2024年から現行のNISAが大きく変更され,とても使いやすくなります。今回は新しいNISAについて述べていきます。


①NISAとは
そもそもNISAとはどのような制度なのでしょうか。NISAは証券会社や銀行などの金融機関でNISA口座(非課税口座)を開設し,株式投資信託や上場株式などを購入すると,打った時の利益や受け取る配当金,普通分配金が非課税となる制度です。NISA口座を開設するには,これを単独で開設することはできず,証券総合口座を開設する必要があります。なお,すでにつみたてNISAか一般NISAを利用している場合は,そのまま同じ金融機関に2024年からの新しいNISA口座が開設されますので,何もしなくても大丈夫です。


②新制度のポイント
◇利用できるのは18歳以上
日本国内に住んでいて,1月1日時点で18歳以上の人であれば,誰でもNISAを利用することが出来ます。その条件さえ満たしていればどんな働き方の人でもできますし,年齢の上限もありません。
◇制度は恒久化
2024年からの新制度は口座開設・投資できる期間が恒久化されます。ずっと続く制度になったので「いつまで利用できるか分からない」という不安も無くなり,安心して利用することが出来ます。また,恒久化されたことで一人一人の長期的なライフプランに沿った使い方(始める・続ける・取り崩す)もしやすくなったので,生涯において利用できる制度になったともいえるでしょう。
◇非課税で運用できる期間が無期限化
2024年以降にNISA口座で購入した商品については,ずっと非課税で運用し続けることが出来ます。通常,上場株式の配当金や株式投資信託の普通分配金に対しては約20%の税金が差し引かれるのですが,NISA口座で購入したものについてはずっと非課税で受け取ることが出来ますし,保有する商品を売った場合に利益が出ても課税されません。一方で解約の自由度はこれまで通りなので,お金が必要になった時にはいつでも運用する株式や投信の一部または全部を売って引き出すことも可能です。
◇「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が両方使える
2023年までつみたてNISAと一般NISAは同じ年に両方を一緒に利用することはできませんでしたが,新しいNISAでは同じ年に両方の枠を一緒に使うことが出来ます。
◇1年間の投資額は360万円まで
NISAでは1年間に投資できる金額が決まっていますが,これは1年を通じて金融商品を買った金額の累計となります。つみたて投資枠の上限は年間120万円,成長投資枠は年間240万円となっています。これらはいっしょに使えるので両者を合算した360万円が新しいNISAの年間投資額の上限となります。
◇生涯で使える非課税枠は1,800万円
生涯で使える枠の上限は一人当たり1,800万円となります。障害投資枠は一人一人管理され,取得価格(簿価)でカウントされます。1,800万円は金融商品を買った金額の累計(簿価残高で管理)となるので,金融商品を購入した後に価格が上がってNISA口座内で保有する金融商品の時価評価額が1,800万円を超えたとしても,そのままNISA口座内で運用を続けることが可能です。また,生涯投資枠のベースはつみたて投資枠です。成長投資枠は必ずしも使う必要はなく,つみたて投資枠だけで1,800万円の生涯投資枠を埋めていくことも可能です。なお,併用する場合,生涯投資枠1,800万円のうち成長投資枠で投資できるのは1,200万円までとなります。成長投資枠のみを使う場合も同様で,1,200万円が上限となります。
◇売却しても翌年投資枠が復活する
新しいNISAでは売却して空いた分の枠が翌年には復活します。復活するときの枠は買ったときの金額(簿価)で計算されます。例えば累計600万円分投資した投信が1,000万円に値上がりしたとして,この投信を全額(1,000万円分)解約して引き出した場合,投資した価格ベースで「600万円分利用枠が空いた」とみなされて,枠を再利用することが出来るようになります。ただし,翌年600万円分の枠を使えるようになるわけではなく,年間投資枠の範囲内で投資する必要があります。
◇スイッチング(預け替え)はできない
NISA口座の場合,投資や株式を売ると,そのお金はNISA口座から出て現金化されます。そのためNISA口座で売却したお金を使って別の投信を購入するといったことはできません。

 

(元橋暁潔)

 

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