汗と涙とHAGEの物語 『フレッシュ・デリ』 | 蝦夷☆オブ・ザ・デッド

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蝦夷の片田舎より分析しない掘り下げない脱力バカレビューをお届け(ホラー多めほぼネタバレ)

ハゲ映画   
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<あらすじ>
双子の弟アイギル以外の家族を事故で亡くしたビャン、汗っかきで嫌われ者のスヴェンは借金をして2人で肉屋を始めるが、全く客が来ない。
閑古鳥の啼く状態が数日続く。
そんな時、冷蔵庫の配線工事に来た人間がスヴェンの手違いで閉じ込められ、翌朝、凍死体となって発見される。
泡を食ったスヴェンは、何を思ったかその太ももの肉でマリネを作り衝動的に売ってしまう。
しかし、なんとマリネは大好評で店は大成功、マスコミにまで紹介されるほどになった。
閑古鳥の店は一転して「行列のできる店」に。
もう後には引けなくなったスヴェンはビャンの反対を押し切り、人を殺しつづける。
そのうち、ビャンも仕方なくスヴェンの「仕入れてきた肉」をさばくようになり・・・

<レビュー>
DVDのパッケージと予告編にまずドッキリ!

明るいナレーションで「本日のオススメ♪」   
優雅な音楽と共におどろおどろしい紹介が!

 
テレビショッピング調のナレーションでとんでもない「オススメ」
ジャパネットもビックリ!

しかし、ものすごい濃いカニバリズム映画なのかなと思いきや、ブラックユーモアたっぷりのヒューマンドラマ。
人肉をリアルにさばく場面や、登場人物が人肉を頬張る場面は一切出てきません。
血の量も少なめ。
カニバリズムを期待していた人にはいささか物足りないかも知れません。
しかしながら、充分楽しめる作品になっております。
何故なら・・・
HAGEが大活躍の映画だからです!

最早、髪は邪魔!   
髪が「ヘッドドレス」のように見えますね。
ゴスロリ?

アレンジ「すだれ風」
   
ちょっとアレンジ「もずく調」で☆

神々しい!   
汗で反射率アップ!

スエット!ウエット!   
汗のナイヤガラ。
もう、神々しいまでに光輝いている。

この素敵なHAGEの彼(スヴェン)が、相方のビャンと共に借金して肉屋を開店させるのですが、この店がまた流行らない。
宣伝もしたはずなのに1人もお客が来ない。
最初は「そのうち・・・」なんて思っていたスヴェンですが、そのうち汗タップリで光りながら焦り始めます。
このスヴェン(HAGE)、コンプレックスのカタマリで性格が曲がってしまっており、口を開けばケチくさい文句とイヤミばかり。
それでも嫁はいるのですが、店がうまくいかない腹いせにスヴェンが当り散らすのに嫌気がさし、逃げてしまいます。
店は閑古鳥、嫁は逃げる、不幸のダブルパンチ!
しかも、気もそぞろで店を営業しているうちに、不幸のダブルパンチはトリプルパンチになってしまいます。
肉を貯蔵する冷凍庫の中で業者が配線工事をしていたのですが、スヴェンはそれをすっかり忘れて閉店時間に鍵をガッチャン。
で、そのまま家に帰っちゃいます。
翌朝、肉の貯蔵庫で、貯蔵されちゃいけないものを発見したスヴェン。
「そう言えば業者が配線工事に入っていたんだったあぁぁ!」
・・・なんてすっとぼけてる場合じゃないよこのスットコドッコイ。
解凍しても生き返らないからね。
何を思ったかスヴェン、はじめての来客にカチンコチンの冷凍業者の太ももを切り分け販売。
この来客、実はスヴェンが以前働いていた肉屋の主人で、高圧的な嫌なやつです。
スヴェンの店が流行っていないだろうことを予想して冷やかし半分で来たのですが、何故かお店でお買い物。
しかも、パーティー料理用に肉を買っていきます。
パーティー料理ってことは、複数の人間の口に人肉が入ってしまいます。

しかしその翌日。
パーティーで味を占めた客が、スヴェンの店に次々と買い物に。
しかもその後も評判は口コミで広がり、店はどんどん有名に。


豚じゃないでしょ!売ってるのは!
   
閑古鳥の店も・・・

行列のできる肉屋   
行列のできる人肉屋に!

しかし、「例の肉」もいつしか底をついてしまいます。
後戻りできなくなったスヴェン、片っ端から在庫を確保(殺人)してきます。
仕入れ作業ですね。

仕入れ   
よっこいしょ!今日はイキのいいホームレスだぞう~

最初は激怒してスヴェンをどついていた相方のビャンですが、次第に諦め、仕入れた品の解体を担当するようになります。

ファッショナブルHAGE!   
ビャンは人工HAGEです。
ファッショナブルなイケメンHAGE。

このビャン、実は暗い過去を背負っています。
彼には双子の弟アイギル(知的障害者)がいますが、現在は病院で寝たきり、植物状態です。
ビャンは弟を許せない気持ちと、弟を責めてはいけないという気持ちの間で葛藤しています。
それは、数年前、弟が運転する車が事故を起こし、同乗していた両親が死亡したからなのですが、その時の事故の原因が「飛び出してきた動物を避けたから」というものでした。
結果、ビャンと弟は大怪我、両親は即死でしたが、動物は無傷でした。
それは、障害者であるアイギルが持つ動物への愛情と独特のこだわりから来るもので、責めても仕方のないことでしたが、それでもビャンは弟に対する憎しみを抑えられずにいました。
弟は両親からとても大事にされ、特別扱いされていたからです。
ビャンは潜在的に愛情に飢えていたのです。

この後、スヴェンを含む他の登場人物の心の闇が垣間見えたり、ビャンの弟アイギルが奇跡的に昏睡状態から回復するなど、物語は「人肉」と一旦離れていきます。
このあたりが面白かったです。
特に、ビャンの弟アイギルは双子なので、ビャン役の俳優さんが2役やっています。
これがほんとに別人でスゴイ。

動物大好きっ子アイギル   
アイギル(何度も間違えて『アイフル』って打ちました)
持っているのはお気に入りのキリンのぬいぐるみ。

このあと、あることがきっかけで「人肉を販売している」という噂が飛び交い、店は一時休業へ追い込まれます。
そして遂に食品衛生局の監査が入ることに。
もう崖っ淵。
こいつら捕まって終わり。
捕まったら、弟アイギルは誰が面倒見んの?
にわかに悲壮感が漂ってきますが・・・
この2人、何故か逮捕されません。

何がどうなってこいつらが捕まらないかは言いませんが、
一言だけ・・・
最後は爽やかなハッピーエンドです。

・・・いいだけ人肉さばいといてハッピーエンド。

<超主観的評価>
ストーリー★★★ スリル★★ テンポ★★ バカ★★★ グロ★★
総合★★