まずは、適格簡易請求書(簡易インボイス)について説明しておきましょう。

適格簡易請求書(簡易インボイス)は名称が示すように通常のインボイスを簡易にしたもので、不特定多数のものに対した販売などを行う事業者が発行できます。例えば、次のような事業者です。


□小売業
□飲食店業
□タクシー業
□写真業
□旅行業
□駐車場業(コインパーキングなど不特定多数に対するものに限る)

適格簡易請求書(簡易インボイス)には書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の記載をしなくてもいいことになっています。


では、宛名不要の適格簡易請求書(簡易インボイス)ですが、宛名に従業員名が記載されている場合、法人は立替金精算書の保存が必要となるのでしょうか。

この度、国税庁が新たに公表したQ&Aにより従業員名簿の保存があれば立替金精算書はなくてもよいことが示されました。

そのため、従業員との経費精算で宛名がない簡易インボイスを受領した場合には、立替金精算書の作成・保存は必要ありません。
では、宛名に従業員名が記載されている簡易インボイスを受領した場合は立替金精算書が必要となるのでしょうか?


【従業員名簿があれば立替金精算書は不要】

国税庁が公表した「お問合せの多いQ&A TOP10 (R5.10~R6.3版)」の問⑩に「従業員が立替払いをした際に受領した適格簡易請求書での仕入税額控除」についての問いが記載されています。
 
国税庁 お問合せの多いQ&A TOP10 (R5.10~R6.3版)よりhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf

 


つまり、従業員名簿等により自社の従業員であることを特定できれば、立替金精算書の交付を受ける必要はないということです。
そもそも宛名が記載不要の簡易インボイスであるため、宛名が従業員名となっていたとしてもその従業員が法人に所属していることを従業員名簿等で明らかにできるのであれば、立替金精算書の作成までは求めないということのようです。

ご注意いただきたいのは、従業員名簿等の保存があれば立替金精算書の作成・保存が不要となるのは簡易インボイスだけであって、通常のインボイスでは認められていません。



【実務における対応方法】
準備する従業員名簿等の注意点としては、在職者だけでなく退職者の名前も名簿に載せるようにしましょう。
名簿から退職者の名前を削除してしまうと経費精算の際に法人に所属していたことが把握できなくなります。
事業年度ごとに退職者も含めた従業員名簿を作成し保存しておきましょう。

ですが、一番手間がかからない方法は、簡易インボイスを従業員の宛名で受領してこないことです。

従業員の宛名で受領するとひと手間かかります。
簡易インボイスは宛名なしで受領する。
宛名を入れる場合は法人名にしてもらう。

これを従業員に周知して徹底することで、経理処理の負担が軽減されることでしょう。

インボイス処理や定額減税等、 経理の方の負担は大分多くなってきていると思います。経理作業が滞っている。回らない。。という方のお手伝いを弊所では行っております。お困り事がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
(山田)

 

 

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