会社員や公務員の配偶者で扶養され保険料負担がない「第3号被保険者」のうち約4割が就労しているが、一定以上の収入となった場合の社会保険料負担等による、手取り収入の減少が理由で就業調整をしているという人が多いのが現状です。
従業員100人超企業で週20時間以上勤務する人は年収106万円を超えると厚生年金、健康保険に加入しなければなりません。また、それ以外の場合は年収130万以上となることで国民年金、国民健康保険に加入することになります。
また、配偶者手当がある企業においても一定額を超えると配偶者手当がもらえなくなるといったこともあります。
この為、短期労働者が「年収の壁」を意識せずに働く事ができるように10月から対策が行われています。
 

① 106万円の壁への対応
   ・キャリアアップ助成金
    労働者の収入を増加させる取り組みを行った事業主に対して、労働者一人当たり最大50       万円の支援を行う。
    労働者の収入を増加させる取り組みについては労働者の賃上げや所定労働時間の延長
    の他、被用者保険適用に伴う保険料負担軽減のための手当(社会保険適用促進手当)と       して支給する場合も対象とする。
    ・社会保険適用促進手当
    事業主が支給した社会保険適用促進手当については、労使双方の保険料負担を軽減す       る為、新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限として最大2年間、被保険者標      準報酬の算定において考慮しない。

 

②  130万円の壁への対応
    ・事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
   被扶養者の認定基準が130万円未満であることが要件となっているが、一時的に収入         が増加し、年収が130万円以上になる場合においても、人手不足による労働時間の延        長に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な認定を可      能とする。(同一の者について原則として連続2回までとする)

 

③ 配偶者手当への対応
  ・ 配偶者手当が社会保険制度とともに就業調整の要因となっていることから、
   配偶者手当の見直しの必要性、メリット、手順について企業への理解を深める
   ことが必要。具体例として、配偶者手当を廃止又は縮小し、基本給や子供への
   手当を増額する。

 

この助成制度は、令和7年度末までの暫定措置となります。また、年収の壁を越えている労働者にとっては適用されない、同一労働、同一賃金の原則が崩れてしまうという観点から、

申請には、二の足を踏んでいる企業も多いようです。

 

(廣井里美)

 

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