2024年4月から働き方改革関連法に基づき、トラックドライバーの上限規制が新しくなりました。

 

・残業時間が年間960時間以内

・1日の拘束時間最大15時間 (休憩時間等もすべて含む)

・休息時間(次の勤務日までのインターバル)が9時間を下回らないこと

・運転時間は2日平均9時間

 

 新たに始まった上限規制によって想定されるメリットとして、トラックドライバーの労働時間が減り休息時間が増えることで労働環境問題の一つの長時間労働が改善されることが挙げられます。また、物流業界は全業種の中でも脳や心臓疾患の労災認定件数が最も多いため、長時間労働が与える健康被害の防止や、働きやすい環境を整えることで人手不足の解消の一手につながることが期待されています。<参考 厚生労働省 陸運業における労働災害等の現状と交通労働災害のポイント>

 

 

物流業界に残る課題と私たちにできること

 物流業界は他の産業と比較して時間あたりの収入が低く、労働時間が長い傾向にあります。厚生労働省によると全産業よりも400時間も年間の労働時間が長いと言われています。長時間労働になりやすい理由としては長時間の運転時間、荷待ち時間、荷役作業などが挙げられ、荷待ち時間は平均が1時間半ほどで全体の約17%は2時間以上という結果が明らかにされています。荷待ち時間を減らすことやDX化などで業務の効率化を進めていかなければ近い将来輸送能力が大幅に不足し、私たち個人をはじめ、企業にとっても支障をきたすかもしれません。

 しかしながらインターネットの普及に伴い、ネットショッピングが盛んな現代では1985年と比較すると宅配便取扱個数は10倍にものぼります。外に出なくとも欲しいものがなんでも手に入り、便利な時代ですが裏で便利な社会を支えてくれている人々のことを忘れないようにしたいものです。

 

 輸送能力の不足を避けるため今後は配送料の値上げなどが進むかもしれませんが、トラックドライバーの賃金アップ・労働環境の改善がされることで物流業界に人材が増えることを期待したいですね。持続可能な物流業界を作っていくために再配達を減らし、置き配や宅配ボックスを積極的に利用するなど、私たちも意識して労働時間やコストの削減に取り組んでいきましょう。(猪俣楓)

 

 

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