワールのミュスカデとかボルドーのミュスカデルは別の品種です)

 イタリアでは「モスカート」、ヴァッレ・ダオスタはフランス国境に接しているので、栽培されていても特に不思議ではありませんね。

この地の「ミュスカ=モスカート」は、他のどの地域と比べても圧倒的な芳香を持っていると言われており、当然辛口です。

ラベルもカッコいいですよね、動物と言えば動物ラベル(外れなし!)2匹のライオンちゃん?がぶどうを育てている?守っている?んでしょうかね。

 もちろんミュスカなのでマスカットの香りは当然ですが、飲んでみると少しスパイシーな胡椒っぽい感じしますね。なんでも14世紀ごろから造られてきたというシャンバーヴ地方の歴史的ワイン。やっぱりお高め3100円ほどいたしました。

地元では前菜からメインの肉料理、そしてデザートまで「ミュスカ」で通すこともあるそうで、料理にはなんでもあうそうです。

 生産者は協同組合「ラ・クロッタ・ディ・ヴィニュロン」。

 アオスタの中心部シャンバーヴの街に位置し、1980年にわずか25名で結成され、その後アオスタの高品質ワインを支え続けています。

 また中世から続くシャンバーヴのモスカートの歴史を今に伝えるという意味でも唯一と言ってもよい造り手で、現在では120名以上の構成員となり、生産量も2,500ケース以上に拡大しています。

畑は標高500~850mに位置し、パッチワークのように細分化され、その殆どが太陽に向いた真南、降雨量もイタリア最小(500 mm/年)、年間を通して湿気が低く、細菌、カビの繁殖が少なく、実際、防カビ剤とは殆ど使用していません。

『ミュスカは乾燥を好む。アフリカでも育つ品種。乾燥するシャンバーヴに適している。乾燥が葡萄を凝縮させ、強い芳香を得る』カッコいいですね!

 

 お店紹介シリーズは「ロウリーズ・プライムリブ・大阪店」

 こちらはとある記念日に年1-2回必ず訪問するローストビーフのお店です。

 お店の雰囲気と洗練されたスタッフが大好きで、今回の席の担当の方も素敵なお嬢さんでした。

 詳しくは連れさんが紹介しているので、こちらは飲んだワインです。

 白ワインはベリンジャーの樽の効いたシャルドネをシュリンプ・カクテルと一緒に定番的に頼んで、スピニング・ボール・サラダ(パフォーマンスも必見)を挟んで、メインのお肉にはカリフォルニア・ワインで合わせます。

 いつも悩むのですが今回もナパのカベソーで決定、言わずと知れた「クロ・デュ・ヴァル(小さなぶどう園地)」、なんと言っても通称「パリスの審判」(縦走編第12回参照)の1986年の再戦ではおフランスを抑え赤ワイン1位(初回1976年は8位)に輝いたことで著名なワインです。(クレーム好きのおフランス様、ボルドーワインは熟成してこそ真価を発揮するのだ、ということで10年後に再戦したのですが惨敗って・・)

 創業者のゴレ夫妻はボルドー出身ながらナパ・ヴァレーでワイナリーを創設。

 ラベルの三美神は「魅力・美・優雅」だそうです。

 何度か飲んでますが、ローストビーフに合わせるのは鉄板です。(一番小さなオオサカ・カット、これでも満腹です)

 コク、旨味、絶妙なタンニンがミディアム・レアのお肉と相まって最高のマリアージュを生みます。