法人格を消滅させるためには、大きく分けて「解散」と「清算」の2ステップを踏む必要があります。

【解散】
1.解散の手続き


①株主総会の招集
株式会社の解散は株式会社の所有者である株主にとっては極めて重大事項です。
そこで取締役は株主総会を開催するために株主総会を招集する必要があります。

②株主総会議事録の作成
株式会社の解散を行うときは、後に述べるように解散の登記が必要です。
子の解散登記を申請する時、株主総会議事録を添付する必要があるため株主総会議事録を作成します。

③解散及び清算人の登記
清算人は解散の日から2週間以内(原則・罰則なし)に本店所在地にて解散と清算人の登記を行う必要があります。
小規模な会社ではその会社の取締役が、小規模な会社では、会計事務所など部外に委託することが多くみられます。
登記は法務局へ申請しますが、登記には登録免許税が必要となります。
また、解散登記と清算人選任登記には、株主総会の議事録も必要となりますので、ご注意ください。

④異動の届出の提出
会社が解散した時には、納税地の所轄税務署、県税事務所、市区町村、社会保険事務所などに、解散の異動届出書を提出します。
法定の提出期限はありませんが、遅滞なくとされていますので、解散決議後、可能な限り早く提出することが望まれます。

2.企業会計
会社が解散した場合、清算人は解散日現在の貸借対照表と、財産目録を作成します。そして、貸借対照表と、財産目録について株主総会の承認を受けることになります。
解散日現在の貸借対照表と、財産目録に従って、原則として処分価格により計上することになります。

3.税務

①確定申告

法人が解散を行うと、その事業年度開始の日から解散した日までをひとつの事業年度として処理を行うことになります。この事業年度を、「解散事業年度」と言います。解散後は、その翌日から「清算事業年度」が開始します。さらに、清算事業年度中に残余財産の確定が行われた場合、その年度は「残余財産確定事業年度」となります。

確定申告書の提出期限
法人を解散する場合、まずは、解散事業年度の確定申告書を作成することになります。確定申告書の提出期限は、通常の場合と同じく、原則として(延長の特例を適用しない場合)、年度末の翌日から2ヵ月以内です。

【清算】
1.清算の手続き
①清算事業年度の確定申告
会社が解散し、清算手続きに入っている場合、清算事業年度の確定申告書を、同様に年度末の翌日から1ヵ月以内に提出します。

②決算報告書の作成
残余財産が確定した場合、決算報告書を作成し、株主総会の承認を受ける必要があります。この株主総会の承認があると会社の清算は決了します。

③株主総会議事録の作成
清算決了登記を行うときは、株主総会議事録を作成します。

④清算決了登記
本店所在地においては決算報告の承認の日から2週間以内に清算決了の登記を行う必要があります。
清算結了登記には、清算結了登記申請書に加えて、決算報告書と承認を受けた株主総会の議事録が 必要となります。
この株主総会の設定を残余財産の確定といいます。
この清算結了登記によって、会社は正式に消滅ということになります。

⑤確定申告の提出
清算事業年度において残余財産が確定した日から1ヵ月以内に残余財産確定事業年度に係る確定申告書を提出します。こちらは、申告期限の延長の特例は認められていません。

⑥異動届の提出
清算が決了したときは、納税地の所轄税務署、県税事務所、市区町村に、清算決了の異動届出書を提出します。提出期限は法定で定められていませんが、清算決了の登記後、遅滞なく提出する必要があります。したがって、清算決了登記後は、可能な限り早く提出することは望ましいです。


 

以上のように、法人の解散を決定すると、その後に最低でも2回は税務申告を行わなければならないことになります。さらに、解散の日から残余財産確定の日までが1年を超えるような場合には、その年数に応じて税務申告の回数も増えていきます。
事業を行っていない休眠状態の会社を放置すると、売上はなくても税金がかかってしまうため、事業を再開する意思がなければ、解散に踏み切ったほうがよいでしょう。解散から清算にはさまざまな手続きが必要で、時間も費用もかかります。

 

もし会社の解散を決断した場合、まずはどのような手続きが必要かを確認しましょう。
場合によっては専門家のサポートを検討して、慎重に進めていきましょう。
(山田直緒子)

 

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