イタリア・ワイン縦走 (その8) トスカーナ州「トスカーナ・ビアンコ」

 

 第3回でトスカーナ州の「ブルネッロ」紹介を行いました。赤ワインの銘産地で89%が赤ワインなのですが、今回は暑い夏を乗り切るべく、あざやかな橙色が美しい「オレンジワイン」のご紹介です。

 キャンティ地区とモンテプルチアーノ地区に挟まれた中世の街、「カスティリオン・フィオレンティーナ」。

 この地において、ビオロジックでワインを生産する「カルロ・タンガネッリ」の通称アヒルちゃん「アナトリーノ・トスカーナ・ビアンコ」(トスカーナIGT)です。(動物ラベルに外れなし!)

 ビオワイン=自然派ワインについては改めてコラムで紹介したいのですが、クセが強いワインが多いと思います(個人的には酸味がきつめで苦手なものが多い)。

 このため自然派ワインは飲む人を選ぶと言われてますが、このアヒルちゃんは結構万人受けすると思います。私は結構このワインにはまってまして、3回目のリピートです。

 自然酵母で発酵、無清澄、ノンフィルター、トレッビアーノ種100%から造られます。

マセラシオンを4日間施し、9ヶ月間以上ステンレスタンクで熟成。赤ワインと同じようにマセラシオン(果皮を果汁に漬け込み皮からの要素を抽出)を行っているため、色はオレンジがかっています。(最近はやりのオレンジワインですね!)

うだうだ言ってないで、早速飲んでみましょう~

「高級品は除外してお安く、おいしいものだけを厳選していきます!」に従い2700円程度。

アロマがとても強く、桃やバナナを思わせる複雑で華やかな香りが立ち昇ります。またミネラル感、上品な酸味、余韻は少しスパイシーで苦み(これがビオワインに多いかな)があります。とは言え、飲み心地が良いのでグイグイいっちゃいます!

オレンジワインはあまり冷やさない(赤ワインも同じ)ほうが美味しいので、最初は冷えた状態で味わって、しばらく温度を上げると、またまろやかな違った表情を見せてくれます。

是非ゆっくりと味わいの変化も楽しんでくださいね!

 

今回、流行りのオレンジワイン(製法的に最古のワインとも言われます)を紹介しましたが、白やら赤やらロゼやら何が違うの?をワインコラムにしてみました。

皆さん、意外と知らないでしょう~、おそらく知ってる気になっているウンチクですね。

ざっくり言うと、赤ワインは黒ブドウ、白ワインは白ブドウから造ります(例外もあります)、もちろんロゼとオレンジワインは白と赤を混ぜてはいません、ちなみにスパークリングワイン(シャンパン含む)の製法は面倒なので割愛します(笑)

 

●赤ワインの造り方

 ①発酵・かもし

 黒ブドウを除梗破砕し、実を果皮や種子ごと発酵槽に入れます。酵母の働きによりブドウに含まれている糖分がアルコールへと変わる過程がアルコール発酵で、発酵槽には伝統的な木製の樽などの他、樹脂でコーティングされた鋼鉄製(ステンレスタンクが多い)もあります。

赤ワインを濃く色づかせるためには、ブドウの果皮から香りや色素を十分に抽出(マセラシオン)するのですが、発酵がすすむと、果皮や種子などの固形物は二酸化炭素に押し上げられ、発酵槽の上面に浮き上がってきます。このため発酵槽の下方から果汁の攪拌を行います。アルコール発酵終了後、乳酸菌によってリンゴ酸を乳酸に変える乳酸発酵(マロラクティック発酵)が行われます。

②圧搾

その後、若いワインと果皮や種などの固形部分とを分離し、固形部分の中にもワインが残っているので、圧搾機にかけ搾り取ります。この工程は、ワインに雑味をもたらす場合もありますが、酒質の強化のためにあえて行う生産者もいます。

③熟成

その後、とくに高級な赤ワインは樽の中で寝かされ、その期間は6ヶ月から3年と幅が広いです。各国のワイン法などで、格付けなどの条件として熟成期間は定められていたりします。 

