夜話 1114 開高健の高笑い | 善知鳥吉左の八女夜話

善知鳥吉左の八女夜話

福岡県八女にまつわる歴史、人物伝などを書いていきます。

夜話 1114 開高健の高笑い


久留米の画友が是非読めと薦める

ひとの薦める本はなんとなく敬遠しがちだが此の画友には一目おいている

「座談の顔触れが貴公にぴったり」と指おった三人の顔ぶれで早速近くの書店に予約 書名はちくま文庫『書斎のポ・ト・フ』

顔触れは開高健・谷沢永一・向井敏そして解説が山崎正和 

これだけそろっての文庫本なら読まずばなるまい 

開巻とたんにげらげら まず野村胡堂いらいの捕り物帳談議

それも「岡っ引の品定め 」から このへん当方も ほとんど三人の品定めと一致した

ただ都築道夫を読んでいない

早速開高健おすすめの『なめくじ長屋捕物さわぎ』に取り掛かる 久留米図書館にある善知鳥吉左の八女夜話

他のふたりの論客の紹介とお勧めは後日に譲る 映画論もありますぞ  

今日は開高健の墓についての報告 

平成九年十一月十日というから十五年前 

江の島線で鎌倉へ

石橋秀野の追跡調査のためである 

下車は円覚寺前 山門くぐつて左側の塔頭の松嶺院にむかう 

なぜか中年の夫人たち十人がぞろぞろと松嶺院の裏に向かう 

寺の垣に「山野草と茶花」云々の看板がある 

目的はそれかと後に続いた 本堂の裏をみなさん辿っている 

行き着いた小高い丘は墓地になっている 
善知鳥吉左の八女夜話

その墓地に清水昆の墓と薮家の墓があることは前もって調べていた 婦人たちはその墓地のだれかの墓が目的らしい 

墓地の入り口にいきなりあれはウイスキー樽か?   (上の墓)

開高健之墓とあった 

婦人たちは此の墓は無視 

折角後に続いてきたので婦人たちのあとを追った 

婦人連の足がとまった

手を合わせる墓碑名に驚いた オウム事件で親子ともに殺された坂本弁護士一家のお墓だった

ここでもはるか後ろで手を会わせ目的の「清水昆」の墓探し 狭い墓地の一角にそれはあった 清水昆の妻は石橋秀野の妹恒子である

そばに「藪家之墓」も (下 清水昆の石橋秀野像)

ここでは開高健の墓発見だけを記しておく 

何しろ ちくま文庫「書斎のポ・ト・フ」が快著 

開高健の高笑いが聞こえてくる墓の紹介にとどめる 

あの酒樽はホンモノに見えるほどの細工だつた 酒呑み健やすらかなれ 豪快な笑い声と持って生まれた大声がしのばれる 

ついでながら此の墓地には田中絹代・池島晋平も眠っている 気持ちのいいお寺松嶺院の山号は『円通山』 

墓参ののち松嶺院の輿(こし)住職に大変お世話になった 

以上 開高健余話と御承知ください