連日、大谷に歓声をあげ、ウクライナに暗澹しつつ…。
薬師寺へ。
………
「我が秋津洲日本で、一番美しい塔といえば?」
「そりゃ無論、薬師寺東塔に決まっとる! 」
国宝の五重塔・三重塔あわせて22塔、
その中でも特に、格段に、冴えわたっとる塔!
「凍れる音楽」をリズミカルに奏でる三つの裳階(もこし)!
この写真は修復される数年前に撮ったもの。
前回来たときは修復中でこんなだった。
さて今回は修復が終わり、どないなったのか…。
駐車場から境内に向かってちょっとワクワクして小走り。
お、見えてきた、見えてきた! 門の右手。
おぉ!
何というべきか、新しくなったというではなく、きれいになったというか、
白壁の美しさが際立つ。
1300年前の姿がよみがえったか…、その時見てないか(笑)。
森閑としていた境内で見れてよかった。
いつぞや来たときは、修学旅行生でいっぱいだった。
でもあの時は、説明のお坊さんの話が実に楽しく面白かった。
さて今日は…、ゆっくり後ろを振り返ると、西塔。
これまたすばらしい!
同じように、3つの裳階を施してある塔なれど、東塔と感じが違う。
朱塗りが前面に出て、その美しさが印象強い。
西塔は、東塔より30㌢高いそうな。
しかし500年後に、木材の縮みにより東塔・西塔は同じ高さの34.1㍍になるそうな。
そんなことまで計算されてるとは!
こうして境内に2つの塔が並び立つ姿こそ薬師寺の最大の魅力!
金堂も大講堂も、周囲に樹木が少ないことから豪放な建物が際立つ。
金堂にも裳階、金堂の高さは20㍍という。
本尊・薬師三尊像が鎮座。
壮大な大講堂左右41㍍、輝く鴟尾。
大講堂の北に食堂(じきどう)。
食堂の北側に玄奘三蔵院伽藍があるなんて、今回まで全く知らなかった。
あの孫悟空などで知られる三蔵法師の遺骨が納められているという。
北門をはいると。
敷石の先に中門。
回廊に囲繞された玄奘塔。
黄金色の水煙がのぞく。
玄奘三蔵院伽藍は1991年に完成されたという。
法隆寺夢殿に似た八角形の玄奘塔は二層、金色の水煙が威厳を保つ。
玄奘塔を背に、白鳳伽藍の東塔を遥か望む。
広大な薬師寺、安穏な、穏やかな空間が漂う。
大谷も ウクライナも忘る 薬師でら
いいのかなぁ、こんなに呑気にしてて ……ウクライナの幼な児の涙をおもう…。
再び白鳳伽藍へ戻る。
西の回廊。
ここから中央に東塔、左に金堂、右に西塔を眺める。
ときどきのぞく青空、またふと。
大谷も ウクライナも霞む 薬師でら…
東回廊の外側に古めかしく立つ東院堂。
弘安8(1285)年建立の国宝である。
この東院堂に、本尊の聖観音像がおわしまする。
回廊を巡って、中門にもどる。
中門の正面に金堂、門の左右に二天像。
こんな像があったんだ。知らなかったなぁ。
色彩豊か、表情もあまり怖くなくちょっと可笑しみが。
これでは本尊を襲わんと迫る仏敵も気持ちが穏和になってしまうな、きっと。
のんきにぼんやりと薬師の寺を巡った。
奈良には本格的な春がすぐそこに来るような日だった。