夜話 2231 坂本繁二郎の下絵ニ点など | 善知鳥吉左の八女夜話

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夜話 2231 坂本繁二郎の下絵二点など 


昭和61年3月12 日 坂本家の依頼で 

第二のアトリエとして建てられていた

洋式の建物に保存されていた坂本の

遺品の片づけを依頼された。

                               
どんなものが残されているか。
 

まず片づけのための人選をした。

 

運転の名手 もと西鉄バス運転手

中原光春 野田勝義の二人、

それに指物師の木下肥丸と

わが妻と小生の五人。

 

木下と野田とわが妻の三人は既に亡い。

 

その片づけの際には まず坂本のご遺族の幽子氏と孫の暁彦氏にも立ち会ってもらった。

 

まず沢山の遺品の中から坂本家の遺族お二人に必要なものを選んでもらった。

その際残品は焼き捨ててくれとの依頼だった。

そしてなお「希望のモノがあったら五人で別けて持ち帰る」ことが許された。

 

それらの中には坂本の未使用の額縁などが多くあった。

それらの額縁は 小生の一存で もと青稲会同人に分けた



残りの遺品は 五人の意思で大半は戴くことにした。
 その中に木下が受領した坂本の下描きとも見える無署名、未表装

のメクリ二点があった。                

木下は既に亡い。

今月3日 木下の息子の太郎夫婦が 病める老母を看病のため同道上京すると挨拶に来て 浄土僧

山本空外の書軸と坂本のメクリ二点を 木下の形見として小生に贈るという。。  

戦後の無二の親友として付き合ってくれた木下への想いが募り 有りがたく頂戴した。

    
木下の息子太郎は父の木工細工品を所持していないとか。

そこで小生は木下が小生の喜寿の祝いに贈ってくれた未使用の八角形の「茶入れ」を息子に贈ることにした。

         

          
小生には 母を失ったとき 木下が二年かかって作成してくれた組立式の仏檀がある。

太郎は喜んで小生の気持ちをくんでくれた。病母を東京に迎える太郎夫婦の親孝行の行為にも深く心打たれた。

坂本の絵と空外の書軸は大事に使わせてもらう。(敬称略)