瓶詰め前にワインの濁りを除くため、卵白などを用いてワインの清澄化を行い、さらに濾過器にかけて微生物や不純物を完全に取り除きますが、濾過し過ぎればワインの味わいの上で重要な成分まで取り除きかねないので、最近では無濾過のワインというのもあります。こうして仕上がったワインは瓶に詰められ、場合によっては瓶内発酵させ、さらに熟成させるものもあります。

 

〇白ワインの造り方

①     発酵・かもし

白ワインは白ブドウと思いきや、黒ブドウから造ることもできます。赤い色素は黒ブドウの果皮にあるので、果皮と果汁との接触を避ければ、無色の果汁が抽出できます。赤ワインが発酵後に圧搾を行うのに対し、白ワインは除梗破砕後、ただちに圧搾機で搾汁するのが普通です。

②     発酵

こうして得た果汁をアルコール発酵させますが、その前に果汁を低温で数時間置き、不純物を沈殿させます(デブルバージュ)、その後、上澄み果汁に酵母を加え、アルコール発酵させます。発酵槽はさまざまで、ブドウ本来の香りを生かし、新鮮でさっぱりとしたスタイルに仕上げるためにはステンレスタンクを、ヴァニラのフレーヴァーやタンニンをワインに与え、しったりとしたタイプにするためにはオークの小樽などを用います。

③     熟成

赤ワイン同様、白ワインも乳酸発酵(マロラクティック発酵)をさせて酸味を和らげる場合がありますが、もともと酸味の少ない温暖な地方のワインでは、乳酸発酵を行わないこともあります。熟成中に撹拌して澱に含まれるうまみ成分を抽出する「バトナージュ」を行う場合もあります。

ワインに含まれている酒石酸は低温状態では結晶化するので、濾過してから瓶詰めします。

 

▲ロゼワインの造り方

 赤と白を混ぜてそうですが(シャンパーニュでは認められている)、「セニエ法」「直接圧搾法」「混醸法」が主な造り方です。

①     セニエ法

赤ワイン用の黒ブドウの果汁を果皮や種とともにタンクに入れてマセラシオンし、薄く色づいたところで上澄みの果汁のみを発酵させます。

②     直接圧搾法

赤ワイン用の黒ブドウを使い、白ワインのように果汁だけで発酵させます。ロゼの色は、搾汁の際に果皮のアントシアニンが果汁に若干混ざることでもたらされます。

③ 混醸法

黒ブドウと白ブドウが混ざった状態で赤ワインと同様に発酵させるやり方で、おもにドイツで見られる製法です。

 

△オレンジワインの造り方 - 今日の本題にやっと到達(笑)

白ワインを造る際、白ブドウの皮や種子を取り除いた果汁だけを発酵させます。しかしオレンジワインは、白ブドウの果皮と種子を発酵・マセラシオン(釀し)するスキンコンタクトを長時間行うため、見た目はオレンジがかった色調で、タンニンの渋みや苦みを持ちます。

 

最後にイタリア以外のワインを。

おフランスの「ラ・シャブリジェンヌ・シャブリ・ラ・ピエレレ」です。

もちろんシャブリ地区で品種は当然シャルドネ100%です。生産者共同組合(ラ・シャブリエンヌ)が造っているワインで、シャブリ全体の1/4を占めている、まさにシャブリの王道(3000円ほど)

熟成は95%がステンレスタンク、5%が新樽比率1%のオークにて8ヵ月、その後ステンレスタンクにて8ヵ月、「リンゴや桃の芳醇なアロマをしっかりと感じる第一印象。程よく粘性のある口当たりで、蜂蜜がけのリンゴなどの果実を頬張っているかのよう。果実味に見合う酸もあり、味わいのバランスに大変優れており、後味にはフレッシュな印象が残ります。さわやかながらも果実の甘みも味わえるスタイル。サラダやカルパッチョなどのさっぱりとしたお料理と好相性です。」との購入元評価。まあ魚介系に合わせるのが普通でしょうね。

シャブリ入門にはもってこいかなと思います。(値段的にも)

 ちなみに、パリの三ツ星レストラン・オンリスト、イギリス(ワインはほぼ輸入:笑)では25%のトップシェアを持っているそうな。非常に親しまれているシャブリ中の王道シャブリではないでしょうか!