イタリア・ワイン縦走(その67)カラブリア州「コーラ・ビアンコ・ラーチノ2020」(カラブリアIGT)

 

 さあ、縦走も大詰めを迎えてきました!19州目となるイタリア半島の南端カラブリア州に初上陸です。

カラブリアは南北に細長く、北はバジリカータ州、南西はメッシーナ海峡を隔ててシチリア州に接しており、東はイオニア海、西にはティレニア海が広がっています。

 バジリカータ州との州境にはポッリーノ山塊、州の中央にはシーラ高原、南端にはアスプロモンテ山塊があり、丘陵が49.2%、山岳が41.8%を占め、平地は9%で海岸沿いの僅かな地域。カラブリアは古代ギリシャ人がこの地の海岸線沿いに入植して以来、ローマやビザンティン、ノルマン人、スペインなどから支配を受け続けてきた歴史があり、今でも州内の五つの県にはそれぞれ違った文化や風習が残っています。

州都はカタンザーロ。ビザンティン勢力が山腹に建設した街で、シチリア島との間を隔てるメッシーナ海峡に面し、州最大の人口を有する都市レッジョ・ディ・カラブリアは、古代ギリシャ人が築いた都市の一つです。

 カラブリア州の海沿いの地域は温暖な地中海性気候で、西のティレニア海側は東のイオニア海側より温暖です。また、内陸の山岳地帯は冷涼で昼夜の温度差が激しい大陸性気候となっています。

ティレニア海沿岸では温暖な気候を利用して昔から柑橘類が多く栽培されてきました。また、カラブリア州はオリーブ栽培も盛んでオリーブオイルの生産量はプーリア州に次いでイタリア第2位となっています。

 カラブリアは古代ギリシャ人によってブドウ栽培が始められ、紀元前6世紀以前には「エノトリア・テルス=ワインの大地」と呼ばれていました。

 古代からカラブリアのワインの名声は非常に高く、他の地域に先駆けてワイン文化が開花していました。そのため、ギリシャ人はカラブリアのワインを重用し、古代オリンピックの勝者にはカラブリアのクリミサのワインを与えました。クリミサのワインは今日のチロの祖先であるとされています。

 カラブリア州ではワイン生産量のおよそ7割を赤ワインが占めています。特に州の東のイオニア海側では古くから力強い赤ワインが生産されてきました。

また、カラブリアは土着品種の宝庫で、白ブドウの「グレーコ・ビアンコ、モントニコ、黒ブドウのガリオッポ、マリオッコ、グレーコ・ネーロ」などが多く栽培されています。

 

 今現在もカラブリア州にD.O.C.G.ワインは一つもありませんが、チロ・マリーナに本拠地を置く「リブランディ社」はカラブリア州のワイン界を牽引するワイナリーで、「ガンベロロッソ誌」でも高い評価を得ています。近々紹介してみたいと思います。

 

 さて、カラブリア州も日本人には馴染みが薄いですが、良質の白ワインが造られています。

 この「コーラ・ビアンコ」は樹齢の若い自社畑の「マントニコ種」と「ガルナッチャ・ ビアンカ」をステンレスタンクで醗酵、熟成させたキュヴェとなっており、厚みある果実感と柑橘を思わせる爽やかな酸があります。

 ワイナリー「ラーチノ」はブドウ栽培、およびワイン醸造とは無縁の一家の出の、3人の若者が2006年に古い樹齢のブドウが植わる区画を借りて共同出資して立ち上げており、強い情熱がワインのラベルにも表れていますね、素敵です。

 グラスに注ぐと、これはオレンジワイン!と言っても良い濃い色です。

 飲み口もオレンジワインと言えましょう、タンニンがしっかりしており、結構ボディのあるワインに仕上がっています。

 オレンジワイン特有ともいうべき、冷やした状態から少しずつ温度を上げていくと果実の深みが感じられるのでお勧め。合わせる料理は、野菜グリル、ポークソテー、ウォッシュ系チーズ、あたりが良さそうですね。お値段は2300円程度です。

 

 このオレンジワインに合うのは、「ウォッシュ系」チーズの「ラングル」。

 ウォッシュ系は大好きです。この「ラングル」もウォッシュ系ですが、見た目が面白いですね。非常に食べやすく、香りもおだやかです。

 シャンパンの産地としても有名なフランス・シャンパーニュ地方のラングル高原が原産地のチーズで、ラングルという町もあります。1991年にA.O.P(EU統一の原産地名称保護)を取得していますね。

一番の特徴は、表面に泉(fonteine=フォンテーヌ)と呼ばれる噴火口のような窪みがあり(脳みそみたい、なんて言っちゃだめですよ)、チーズ通はこの窪みに少量のマール・ド・シャンパンやマール・ド・ブルゴーニュを注いで楽しむらしいです。(マールとはぶどうの搾りかすを蒸留して造られるブランデーの一種、かなりお高いです)

 大型:型の直径16~20cm、重さ800~1,300g

 中型:型の直径9~10cm、重さ280~350g

 小型:型の直径7~8cm、重さ150~250g

とありますが、阪急百貨店のチーズ売り場では、小型のハーフサイズが1700円ぐらいで売っているので便利です!

 ウォッシュ系特有の香りや臭みはほとんどありません。エポワスより食べやすく、軽めの赤ワインや、今回のオレンジワインなんかにとても良く合います。