夫が食べず、話さなくなってから、16日目。
2023年2月28日
夫は朝からよく眠っている。いつもより深く眠っている気がする。
声をかけると頷くが、目は開けない。
昨日の薬を処方された時「翌日まで少し眠気が残るかも」と言われたのでそのせいだと思った。
息子の幼稚園のサッカー大会を見に行く予定だったので、1階へ降りてテレビでも見ていてもらおうと思っていたが無理だった。
階段までなんとか連れて行ったが、歩幅がかなり狭く、支えないと歩けない。けど、、、
結果的に、この階段までの数歩が、夫にとって自分の足で歩いた最後の歩行だった。
階段の場所もわかっていないよう
ベッドへ連れ戻し「今日はもう2階で過ごそうね」と言うと頷いて寝てしまった。
息子のサッカー大会から帰ってくるまで1.5時間ほどかかった。
帰ってくるとまだ寝ている。かなり大きな声で話しかけても少し頷くだけ。
ネットで「傾眠傾向」「昏迷」「昏睡」などをばばばーっと調べた。
これは「混迷」に近い?救急車を呼ぶレベル??
迷いに迷ったが、呼んだ!! ついに、人生初、救急車を!!!
昨日までの状況と薬などを説明して、書類などを記入している間に、
夫は救急車の中に運ばれていった。
隊員の方が夫に声をかけると一度だけ目を開けた。
「気分悪くないですか?」「ここどこかわかりますか」などの問いかけにわずかに頷いて答える。
呼吸とバイタル、血糖値など安定していたので昨日の精神科病院へ搬送を試みるが、
内科を通して「身体に異常なし」と判断した上でないと受け入れできないと言われる。
他にも何件か病院に掛け合うが断られ、1時間くらい車で待機が続いた
やっと受け入れてくれる総合病院が見つかり、すぐにCTを撮った。
「体の異常なしを証明するために、念のためにね」という感じで、私としては早く精神科病院へ連れて行きたい気持ちでいた。
しばらくして先生から呼ばれて主人の父親と私が部屋へ入る。
そこで、右前頭葉に6センチの脳腫瘍があることを、初めて知る
今までの症状がうつ病からくる症状ではないこと、何もしなかったら1〜2週間しか持たないこと、
このまま目を開けない可能性もあること、などを聞いた。
信じられず、まるで夫のことではないような感覚。。。
まさに、ドラマであるような「嘘だよね?夢でしょ?」みたいな。
緊急で明日造影剤、明後日手術が決まる。画像の状態からだとおそらく悪性、いわゆる癌だと言われる。
入院の書類を色々書いている間に、夫のお母さんが息子と娘を連れてきてくれた。
コロナ禍だったけど病院側の計らいで、病室に上がる前に1時間ほど夫に会えた。
みんなで足や手を触りながら声をかける。
「また一緒にキャンプへ行こうね」と言うと微かに頷いた!
足や手も少しだけど動いている。
寝ているような感じだけど、耳はしっかり聴こえていたのかもしれない。
管に繋がれた夫の寝顔を見ているとたまらなく不安になって
「もしかしたら、生きている夫と家族4人でいる時間は、これが最後かもしれない」と思って、
不謹慎かと思ったが携帯で家族写真を撮った。
結果的に、これが、私たち家族との思い出が残っている夫と撮った最後の写真となった。
家に帰った後は、夜通し病気のことを検索しまくった。
とりあえず原因もわかったし手術も決まったから大丈夫!
がんでも何年も生きている人たくさんいるし、大丈夫だよね!!
ネットの中の前向きな記事ばかり見て回り、大丈夫なんだと信じていたし少し安心もしていた。
夫の人生"第一章"が幕を閉じるのは、この数時間後、、、
続きは3月5日(火)19時30ごろ更新します!